2021年3月24日、日本外国特派員協会の主催で、映画『標的』の監督である西嶋真司氏と、元朝日新聞記者の植村隆氏の記者会見が行われた。
『標的』は、植村氏が朝日新聞記者時代の1991年に書いた元朝鮮人慰安婦金学順さんの証言に関する記事が、週刊文春や櫻井よしこ氏、西岡力氏らから「捏造」だと攻撃され、右翼から執拗なバッシングを受けた問題で、植村氏が櫻井氏や西岡氏を名誉毀損で訴えた裁判と植村氏を支援する人々を題材にしたドキュメンタリー映画。
会見で西嶋氏は、植村氏へのバッシングと慰安婦問題、そして映画『標的』を制作した意図について、以下のように述べた。
「日本政府はこの問題に関して、日本の責任をできるだけ小さくしよう(としている)というふうに思えてきました。こうした政府の見解に寄り添うように、櫻井さんは『植村さんの記事によって日本の名誉が傷つけられた、日本人の誇りが傷つけられた』ということを主張しています」
「今、日本のテレビの番組の中で、慰安婦を扱った番組は、ほとんど見られなくなりました。テレビで慰安婦問題を取り扱うことは、タブーということが当たり前になっています。まるで、日本のメディアは、権力に逆らわないということですね。この慰安婦問題が、浮き彫りにしたような気がしています。これ、非常におかしいことだと思います」
「おかしいことを『おかしい』と言う社会でありたいという思いから、この『標的』を制作しました。
日本にとって不都合な真実を書いたジャーナリストに、『捏造記者』というレッテルを貼って、それを葬り去ることが本当に正しいことなんでしょうか?
この映画『標的』を通して、多くの人にこの問題を考えて欲しいと思っています」。