【特別寄稿】衆院選で躍進した維新が声高に改憲を主張!「維新とこれからどう戦うのか?」との横田一記者の質問に緊急事態条項の危険性を詳細に解説するれいわ・山本太郎代表と「維新バスター」大石晃子衆院議員!! 2021.12.3

記事公開日:2021.12.3 テキスト
このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材、文・フリージャーナリスト横田一)

 れいわ新選組の山本太郎代表は、2021年11月10日の新宿街宣で、与党や維新が性急に求める改憲による緊急事態条項について、「火事場泥棒的に変えるのは図々しいにも程がある」と一刀両断にし、その危険性について、丁寧に解説した。

 先の立憲民主党・枝野幸男前代表の退任会見の寄稿記事でその一部紹介をしたが、これこそ本来、野党第一党の枝野代表が答えるべき内容である。

▲れいわ新選組・山本太郎代表(右)と大石晃子衆議院議員(左)(横田一氏提供)

 ここにその全文掲載をする。

記事目次

山本代表「憲法が守られていないこの政治の中で、『憲法を変えたい』って、これは盗人が窃盗罪を緩めろと言っているのと一緒! 都合のいいことを言うな! まずやるべきことをやれ!!」

横田一「維新についておうかがいしたい。選挙が終わった途端、自民党以上に改憲に前のめりで、第二自民党安倍派のようになっているのですが、維新とこれからどう戦うのか、実態を明らかにするのか、大石さんと山本代表のお考えをおうかがいしたいのですが」

山本太郎代表「今質問をいただいた内容は維新、他にもありますが、憲法改正という部分にかなり前のめりな方々ですね。そういう方々にどうやって対峙していくのかということなのですが、ごめんなさいね、今すぐ憲法改正をしないといけない理由は何がありますか。その改正をしたことによって、すぐに何かが変わりますか。私は、それは優先順位の一位ではないと思っているのです。

 憲法を変えることは、タブーではありせん。当然です。そのために議会があるわけですから。

 けれども、今、この国の状況、25年間の不況の中でコロナがやって来て、多くの方々が所得を減らし続け、生活困窮であったり地盤沈下している生活の中で、憲法の議論を大々的にやりながらということを今やる必要があるのかなというのが私の考えです。

 逆に言えば、元ある憲法も守っていない奴らがそれを変えようとした時には、これは気をつけなければいけないということなのです。(『法律』『条約・協定』『憲法』のピラミッド図を示しながら)憲法って何ですかということですけれども、ピラミッドになっています。

 皆さんにお守りいただくのは法律、一番下。皆さんを法律で縛っています。『ごめんね。ルールを守ってね。そうでないと、みんな好き勝手をやったら困るからルールを作ります』。法律です。

 そして真ん中、これが外国との約束、条約だったり協定。この国で一番力を持っているルール、何ですか。キングオブルールは憲法です。

 それでは『憲法は誰が守るものですか』ということを考えると、これは公務員。その他にも権力を持つ者たちがこの憲法によって縛られるということは、日本国憲法の99条に書かれている通りです。『国務大臣、国会議員、裁判官、その他の公務員はこの憲法を尊重し、擁護する義務を負ふ』ということです。

 つまり逆に言えば、その改正したい内容が何なのかをしっかりとチェックしていかなければならない。まずは考えなければならないのは権力者たちを縛るためのルール(としての憲法)、これが守られているのかに一番着目しなければならないということです。

 私が考えるに、例えば、この25年の不況、デフレから脱却できないという状況の中で多くの方々が生活が厳しい状況に追い込まれました。厚生労働省、令和元年の内容ですけれども、全世帯のうち生活が苦しいと言っている人達が54.4%、母子世帯が86.7%。この状況を鑑みた時に憲法が守られている政治が存在していないと思っています。

 なぜならば、憲法25条を見るならば、『すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』。つまりは先ほど苦しまれている、生活が一杯一杯だと言われている方々は、憲法25条によって守られていないのです。つまりは政治が(憲法に沿った形で)機能していないということ。

 他にもあります。憲法13条。これは幸福追求権とも呼ばれるようなもので、『すべて国民は、個人として尊重される』とあります。例えば、『年老いた親を嫁が看なければいけない、家の者が看なければいけない、介護は家族でするべきだろ』みたいな考え方自体がアウトなのです。

 すべての人の人生が尊重されるように、親が高齢化しても、それは行政の手を差し伸べられることによって、その家の人達もそれぞれの人生を歩みながら、家族の関係を壊さずに、しっかりと私は手を差し伸べられるべき(だと思う)。

 だからこそ、これは介護保育に対しても、その職員の方々に対して給与を上げたりとか、そこに対して人が集まるようなことを国がしていかないといけないのですけども、今は違う。

 介護殺人が起こったりとか、老々介護が当たり前とか。まるで憲法なんて守られていないということが日常化されているのです。

 憲法が守られていないという現実を作りだしてきたこの政治の中で、『憲法を変えたい』って、これは盗人が窃盗罪を緩めろと言っているのと一緒なのです。『都合のいいことを言っているな』『まずやるべきことをやるべきだ』という話です」

▲日本国憲法(Wikipediaより、Ryo FUKAsawa)

コロナ禍を理由に緊急事態条項創設を目論む火事場泥棒! 山本代表「図々しいにも程がある! 立法府の存在を無視して内閣が、自分たちでルールを作れてしまう! これは非常に危険」

山本太郎代表「私は憲法に関して一言一句、いじるべきではない立場ではない。議論があった上で必要があれば、これは変えて行くということも当然必要になってくるかも知れない。

 ただし、ここに関しては、この権力者たちを縛る憲法を何かしら政治の場面においても変えて行くということに関して、多くの方々がしっかりと注視をしながら、それが行われることによって、世の中がどう変わっていくのかということにまで思いをはせられるような状態でなければ、私は非常に危険な行為だと思っています。

 つまり何かというと、教育の中でしっかりと憲法の重要さ、政治の大切さ、そういうことがシェアされること、街角のどこに入ったとしても喫茶店でも居酒屋でもみんなが憲法談義に花を咲かすぐらいの当たり前の感覚になっているのならば、憲法に対しての議論を進めるのはいいと思う。

 けれども、火事場泥棒的に変えるのは図々しいにも程があるだろうなということなのですよ。火事場泥棒的に憲法を変えようとしている奴ら、一体どういうことなのかというと、緊急事態条項です。自民党の憲法改正草案、2012年に提出されたもの。つまりは、『自民党は憲法をこう変えますよ』という内容です。その中に今の憲法の中にはないけれども、新しく加えたがっているものがあるのだ。それは何かと言ったら、緊急事態条項と言われているもの、つまりは何かと言うと、総理大臣自身が『今から緊急事態ですよ』と声を上げたら、緊急事態になります。そういう代物なのです。

 例えば、総理が必要と思えば閣僚と相談をして『今から緊急事態』ということが決められるのだという内容です。

 一番やばいのが、緊急事態の宣言が発せられた時には、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定できる。つまりは国会がいらなくなるということです。国会は何をやるところですか。立法府、ルールを作る場所です。内閣は行政府。行政と立法とは分かれているわけです。

 これが実際に形になってしまって、総理大臣が『緊急事態だよ』という話になったら、立法府の存在を無視して、自分たちでルールを作れてしまうのですよ。これは非常に危険と私は思っています。

 どうしてか。だって、法律は何のために作るのかというと、最悪の事態があった時のためにどう対応するのかを数々作られているわけです。

 災害に関するものであったり、テロに関するものであったりとか。すでにあるもので十分に回せるものを、鶴の一声でこのような形にしたいのだというものは、非常に危険な作用を及ぼす可能性が高い。

 でね、火事場泥棒となぜ言うのかというと、このコロナにおいて、例えば、第六波がやってくるみたいな状況がやってきたら、彼らにとっては一番憲法改正に踏み出しやすいのです。

 どうしてか。『私たちがいくらお願いをしても、皆さんはわかってくれませんね。緊急事態だと言っているのに、ステイホームだと言っているのに、人流の抑制ができません。その理由は何でしょうか。この国の憲法に問題があるのですよ』。そういう流れに持っていきたい。コロナを抑え込むためには憲法の改正も必要だということも盛り込まれてしまう。そういう流れなのです」

山本代表「コロナ禍で徹底的にステイホームをさせたいのであれば、今の法律でできる!『緊急事態を憲法の中に盛り込まなければ、コロナに対処できない。コントロールできない。感染者を減らせない』というのはまったくのデタラメ!!」

山本太郎代表「それは非常に危険です。どうしてか。本当に徹底的にステイホームをさせたいのであれば、これは今の法律でできるということをこれから紹介したい。(中略)

 私たち、れいわ新選組は常々、このコロナ禍に災害指定にするべきだということを言い続けて来ました。コロナの災害指定をすると、一体、何が起きるのですか。

▲第49回衆議院選挙で比例代表で当選したれいわ新選組の山本太郎議員(左)、大石晃子議員(中)、多ケ谷亮議員(右)(IWJ撮影、2021年11月10日)

 コロナの災害指定をするためには、非常に簡単な手続きです。何かと言うと、災害対策基本法の2条にはどういったものが災害かが記されているのです。暴風、豪雨に豪雪、洪水、津波に地震。これだけに災害は止まらないという話です。

 つまり、それ以外の災害が生まれた時にどうするのですかということについてもしっかりカバーされています。つまりは、これらに類する政令で定める原因により生ずる被害を災害というのだ。つまりは何かと言うと、新たに政令でコロナを災害に指定できる。

 政令は何かと言うと、内閣とその閣僚たちが閣議決定をする。政令だけでコロナを災害に指定することができる。コロナを災害に指定するとどんなことができるのか。市民に自宅待機を求めることができる。これを法を伴った上でできるのだよということです。

 災害基本法の60条の3。他にも、自粛ではない。ロックダウンも可能になってしまう。

 これ、ロックダウンについてはいろいろ議論があると思います。私たちが提案しているのは、国がもしコロナが爆発的な状況になる前に、国が皆さんのために給付金を出したり、保険料の免除であったり、そういうことをしながら徹底的なステイホームを求める。もちろん働かないといけない人達には危険手当をセットにすることを提案しているのですが、コロナが災害に指定された場合には、こういった既にあるようなもの(『災害対策基本法第63条の1』を映し出す)を使いながら、ここの地域には入らないで、この地域からは出ないで、まさに災害の時にそういう命令が下されます。それをそのままコロナにも運用していくことが可能になっていく。

(映し出された画面を示し)『コロナが災害と認められれば、食糧品・飲料水・生活必需品の提供、仕事に必要な資金などの給与や貸与、避難所の供与としてのホテル宿泊も可能に』。

 つまりは、賃金が下がった。シフトに入れない。それによって収入が減った。収入が減るということは、自分の家、継続できない、追い出されると言う時に、国がしっかりと追い出されないようにお金を出したり、新たなに家を貸したりすることにつなげていける。災害で起こることをそのままコロナでも準用していけるという話なのです。

 つまりはどういうことかと言うと、『緊急事態を憲法の中に盛り込まなければ、コロナに対処できない。コントロールできない。感染者を減らせない』というのはまったくのデタラメ。今ある法律を使いながら、これは前に進めることができる。法律をどうすればいいのですか。政令を変えるだけでいいのだよ。政令で変えるとは、総理大臣と内閣の閣僚の面々が閣議決定をするだけで前に進めることを、わざわざ『憲法改正が必要だ』ということにしようとしている。非常に大きな問題です。気を付けていただきたい。

(…会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページより御覧になれます。

一般・サポート 新規会員登録

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です