【特別寄稿】「横田さんはダメなのです」!? 自民党新総裁記者会見に名指しで自民党本部守衛に入館拒否された横田一氏! フリー記者徹底排除の菅総理は米国の忠実な下僕を安倍政権から継承! 2020.11.5

記事公開日:2020.11.5 テキスト
このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材・文:フリージャーナリスト横田一)

 「米国第一・日本国民二の次」のアベ政治継承を訴えて自民党総裁選に圧勝し、9月16日に総理指名された菅義偉首相(神奈川二区=横浜市西区・南区・港南区)であるが、政権発足早々、民意を無視する対米追随の姿勢を露わにした。

 菅政権における斬込み隊長役の「目玉大臣」の河野太郎・行政改革担当大臣(沖縄・北方領土担当も兼務)が9月19日、沖縄入りして玉城デニー知事や県議会議長らと面談した。その際、米軍「普天間飛行場」移設先である辺野古新基地埋立(移設)の断念を含む要望書を受け取ったのに、一言も触れなかったのだ。

▲玉城デニー沖縄県知事から要望書を手渡される河野太郎・行政改革担当大臣(沖縄・北方領土担当も兼務)(横田一氏提供)

 しかも面談後の囲み会見は5分足らずで、指名された記者はたった二人。基地関連の質問も出たのに河野氏は「沖縄の基地問題は、経済振興を考える上で避けて通れないと思う」と、沖縄経済の米軍基地依存率は下がっているというのに、そうした現実を無視した回答ですませてしまい、知事面談でも記者会見でも辺野古の「へ」の字も口にすることはなかった。

軟弱地盤で約1兆円もの追加コストが指摘される「辺野古新基地埋立計画」を黙認する河野太郎行政改革担当大臣は「民主主義の破壊者」!

 そこで会見終了直後、「大臣、辺野古見直しについて一言。『地震で壊れる欠陥基地』と言われているが、行革の対象外なのか。国策はそのまま進めるのか」と声をかけたが、河野氏は無言のまま、エレベーターに乗り込んだ。

 二度目の行革担当大臣とは思えない対応に唖然とした。新基地埋立予定地に存在する軟弱地盤で工費が1兆円規模に膨れ上がり、地震で護岸が壊れる脆弱性も問題視されていたのに、莫大な血税をドブに捨てるに等しい無駄遣いにメスを入れようともしないからだ。私の目には、「錆びたナイフ」「歌を忘れたカナリア」と重なり合う「エセ改革派」に落ちぶれたとしか見えなかったが、正反対の見方をするメディアの報道もあった。

 9月17日配信の毎日新聞は「河野氏は『無駄撲滅』に心血を注ぐ合理主義者で、防衛相時代にはコスト高が指摘された陸上配備型迎撃ミサイルシステム『イージス・アショア』の配備停止を主導。霞が関には『破壊者』(内閣府幹部)と恐れられる」と紹介していた。しかし、この記事は、次のように書き換えるべきだろう。

 「かつて河野氏は『無駄撲滅』に心血を注ぐ合理主義者であったが、菅政権で行政改革担当大臣になった途端、軟弱地盤が見つかってコスト高(3倍増で約1兆円)が指摘される『辺野古新基地埋立計画』を黙認。沖縄では菅首相と同じ『民主主義の破壊者』と見なされている」。

玉城デニー沖縄県知事から手渡された「辺野古移設計画を断念」の要望書を受け流した河野大臣は米国追従「アベ下僕政治」の忠実な継承者!

 権力迎合型の非合理主義者(エセ改革派)への変節ぶりは、玉城知事から手渡しされた要望書の文面を読むと、すぐに実感できる。そこには、「辺野古新基地建設に反対する県民の民意は、過去2回の知事選挙をはじめ、一連の選挙において示され続けております。また、昨年2月に行われた辺野古埋立てに絞った県民投票においても、反対の民意が圧倒的多数で明確に示されたことは、極めて重いものであります」と説明した後、「県民の理解が得られない辺野古移設計画を断念すること」と結ばれていたのである。

▲河野太郎・行政改革担当大臣(沖縄・北方領土担当も兼務)(横田一氏提供)

 しかし河野氏は、この要望書を正面から受けとめようとはせず、ただ右から左へと流すだけですませてしまった。第二次安倍政権の官房長官として菅氏は、沖縄の民意を受け止めて米国と見直し交渉をしようとする気配すら見せず、ワシントンポストに「トランプ大統領の忠実な従属的助手(下僕)」と酷評された安倍首相に盲従。米軍海兵隊用の新基地建設(埋立)を強行し続けた。同じような役回りを河野氏が始めたように見えたのだ。

 無表情のまま、民意を切り捨てるのも河野氏と菅氏は同じ。思い出したのは、2018年10月の翁長雄志・前沖縄県知事の県民葬だ。菅氏が安倍首相の弔辞を代読、「沖縄に寄り添って基地負担軽減に努める」という明らかに現実と食い違う文言を読み上げた時、「嘘つき!」「帰れ!」「民意を尊重して下さい!」などの怒号が約1分間も会場内に響き渡った。あの瞬間を忘れるわけにはいかない。

 沖縄県民の民意よりも米国の意向を優先する「アベ下僕政治」に菅氏が加担していることを沖縄県民はよくわかっている。そのことを実感した瞬間だったが、それが河野氏にも引き継がれていると思われる。

「菅さんは安倍さんの腰巾着、安倍さんはトランプさんの腰巾着」! 菅総理の大恩人「ハマのドン」藤木幸夫・横浜港運協会会長が「寂しい」と嘆く「下僕の宰相・菅義偉」!

 そんな、米国に「No!」と言えない「アベ下僕政治」を「腰巾着」と例えたのが、菅氏の「大恩人」でもある藤木幸夫・横浜港湾協会会長(当時)である。菅氏の「子飼い」の林文子・横浜市長が、カジノ誘致表明をした去年8月23日に、カジノ推進の急先鋒の菅氏を「安倍首相の腰巾着」と記者会見で断言し、「命を張ってでも反対する」と徹底抗戦を宣言したのである。

▲藤木幸夫・前横浜港湾協会会長(2020年6月17日IWJ撮影)

 この会見で藤木氏は「顔に泥を塗られた。泥を塗ったのは林さんだけど、塗らせた人がいる」と切り出し、その背後にいるカジノ推進勢力を「ハードパワー」と称した。

 そこで、私は「顔に泥を塗らせた人」について、「地元選出で『影の横浜市長』とも呼ばれており、林市長にも大きな影響力を持っている菅官房長官としか考えられないと聞こえたのが」と質問すると、藤木会長は「それはあなたの自由」と否定も肯定もしなかった。もう一押しだと思って私は、こんな再質問をした。

 「菅官房長官は秋田から出てきて、横浜が『第二の故郷』と言っており、菅氏が若いときからよくご存知かと思うが、横浜に世話になった菅官房長官が横浜を米国カジノ業者に売り渡すような側に回っていることについて、どう思うのか」。

 すると、より踏み込んだ発言が藤木氏から返って来た。

 「今『菅さん』という名前をあなたが言うから申し上げるけど、とても親しいですよ。いろいろなこと、昔から知っているし、彼もオレを大事にしてくれるし、ただ今、立場がね。(菅氏は)安倍さんの腰巾着でしょう。安倍さんはトランプさんの腰巾着でしょう。そこで国家安全保障という大きな問題があるでしょう。今の安倍さんも菅さんもトランプさんの鼻息をうかがったりーー。寂しいよ。寂しいけれども現実はそうでしょう。いずれにしても個人的な名前は省いて、いまハードパワーが横行している」。

 菅氏が支えてきた安倍政権は、トランプ大統領の要請に沿ってカジノ関連法案を成立させ、横浜などへのカジノ誘致を進めることで、賭博場という「金の成る木」を米国カジノ業者に献上しようとしてきた。

 そして菅氏も官房長官として、日本の国富流出を招く「アベ腰巾着政治」に盲従。カジノ誘致でも辺野古新基地建設(埋立)でも「米国益第一・日本国民二の次」の安倍政権を支え続け、その立場を継承すると訴えて総理のポストを射止めた。「下僕の宰相・菅義偉」と呼ぶのがぴったりではないだろうか。

メディアコントロールの達人!? 横浜カジノの質問に無言で立ち去る菅総理は米国のスポンサー!?

 菅氏は、9月2日の出馬表明会見で安倍政権継承を訴えるとともに、生まれ故郷・秋田から上京し、横浜で代議士秘書を経て市議から国会議員へと上り詰めたことを振り返った。このストーリーにマスメディアが飛びついて「苦労人」の政治遍歴を物語る映像を垂れ流し、「ミスター叩き上げ」という呼び名もつけて同調した。

 小池百合子都知事と同等以上のメディアコントロールの達人である菅氏に声をかけたのは、9月2日の出馬会見である。司会者の坂井学衆院議員が終了を告げた直後、「フリーランスにも質問させて下さい」と叫んだ志葉玲氏に続いて、「菅さん、横浜をカジノ業者に売り渡すのか。(安倍政権の)米国べったりの政治を引き継ぐのか。米国腰巾着政治と言われますよ。(大恩人の)藤木(幸夫)会長を裏切るのですか」という声掛け質問をした。

▲総裁選出馬会見での菅総理(2020年9月2日IWJ撮影)

 しかし菅氏は無言のまま。他の記者も声をあげて騒然となったので司会者は会見継続を宣言したが、私は追加の質問者として指されなかったので、二度目の会見終了が宣言された直後、「横浜にカジノ持ってきていいのか。(第二の)故郷を裏切るのではないか」と再び声掛け質問をしたが、菅氏は一言も発することなく、会見場から立ち去った。

 地盤も看板もカバンもない横浜で菅氏が市議時代から支援を受けてきた「大恩人」が藤木氏だったのに、世話になった藤木氏が反対するカジノ誘致の旗振り役に徹し続け、第二の故郷である横浜を海外カジノ業者に献上しようとし、恩を仇で返す冷酷非情な対応をしているとしか言いようがない。

 「『菅義偉』総理への道」と銘打った週刊新潮9月10日号は、8月24日に菅氏が藤木氏と会ったことを紹介。去年の同誌のインタビューで藤木氏が「(菅氏は)安倍の腰巾着」と言っていたことについて、31日に直撃取材をして「今でも腰巾着ですよ。腰巾着ってのは、すごい褒め言葉なんですよ。旅に出る時に持っていくんだよ。腰巾着がなくなったら旅は中止だよ」というコメントを引き出していた。「大事な存在」というわけだが、私が1月6日の港運協会の賀詞交歓会で藤木氏を直撃、「(菅氏の)安倍首相の腰巾着ぶりに変わりはないですか」と聞くと、こう解説してくれた。

 「『安倍首相はトランプ大統領の腰巾着』というのはほめ言葉なのです。(腰巾着の)巾着は、お金が入っているがま口でしょう。スポンサーのことを言う。悪い意味で解釈をしては駄目なのです」。

総裁選でカジノについて一切答えなかった菅総理!

 菅氏は総裁選中、カジノについてほとんど語ることはなかった。総裁選告示日(9月8日)の共同記者会見でも翌9日の公開討論会でも、質問が出なかったこともあって全く触れなかった。

 そこで8日の総裁選共同会見でも終了直後、「フリーは質問できないのですか。コロナ禍でもカジノ、リニアを進めるのですか。菅さん、第二の故郷をカジノ業者に売渡すのですか。藤木(幸夫)会長を裏切るのですか。恩を仇で返すことになりませんか。カジノについて一言、菅さん、お願いします。横浜を裏切ることになりませんか」と問いかけたが、菅氏は無言のまま、会場から立ち去っていった。

 翌9月9日に自民党本部で開かれた公開討論会では、エレベーターに乗り込むところを見かけたので、「菅さん、今日はカジノのこと、説明するのか。横浜を売渡すことになるのではないか。第二の故郷を売渡すのか、カジノ業者に。(世話になった)藤木さん、裏切ることにならないのか。カジノについて一言。コロナ禍でも見直さないのか」と声をかけたが、ここでも一言も発することはなく、スタッフに囲まれてエレベーターに乗り込んだ。

 公開討論会でも、カジノ関連の質問が全く出なかったので、司会者の三原順子参院議員が「それでは、候補者の皆様にはご退場をしていただきます。本当にありがとうございました」と言った途端、菅氏に向かって「菅さん、第二のふるさと(横浜)にカジノを持ってくるのか。菅さん、横浜にカジノを持ってくるのか。恩を仇で返すのか。(米国言いなりのカジノ推進の)安倍政治継承だけか」と大声を張り上げたが、ここでも無言のまま会場を後にした。

 9月2日の出馬表明での声掛け質問を入れると、合計で4回カジノ誘致について聞いたが、菅氏は一言もコメントすることはなかったのである。

「横田さんはダメなのです。『ダメ』と言われてしまったから」!? 菅・新総裁の初記者会見で自民党本部守衛に入館拒否された横田一氏!

 都合の悪い質問に全く答えない対応は小池知事と瓜二つだが、菅氏は声掛け質問の機会さえ与えない徹底した「記者排除」をしてきた。

 14日の総裁選投開票(両院議員総会)を受けて菅・新総裁は、自民党本部での初記者会見に臨んだのだが、私は自民党本部に入ることを入口の守衛に拒否されたのである。

横田「新総裁の会見、6時から」

守衛「今日は入れないので。横田さんはダメなのです。『ダメ』と言われてしまったから」

横田「(自民党広報部の担当者の)浅見さんから?」

守衛「うん。『ダメ』と言われてしまったから」

横田「理由は? 菅さんに声をかけたからですか?」

守衛「理由は分からない」

横田「横田一が来たら入れるなと?」

守衛「そうですね」

横田「ひどいではないか。菅さんの評判が悪くなりますよ」

守衛「私に言われても」

横田「顔をよく覚えていますね」

守衛「仕事ですから」

 徹底した「記者排除(選別)」で不都合な質問に答えない一方、記者クラブ所属の「お気に入り記者」との質疑応答を通じて自らのプラスになる情報だけが垂れ流されるようにする。菅・新総理は、小池知事と同等以上にメディア・コントロールに長けているといえる。嘘で「厚化粧」した「女帝 小池百合子」と同じように、「叩き上げの苦労人」の美談(虚像)で塗り固められた菅首相の「素顔」を、明らかにする必要がある。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です