2021年7月19日、韓国の文在寅大統領は、東京五輪に合わせた訪日をしないことを決定した。
「従軍慰安婦」「徴用工」の問題などがこじれにこじれ、「戦後最悪」ともいわれる日韓関係で、菅総理と文大統領が会談することは、関係改善の糸口になるのではないかと期待されていた。しかし、ここにきて新たな問題が噴出している。
在韓日本大使館の相馬弘尚総括公使が、記者との昼食会を兼ねた面談の席で「文大統領がマスターベーション(自慰行為)をしている」と、下品な表現で問題発言して波紋を呼んでいる。その他にも相馬公使は、面談の席で韓国側を挑発する発言を連発した。
相馬公使の発言は、感染拡大による緊急事態宣言下での五輪の開催で、訪日するか否か揺れていた文大統領の決断を決定的なものにしたとされている。また、「儀礼的な会談ではなく成果のある会談を」と、建設的な対応を求める韓国側に対して、日本側は侮辱する対応だったと国際的に受けとられかねない。
また、文大統領が出席する予定だった五輪開会式10日前の7月13日に、「竹島が日本固有の領土」と明記された「防衛白書」を発表し、韓国側に対して挑発的な対応を続けている。白書の表紙には、明治以降国民に植え込まれた皇国史観の中で、「忠臣」として過剰に美化されてきた楠木正成を思わせるデザインになっており、菅政権の閣僚を中心とする政治家だけでなく、防衛省官僚までも「戦前回帰」を表向しているのではないかとの疑いを抱かせる。