「コロナ対策でメデイアに露出しているから小池圧勝だろう」という都知事選の予測を一変させる気運が広がりつつある。
元検事の郷原信郎弁護士が「虚言に塗り固められた小池百合子という女性政治家の『正体』を見事に描き切った」と絶賛する石井妙子著『女帝 小池百合子』が、発売一週間で7万部を超える勢い。出版社の文藝春秋が誇る「文春砲」こと週刊文春6月4日号(5月28日発売)も、「カイロ大学首席卒業の嘘と舛添要一との熱愛」と題する記事で『女帝』を紹介して連携。「小池知事 対 文藝春秋」のガチンコ勝負の様相も呈してきたのだ。
すると、自民党長崎県連事件での辣腕検事ぶりで知られる郷原氏もブログで「参戦」。6月2日に「都知事選、小池百合子氏は『学歴詐称疑惑』を“強行突破”できるか」の第一報、4日後の6日にも「小池百合子氏『卒業証明書』提示、偽造私文書行使罪の可能性」と銘打った第二報の論考を発信、東京地検特捜部が動く可能性を指摘したのだ。
- 都知事選、小池百合子氏は「学歴詐称疑惑」を“強行突破”できるか(ヤフーニュース個人、2020年6月2日)
- 小池百合子氏「卒業証明書」提示、偽造私文書行使罪の可能性(ヤフーニュース個人、2020年6月6日)
先の週刊文春が「学歴詐称は、公職選挙法(235条2項)の虚偽事項公表罪にあたる」とズバリ指摘したように、カイロ大卒が嘘の場合、小池氏が公選法違反となる可能性は十分にある。それでも小池氏が「カイロ大卒」で押し通して当選したとしても、再選後に同法違反で告発されて「『東京地検特捜部』VS『女帝小池百合子』の真剣勝負になる」(郷原氏の第一報)というのだ。
「東京都知事選(7月5日投開票)」の告示が6月18日に迫る中、優位と見られた小池氏の前に強敵が急に現れたような事態といえるが、そんな戦況一変に無頓着なのが都政記者クラブ。週刊文春発売の翌29日の都知事会見でも、郷原氏のブログ発信から3日後の6月5日の会見でも、学歴詐称疑惑の質問はゼロだった。