【特別寄稿】鈴木宗男参院議員が勉強会「東京大地塾」でウクライナ問題での感情的なロシア糾弾を「歴史をどれだけ勉強しているのか」と批判! 元外務官僚で作家の佐藤優氏は「核を持って内にこもるロシア」を懸念! 2022.4.6

記事公開日:2022.4.6 テキスト
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(フリーランスジャーナリスト・横田一)

 地域政党「新党大地」代表で「日本維新の会」副代表でもある鈴木宗男参議院議員が3月23日、支持者向けの勉強会「東京大地塾」を参議院議員会館で開催。ロシアのウクライナ侵攻に対する自論を再び訴えた。

▲鈴木宗男参議院議員(横田一氏提供)

 自らのブログ「ムネオ日記」(2月26日)や「われ『ロシアの工作員』と呼ばれようとも」(月刊日本4月号)と銘打った記事の中で鈴木氏は、ロシアの侵攻は厳しく非難されるべきと指摘した上で「話し合いによる解決を拒んだのは、ゼレンスキ―大統領ではないか」「ロシアを糾弾するだけでは日本の国益は守れない」とも主張。「ロシア寄り」といった批判が相次いだが、それでも自らの主張を変えることはないと冒頭の挨拶で宣言したのだ。

 「大地塾」は毎月一回、東京と札幌で開催されるが、議員会館で開かれる「東京大地塾」には元外務官僚で作家の佐藤優氏が同席。前半で基調講演のような解説(分析)をした後、鈴木氏と一緒に後半の質疑応答にのぞむという二部制になっており、この日も鈴木氏の挨拶のあと、佐藤氏がロシアのウクライナ侵攻について説明をしていった。

記事目次

佐藤優氏が指摘!「日本に資産がないのにプーチン大統領の個人資産を凍結したのは、『おまえとは付き合わない』というメッセージ。岸田さんがいる限り、あるいはプーチンさんがいる限り、日露関係は動かない」

 ここで佐藤氏は「ロシアが間違っていることをしていることは自明」と指摘した上で、ロシアがどういう考えを持っているのかを知ることの重要性も強調。そして、米国の対応については次のように述べた。

 「私は今のアメリカに戦略があるとは思えない。この戦争をできるだけ長引かせて、ロシア人が残虐なことをすることを示すことによって、ロシアの立ち位置を弱くする。それ以上の戦略は今ないと思う」。

 続いて佐藤氏は、「ロシア、平和条約交渉打ち切り 日本の制裁に反発」(3月22日の日経新聞)と題する記事を読み上げながら、岸田首相の政治決断へのプーチン大統領の報復だったという解説も加えた。

▲ウラジーミル・プーチン ロシア大統領(Wikipediaより)

 「岸田文雄首相はロシアと全面対決をする腹を固めています。外務官僚がどうこう言っていて岸田さんが動かされている図式ではない。岸田さん自身の政治決断です。

 対露関係悪化を決定的にしたのは、日本政府が3月1日にロシアのプーチン大統領に対して個人制裁をかけたこと。日本における個人資産の凍結を決定したが、多分、外務省でも読み違いがあったと思う。『どうせプーチンは日本に土地や預金を持っていないから大した意味はない』と考えたと思う。

 これが一番の間違い。日本にプーチンさんの資産が大量にあるならば、凍結するのは実質的な意味があるのでロシアも理解するが、資産がないのに凍結したのは、『おまえとは付き合わない』というメッセージを岸田首相は出したとプーチンは受け止めたのです。

 今回のロシアの対抗措置は、プーチン大統領自身のイニシアティブによる岸田さんへの報復です。ここは軽視するべきではない。だから岸田さんがいる限り、あるいはプーチンさんがいる限り、日露関係は動かない。もう、そういう展開になってしまった。ただ問題は、そういう喧嘩を売ったという意識が岸田総理にあるのかどうかです」。

 たしかに鈴木氏が指摘する通り、岸田総理は「ロシアを敵に回すことになる」「ロシアに喧嘩を売ることになる」という自覚があったかどうか、大いに疑問である。

 プーチン大統領への個人制裁については、鈴木氏も同じように問題視。先の月刊日本の記事で、次のような岸田政権批判をしていたのだ。

 「岸田政権は欧米と歩調を合わせてロシアに経済制裁を科し、3月1日にはプーチン大統領の個人制裁に踏み込んだ。だが、これは岸田総理がプーチン大統領に対して『私はあなたと付き合う気はない』と宣言し、ロシアとの対話を拒否したに等しい。これでは、これまで積み重ねてきた領土交渉・平和条約交渉が完全に中断してしまう恐れがある」。

鈴木宗男氏「『ロシアの侵略侵攻、力による国家主権の侵害はいけない』。これを前提にして、同時に、なぜここに至ったのかは双方に問題があるのではないか」

 両氏の問題提起を受けて、私は質疑応答で次のような質問をした。大地塾は支持者向けの勉強会であるものの、報道関係者の参加も自由で質問も可能になっているのだ。

横田一「『ロシアのウクライナ侵攻はおかしい』という一方で『ウクライナ側にも責任がある』という宗男先生の発言は非常に貴重と思うが、なぜ維新全体として(維新副代表の)宗男先生と同じようなことを言わないのか? あと、(北方領土返還に共に取組んだ)安倍元首相も同じ(ロシア側の)事情をおわかりだと思うが、アメリカべったりの岸田政権に『日本の国益を損ねるのではないか』と苦言を呈してもいいと思うが、維新幹部と安倍さんがなぜ鈴木先生と同じことを言わないのか?」

鈴木宗男氏「横田さん、正確に聞いて下さい。私は、『ロシアの侵略侵攻、力による国家主権の侵害はいけない』あるいは『領土の拡張はいけない』、これを前提にしての話です。

 同時に、なぜ、ここに至ったのかは双方に問題があるのではないか。『喧嘩両成敗』と言っても先に手を出した方が負けではないか。しかし結果として、その要因を作った人も問題だとして、それなりの注意なりけん責を受けるのではないか。

 皆さん、例えば交通事故を起こした時、青信号でこちらが行っていても赤信号なのに飛び出してきた車があり、事故となります。当然こちらに過失はなくても、実際は100%保険はおりません。私はそれを言っているのです。

 ただ、力で攻めた方が悪い。先に手を出した方が悪い。しかし、その原因を作った側にもいくばくかの責任があると私は言っている」

佐藤優氏「均衡を失するほどロシアのやっていることが激しくなってしまった。一種の被害妄想。ウクライナ側の瑕疵の議論すらできないような酷い状態になっている」

(…会員ページにつづく)

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