2021年7月2日(金)11時より、内閣府会見室にて、丸川珠代 東京オリンピック・パラリンピック大臣の定例記者会見が行われた。丸川大臣より報告はなく、記者との質疑応答のみが行われた。
まず、産経新聞記者から、IOCのバッハ会長が広島を訪問する予定であること、これに対して歓迎できないという声もあることについて、質問があった。
丸川大臣はこれに対し、「IOCのバッハ会長が8日に来日を予定しておりまして、日本滞在中の予定については関係方面と調整中でありますが、16日には広島を訪問する計画があるということについては、組織委員会を通じて承知をしております。16日はオリンピック休戦決議の開始日です。この日に合わせて広島の地から世界に平和のメッセージを発することについて、広島県、広島市と連携協力しつつ、計画をしているとうかがっております。引き続きその調整の状況を注視してまいります」と答えた。
8日来日するのであれば、16日はまだ政府の水際対策で定められた「14日間の待機期間」中のはずである。ここでもまたIOCトップへの「例外・特別」待遇が適用されるのであろうか。
- 日本へ入国・帰国した皆さまへ「14日間の待機期間中」のルール(入国者健康確認センター)(厚生労働省)
続いてNHK記者より、東京五輪のために来日した選手、関係者の新型コロナウイルス陽性者のあるなし、状況把握について問われた丸川大臣は、以下のように答えた。
「事前合宿のための入国について、把握をしておりまして、7月1日の選手団の入国は、スタッフだけの入国も含めて、11の国、地域から、166人が入国をしました。事前合宿のためでした。検査結果は全員が陰性だったという報告を受けています。
また本日については、7つの国、地域から131人が入国予定です。
東京大会の開催まで20日あまりとなりまして、来週以降さらに選手団の入国が増えてきますが、各ホストタウンではしっかりと感染症対策を講じて、選手をお迎えいただければと思います。
なお、一部の報道機関が選手団に近接をしたり、また選手の乗ったバスの車内に入って取材を試みるなど、行き過ぎた取材があったと聞いています。新型コロナウイルス感染症対策としても、また、選手団の安全確保のためにも、報道機関各社におかれては節度を持って取材をしていただくよう、お願いをしたいと思います」。
IWJ記者は、以下のように質問した。
「6月30日に東京の感染状況がステージⅣに入りました。10万人あたりの直近一週間の新規感染者が25.6人となっています。また、医療提供体制の逼迫状況もステージⅢですけれども、ステージⅣに近くなっております。
京都大学の西浦博教授らのグループは、東京オリンピックの開会式が行われる7月23日には、デルタ株が全体の68.9%になるという予測をされております。また、6月末に京都大学、東北大学、国立感染研の共同研究グループは、厚生労働省の感染症対策アドバイザリーボードで、デルタ株の影響を中程度とした場合でも、人流が現状のままでも、7月中には一日当たりの感染者が1000人を超え、8月8日には2000人を超えるという予測を発表しております。
菅総理は6月21日、今後緊急事態が発令されれば、無観客にすることも辞さないと述べておられます。丸川大臣は再び緊急事態が発令されるのは、いつだと予測されているでしょうか。また大会期間中に発令された場合、五輪開催中に有観客から無観客へ切り替えることなど、現実的にそれが可能だとお考えでしょうか。シミュレーションなり、準備がなされておりますでしょうか」。
- 第41回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年6月30日)資料3-2 鈴木先生提出資料(厚生労働省、2021年6月30日、PDF)
丸川五輪相はこれに対し、以下のように回答した。
「東京大会については、安全安心の確保を前提として、最優先として、選手や大会関係者、観客の感染対策をしっかり講じ、国民の皆様に安心して東京大会を受け入れていただけるように、引き続き関係者と緊密に連携しつつ、大会に向けた準備を着実に進めていくことにしておりますが、観客数については、先日6月21日に開催されました5者協議、これはIOC会長、IPC会長、大会組織委員会会長、東京都知事、そして私が参加をして行われました。
東京オリンピックにおけるすべての競技会場において、観客数の上限を収容定員50%以内で1万人とすること、7月12日以降、緊急事態宣言または蔓延防止等重点措置が発動された場合の観客の取り扱いについては、無観客も含めて、当該措置が発動された時の、措置の内容を踏まえた対応を義務とすること、感染状況医療状況について急激な変化が生じた場合は、速やかに対応を検討することで合意がなされております。
これらを踏まえて、適切に対応がなされていくものと私は考えております」。
この、「感染状況によっては無観客も選択肢に入れて検討し、観客の扱いについては5者協議で決める」との認識は、各社報道機関が伝えた。
次いで、朝日新聞記者が「夜間の競技を無観客にするよう競技開催県の知事が求めていることについて、事実確認と対応は」と質問した。
これに対して丸川大臣は、「夜間の観客については、千葉県知事、また、埼玉県の知事から実際にご意見をうかがっており、現在組織委員会において調整をして頂ております。また全体の状況については、やはりこの後の感染状況の推移をしっかりと把握をし、最終的には5者協議において決定するという風に私は考えています」と答えた。
TBS記者は、「東京大会の関係者の入国について、6万人ほどの関係者の入国について、日時やそれからの関係者と同じ便に乗られている一般の方が陽性だった場合に、その関係者が濃厚接触者にあたるのか、という点については、内閣官房のほうで把握されているものなのか。また、もし一般の(陽性の)方の濃厚接触者となった場合に、その後の行動管理というものがどういうふうになるのか」と質問した。
これに対して、丸川大臣は、「大変恐縮ですが、ホストタウンに事前合宿のために入国される方については、今現在私どもの手元に情報がございます。それ以外については政府内で確認をしなければ今お答えができませんので、確認をしてお知らせをさせていただきたいと思います」と回答した。
インドネシアのメディアグループ「Tribun news」の「KOMPAS(コンパス)インドネシア新聞」のリチャード・スシロ(Rchard Susilo)記者は、「新しい入国管理の方法についてうかがいたい。我々インドネシア人は現在日本に渡航してくれば6日間の隔離をせねばならないとのことだが、これは五輪関係者に対しても同じ対応がなされるのか。また、大統領、大臣のような要人、VIPに関しても同じ6日間の隔離がなされるのか」と質問した。
これに対して丸川大臣は、「選手については既に発表がなされている通りでありますが、要人については、大変恐縮ですが外務省に確認をさせていただきまして、お知らせさせていただきます。今この時点でまだ調整を行っているとうかがっております」と答えた。
政府は6月28日に、インドネシアとウガンダからのすべての入国者と帰国者に対し、7月1日から検疫所長の指定する場所(検疫所が確保する宿泊施設に限る)での6日間待機と入国後3日目及び6日目の検査を義務付ける措置を発表した。
- 水際対策強化の対象国追加指定(外務省、2021年6月28日)
一方、6月15日に発表された選手、チーム関係者向けのプレイブック第3版では、「入国後3日間は自室で隔離をしなければなりません(到着日は0日目とみなされます)。ただし、アスリート、チーム役員は、以下を前提として、入国後直ちに活動を行うことができます。入国後3日間、毎日検査を実施し陰性であること、かつ東京2020組織委員会による厳格な監督(3日間の監督者による帯同やGPSによる行動管理)のもとで活動すること。入国後14日間、宿泊施設での隔離という別の選択肢もあります」と書かれているのみである。
- アスリート・チーム役員公式プレイブック(TOKYO2020)PDF
会見の詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。