パンデミック前夜!? 日本人の間で感染爆発!? 2月13日からフェイズが変わった!「不要な」水際対策で「ダイヤモンド・プリンセス」が犠牲に!~岩上安身によるインタビュー 第983回 ゲスト 医療ガバナンス研究所理事長・上昌広氏 2020.2.16

記事公開日:2020.2.17取材地: テキスト動画独自
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(文・奥松由利子)

特集 #新型コロナウイルス
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※2020年2月21日、テキストを追加しました。

 日本国内で、新型コロナウイルスによる肺炎の感染者数は615人となった(2月18日現在)。日に日に増えていく感染者、どこに行っても売り切れのマスクや消毒液。日本社会を暗然とした不安が覆う中、3月から4月にかけては卒業や入学、歓送迎会、花見、各種スポーツイベントなど、人が集う機会も増える。7月には東京オリンピックも控えている。満員の通勤電車で赤の他人と「濃厚接触」するハイリスクな日々は避けようもないが、せめて群衆が一斉に感染してまた散ってゆくという愚は避けたい。政府はどんな対策を打ち出すのだろうかーー。

▲医療ガバナンス研究所理事長・上 昌広氏(2020年2月16日、IWJ撮影)

 2020年2月16日(日)19時より東京都港区のIWJ事務所にて、医療ガバナンス研究所理事長の上(かみ)昌広氏に岩上安身がインタビューを行った。上氏は、パンデミックを想定した上で、ダメージを最小にすることを考えるべきだと話し、「もうウイルスは(国内に)大量に入っている。水際対策には意味がない。検査体制を整えて、データを見ながら臨機応変に対応するしかない」と主張した。

 新型コロナウイルスの問題は、2月13日にフェイズが大きく変わった。この日を境にして、日本人同士の間で感染した二次感染のケースが続出するようになったのだ。

 腰の重い日本政府の様子も変化し、2月15日午後に緊急会見を開いた加藤勝信厚労大臣は、前日14日の「ウイルス蔓延の証拠はない」との発言から一転、「以前とは状況が異なっている」と述べて、コロナウイルスによる新型肺炎が国内で流行していることを認めた。

 上氏は、「国がやらなければならないのは、指示ではなくロジ(ロジスティック=物的な後方支援)」と国の政策を批判。検査を断られた軽症の感染者が、自覚なく動き回ってウイルスを拡散させることを懸念し、「希望者全員が保険診療で、あるいは国の負担で検査を受けられるようにするべきだ。やれることをやらないと、人災になる」と語った。

 岩上安身は、「国民に情報を与えているのは政府であり、メディア。その責任は大きい。大手メディアは五輪スポンサーになっているので、コロナウイルスがオリンピックに与える影響については書けない。官邸の心配は、コロナウイルスの流行でオリンピック選手の出場辞退やインバウンド消費が減ること。官邸関係者からは『死者が続出したら政権が持たない』との声も出ているという。国民の命より政権が大事なのか」と憤りを見せた。

記事目次

■ハイライト

■ハイライト【ナレーション入り】

  • タイトル 岩上安身による元東京大学医科学研究所特任教授、医療ガバナンス研究所理事長 上昌広氏インタビュー
  • 日時 2020年2月16日(日)19:00〜20:00
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

日本は第2の感染ハブ!? 上医師は「検査してないから数字が少ないだけ。コロナウイルスはかなりの確率でパンデミックを起こす。グローバル化で封じ込めは無理」と断言!

 政府は2月16日夕方、感染症対策専門家会議を初めて開いたが、この会議の開催は2日前の対策本部で決定したものだ。岩上安身は「今頃、最初の専門家会議? これまでの対策本部には専門家がいなかったのか」と驚きの表情を浮かべた。

 上氏は、「基本的に霞が関は東大法学部出身者の価値観、『~~であるべき』という規範論で動く。ウイルスは水際で食い止めるべきだ、と。だが、ウイルスはそんな価値観とは関係ない動きをする。今、コロナウイルスの情報は世界中で行き交っているが、日本政府内でそういう情報を読める人はきわめて少数だ」と語る。

 横浜港で停留中のクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号では、2月16日に新たに70人の感染が判明、乗客乗員の感染者は合計355人になった(その後、17日に99人、18日に88人の感染がわかっている)。

▲「ダイヤモンド・プリンセス」(2020年2月14日、IWJ撮影)

 岩上安身が、「日本政府はWHOに多額の寄付を出す一方、日本の感染者数からダイヤモンド・プリンセス号の感染者を外せと要求。だから、別々にカウントされているが、船の感染者を含めると日本の感染者は408人(2月16日現在)。これでも、日本は第2の感染ハブではないと言い切れるのか」と問いかけた。

 上氏は、「日本は検査をしていないから、数字が少ないだけ。人類の歴史上、こういう感染症を食い止めたことはないと思う。できるだけ被害を減らせばいいのであって、感染者がいないことにするのはよくない」と述べ、このように続けた。

 「中国と交流が大きいのは日本なので、コロナウイルスはいっぱい入っていると思う。それを、ないことにするのは難しい。このウイルスは、かなりの確率でパンデミックを起こすだろう。グローバル化した世界で封じ込めるのは無理だ

 そもそも、いつ、どこで感染が起こったかわからない。12月中旬に武漢でヒト・ヒト感染があり、発生場所も、当初伝えられた武漢の海鮮市場ではないことが判明している。多分、11月頃から始まっていた

 岩上安身は、中国に対して排他的な意識を持つ日本人がいることに触れて、「コロナウイルスは、コウモリなども食材にする中国の食文化が原因だというデマが流れた。日本が第2の感染ハブとして、中国と同様に扱われることに恐怖感があるのかもしれない。隣国に敵対的な感情を噴出させるのは政治パフォーマンスではないか」と話す。

 上氏は、「この話は世界中が関心を持っているので、感情論ではなく、合理的な対応をとる必要がある。ファクトに基づいた議論をしなきゃいけない」と応じた。

クルーズ船内に蔓延したコロナウイルス、下船できない乗客たち! 国際社会からは「人権問題だ」と日本政府の失態を問う声が!

 北海道で二次感染者が出ているが、北海道は個人のプライバシー保護を理由に、国籍や住所、職業などを公開していない。朝日新聞はこれを批判的に伝えたが、そこまで公開を迫る必要があるのだろうかと、岩上安身は疑問を口にした。

 「別のケースでは、感染者の住所や職場を特定し、利用した交通機関の経路を調べ上げたりしている。しかし、乗り合わせた乗客たちは四方八方に散っていくわけで、1人の行動だけ追っても意味がない。初期段階ならわかるが、もう、やめてほしい。感染者の居住地域が差別視されたりしかねない。感染した人が完治した時、地域社会に戻れないようなことになるのではないか

 上氏も、「12月半ばからヒト・ヒト感染が起きていたが、日本では1月23日まで何も(対策を)していなかった。もう、ウイルスは大量に入っていて、すでに一定の流行が起きている。一人ひとりをチェックしても仕方ない。(個人の行動履歴を追うことは)科学的には意味がない」と断言した

▲「人から人への感染」を発表した鐘南山・中国国家衛生健康委員会専門家グループ長(Wikipediaより)

 パンデミックについて、上氏は中国で起きる可能性が高いと言う。

 「鳥インフルエンザを2回、SARS、今回のコロナウイルスで4回目。がんばって検査しても、発症から確定までに1~2ヵ月かかり、その間に拡散するので水際対策は科学的に意味がない。中国から日本には1日あたり2~3万人が来る。2ヵ月なら100万人。食い止めるのは難しい

 岩上安身は、「ダイヤモンド・プリンセス号に留め置かれている米国籍の乗客(約380人)のためにアメリカ政府がチャーター機を準備した。香港、カナダ政府もチャーター機を派遣すると発表。世界からは、日本政府が無為無策で、乗客をクルーズ船の中に閉じ込めているように見えるのではないか」と尋ねた。

 上氏は、「そうでしょうね。アメリカのメディアはかなり批判的です。監獄みたいだとか、人権問題とか、医療体制が不十分だとか。クルーズ船の文化があるところは、はしかやノロウイルスなどが必ず船内感染を起こす。日本は鎖国が長かったので、検疫が500年遅れている。いったん感染が起きると止められないことを、日本は皮膚感覚として持っていないと思う」と話した。

▲ダイヤモンド・プリンセス(2020年2月14日、IWJ撮影)

 ダイヤモンド・プリンセス号は全長290メートル、総トン数が11万5875トン。戦艦大和の総トン数が69000トンだから、約2倍の規模であり、乗客定員は2706名という巨大な船だ。上氏は、「こんなでかい船の停留検疫、世界でもさせたことないんです。船が大きくなると、加速度的に複雑になるので」と説明した。

上医師は中国の素早い対応を高く評価!「ファクトを重視しないと日本はアホになってしまう」と警告! 「未知の感染症について、これほど早い段階でクリアにしたのは人類史上初」

 2月13日、日本国内で初の死亡者が出た。神奈川県の80代の女性だ。この日を境にフェイズが変わり、中国との接点がない日本人同士の感染爆発が懸念される事態になった。

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  1. 中村 彰 より:

    素早い文字起こし、感謝。
    「新型コロナウイルス合同対策本部第3回会議」のマスコミの締め出しての会合、おかしいね。

  2. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    日本は検査をしていないから、数字が少ないだけ。人類の歴史上、こういう感染症を食い止めたことはないと思う。このウイルスは、かなりの確率でパンデミックを起こすだろう。グローバル化した世界で封じ込めるのは無理だ。 https://iwj.co.jp/wj/open/archives/467819
    @iwakamiyasumi
    https://twitter.com/55kurosuke/status/1230988114857848832

  3. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    岩上安身「大手メディアは五輪スポンサーになっているので、コロナウイルスがオリンピックに与える影響については書けない。官邸関係者からは『死者が続出したら政権が持たない』との声も出ているという。国民の命より政権が大事なのか」 https://iwj.co.jp/wj/open/archives/467819
    @iwakamiyasumi
    https://twitter.com/55kurosuke/status/1230988407435694082

  4. 森田博之 より:

    岩上さんしゃべりすぎ!
    もっと上先生の話をじっくり聞いてください(誰がゲストでも同じ!)。
    岩上さんがしゃべりすぎるから、インタビューの時間も長くなってしまう。
    ゲストを呼んだテーマをしっかり絞って、それについて話を聞くと言う姿勢を守れば、聞いている方も落ち着いてインタビュー聞くことが出来ます(徹子の部屋或いは鳩山由紀夫氏の友愛チャンネルを見習ってください)。
    岩上さんの考えはもう充分わかってるから、そこは要らないんです。

    岩上さんのインタビューは、IWJの看板なのにもったいないです。
    姿勢が改まらないようなら、サポート会員も継続をするか検討する必要があると思っています。

  5. 土本基子 より:

    BGMが大きすぎるように思います。
    こういう証言に重きをおく映像には、BGMはいらないように思います。
    あるいは低くいれてみるといいかもしれません。
    71歳なので、耳が悪いので、BGMの音が大きく聞こえるのかもしれません。
    よろしくお願いいたします。

  6. 土本基子 より:

    BGMが消えました。
    他の映像が映り込んでいたみたいです。
    大丈夫みたいです。

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