厚労省クラスター対策班の西浦博・北大教授「少なくとも確定感染者数の10倍を超えるような感染者はいる」と明言!他方、試算の根拠となったデータに信憑性はない!? そうであれば早急な政策の修正を! 2020.4.28

記事公開日:2020.4.28 テキスト動画
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(IWJ編集部)

 2020年4月7日の緊急事態宣言発令時の安倍総理による「対人接触7、8割削減」との要請が、その後の日本国民全員の行動を規制、あらゆる業種に休業を余儀なくさせ、日本経済に壊滅的影響を与えることになった。その根拠が、厚労省クラスター対策班・西浦博北海道大学教授による試算だった。「無対策なら42万人死亡」という強烈なメッセージは大きな注目を浴び、メディアとの「意見交換会」が開催されることになった。

 しかし西浦教授の試算には、岩上安身がインタビューを行なってきた上昌広医師や米山隆一医師が大きな疑念を呈した。それらの疑問を踏まえ、IWJ記者が「意見交換会」で西浦教授に質問した結果、西浦教授は試算の根拠となったデータの不備を認めた。一方で、確定患者の「10倍を超える感染者がいる」とも認めた。西浦教授との詳細な質疑応答をぜひご覧いただきたい。

▲西浦博・北海道大学教授(2020年4月24日、メディアとの「意見交換会」で。IWJ撮影)

西浦教授の「接触8割削減」提案の結果、感染者増加数が鈍化!?

 2020年4月24日の日刊IWJガイドでお知らせした、厚労省クラスター対策班の西浦博・北海道大学教授のメディアとの「意見交換会」は、IWJ委託記者として参加予定だった前新潟県知事で医学博士、弁護士の米山隆一氏が都合により参加できなくなったため、IWJ記者が取材を行った。

 「意見交換会」は録画で収録し、24日午後10時より録画配信した。

 4月7日に安倍総理が会見を開いて緊急事態宣言を発令した際に「対人接触を7、8割削減しなくてはならない」と、政府としての目標値を揚げた。その根拠となったのが、厚労省クラスター対策班の西浦博・北海道大学教授の試算である。西浦教授は4月15日の記者会見で自ら手がけたシミュレーションを示して「『接触8割削減』をしないと感染者数が指数関数的に伸びてしまう。何の対策も行わない場合、42万人が死ぬ」と訴えた。

 国が休業を要請しながら休業補償を頑なに拒否したため、休業するわけにいかず、現在も仕事のために外出せざる得ない人もいるなど、国民生活の実情は目標の「対人接触8割削減」には到底届かないとは思われるものの、西浦教授の訴えは、人々が外出を控え、「密集」「密閉」「密接」を避け、人との接触を回避して行動するきっかけになった。

 24日の西浦教授の「意見交換会」の内容について、時事通信などの一部の大手メディアは、「感染者増加数が鈍化していると西浦教授が評価している」と報じている。西浦教授の試算によれば、東京の感染者数に、日本のPCR検査のキャパシティーが低いことを考慮して、その分を補正計算すると、4月10日から感染者の増加割合がやや減り、今週に入るとさらに減っている、というのである。

西浦教授の試算に信憑性なし!? と上昌広医師や米山隆一医師が疑念!

 しかし、西浦教授の試算結果に対しては、医療ガバナンス研究所の上昌広医師や、元新潟県知事で医師の米山隆一氏らが疑問を呈している。

 上医師は、4月21日に行われた岩上安身による三度目のインタビューにおいて、「(西浦教授の試算のもととなる感染者数の)データが、そもそもPCRを(十分な数だけ)やっていないからわからないはずなんです。西浦先生がどこのデータをもってやられたのか。感染症は、はるか前に発症しているから、10日や20日じゃないですよ。10日から20日って言っているのに、2月に発症しているのに、こんなはずないじゃないですか。本当の数と検査の数の乖離が極めて大きいので、このデータは使えないんです。前提条件が間違っているので、西浦さんの議論は全く何の意味もないんです」と語った。

 これまで2回の上昌広氏へのインタビューは、以下のURLから是非ご覧いただける。

 また上医師は、「東京では2月からインフルエンザの超過死亡が推定されています。この間、全くインフルエンザは流行っていません」とツイートしており、既に2月の時点で新型コロナウイルスの感染が広がっていた可能性を検証する必要性を主張している。

 米山氏は16日の岩上安身によるインタビューで、西浦教授が示した「接触8割減なら感染爆発を抑制できる」との推計をもとにしたグラフについて、「いつを起点にしているのか、曖昧。日本で最初に感染が明らかになってからすでに90日経っているが、このグラフのような増え方はしていない」と指摘している。

 そして、西浦教授が推計を行う際、Rt(1人の感染者から生まれる平均感染者)の数値を、欧米で用いられている2.5として、試算を行っているのに対し、日本は欧米の人のようにハグなどスキンシップをとることが少ないので、Rt=1.7で試算をするべきだと主張をしている。

<エッセンス版>「『緊急事態宣言』で感染者は減らない!」鋭い発言を続けている前新潟県知事・医学博士・弁護士の米山隆一氏に岩上安身がインタビュー!

 さらに「8割削減」について、「コストを含めてどうやって実現するのか、どうやって検証するのか、の説明がない」とも述べている。

IWJ記者の質問に、西浦教授は根拠データの不完全さを認める!!

 そこで、両者の意見を踏まえてIWJ記者は、西浦教授に質問をした。実際は質問の機会は2回だったが、その中に複数の質問が含まれている。よって、わかりやすくするために実際の質問を分割し、IWJの質問と西浦教授の回答と対にして下段に記している。

 また、記者意見交換会の模様はIWJのYouTubeチャンネル「Movie IWJ」でフルオープンにしているので、ぜひご覧いただきたい。

4/24(金)収録、22時半より録画配信した「#新型コロナウイルス感染症 #クラスター対策 の #専門家 による第2回記者意見交換会 ―登壇:西浦博氏(北海道大学教授)ほか」をYouTubeにてフルオープンで公開中!

 また、この機会にあわせてチャンネル登録もぜひお願いしたい。
 → https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos

===

IWJ記者の質問(1)「西浦先生のモデルがもとづいているデータについて質問があります。東京都発表の感染者数にもとづいてモデルを考えていらっしゃいますが、十分なPCRが実施されていない中で、これの信憑性に疑問があります。東京都のデータが十分でないと考えられないでしょうか。そのような疑惑のあるデータを元にしていることについてはどう説明をしますか」

 西浦教授「確定患者のデータについて、まず、信憑性というのはとても定義が難しいんですけど、私自身が言えるのはPCRが陽性であって偽陽性ということはとても低い確率しかないので、陽性に出た人はおそらく確実に感染した人であろうという人を表している数値です。

 一方でおそらくご質問の趣旨にある部分っていうのは、感染状態の全容がとらえられていないのではないかということだと思うんですけど、おっしゃる通りだと思っています」

 IWJの記者質問(2)「感染研の情報によると2月にインフルエンザが死亡超過したという推定を発表していますが、インフルエンザの流行はありませんでした。コロナの影響によるものではないかと思われますが」

 西浦教授「超過死亡に関しては正直なところわかりません。おっしゃっている報告に関しては私も存じ上げているんですけれども、そういうデータが出る背景のメカニズムに関して、まだ自分でも答えが出ていない状態です。

 少なくとも今日本で、例えば1月16日から諸例が診断されて、ということになっていたのですけれども、それより先に感染が起こっていた可能性があるのかどうかというと、わからないんですけど、あっても不思議ではないと思います」

確定患者の「10倍を超えるような感染者はいる」!!

 IWJの記者質問(3)「キングス・カレッジ・ロンドンの渋谷健司教授は、実際の感染者は10倍いると発表していますが」

 西浦教授「2月の頃に自分自身も、渡航者数ですね、北海道で流行が一時期規模が大きくなって、その時に北海道で、特に札幌で旅行した外国人の人達が自分の母国に帰って(新型コロナウイルスに)診断されたという事例があったんです。

 その時の、渡航者中の感染者のリスクを計算することをもとに、北海道での感染者数というのを僕も推定したことがあります。その時の雑多な計算ではだいたい北海道での感染者数というのは累積で900人を超えてたと記憶しているんですけど、それはだいたい確定患者数からいうと10倍程度、というのが北海道で見られたものでした。

 現在も10倍がそのまま適応できるかと言えば、おそらくそうではないかと思います。むしろそれより大きい可能性がある、と考えているんですけど、それに関しては先程一部質問に返答差し上げたんですけど、エクスプリシットな(「明白な」の意)抗体調査とかのさらなるデータがないと推測するということが具体的な数値としてわかりませんけど。ただ少なくとも10倍を超えるような感染者はいる、と認識をしています」

(…会員ページにつづく)

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