「クアッド」への英仏独蘭の関与と軍事演習への説明不足を指摘したIWJに、茂木大臣は「『自由で開かれたインド太平洋』は包摂概念で安全保障はその一部、説明は何度もした」とはぐらかし!~5.18茂木敏充外務大臣 定例会見 2021.5.18

記事公開日:2021.5.18取材地: テキスト動画
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(取材、文・IWJ編集部)

 2021年5月18日(火)午後2時30分頃より、外務省にて茂木敏充外務大臣定例会見が開かれた。茂木外務大臣からの報告、発言はなく、記者との質疑応答のみが行われた。

 朝日新聞記者が、「一部報道で6月のG7首脳会議にあわせて、日米韓の首脳会談を行う可能性というのが報じられております。最近、日米韓の要人の会合というのもたびたび報じられていまして、大臣もゴールデンウィークの外遊中に、日米韓外相会談に臨まれております。北朝鮮のアメリカによるレビューも終わりまして、日米韓の連携っていうのが意義を増してきているように思うんですけれども、今一度その日米韓での役割分担のあり方や、連携の意義についてお考えをうかがえましたらと思います」と質問した。

 これに対して茂木大臣は、「ちょっと質問の意味が完全にわかってないんですけれど、北朝鮮対応含め、日米韓3ヶ国での連携、これは極めて重要だと思っております。また、日米韓の間で、(会談等は)そんなに頻繁ではないと思っておりまして、先日の5月5日の日米韓3ヶ国の外相会談、これが久しぶりの機会だったんじゃないかなと思っていますけれど、いずれにしても、様々な形で連携を確認していくことは地域の情勢を考えても重要なことだと思ってます」と答えた。

 これに続いて機会を得たIWJ記者は、以下のように質問した。

 「2021年5月11日から17日まで、東シナ海で日米豪仏各国陸海軍の参加による共同訓練『ARC21』が行われました。また、イギリス政府は最新鋭の空母『クイーン・エリザベス』を中心とする空母打撃群をインド太平洋地域に派遣しており、年内には日本への寄港と自衛隊との演習も予定されています。

 日米豪印のいわゆる『Quad(クアッド)』に加えて、ヨーロッパの各国がインド太平洋地域に高い関心を持ち、軍備を派遣することは中国を刺激し、衝突につながるのではないでしょうか。この方向性が国際社会の平和と安定につながるとお考えでしょうか。また、これらに関する政府からの説明や情報の露出があまりないようですが」。

 なお、フランス軍の日本国内での訓練と、英空母「クイーン・エリザベス」の日本への寄港は初めてのことである。

 IWJ記者の質問に、茂木外相は以下のように回答した。

 「まずですね、『自由で開かれたインド太平洋(通称FOIP  Free and Open Indo-Pacific Strategy)』という、この考え方は、2016年のTICAD(アフリカ開発会議)の際に日本が提唱して、考え方として民主主義であったり、基本的人権の尊重、法の支配等、共通の価値観、こういったものを共有しながら様々な協力を進め、それによって地域の平和、安定、繁栄、こういったものをつくっていく、そのための協力を進めようという考え方であり、それにつきましては、日米豪印といった国の協力と連結性の強化であったりとか、最近で申し上げますとワクチンで、これのアジア太平洋島嶼国への供給等、様々な分野に広がっております。

 また、インド太平洋地域、この要衝に位置します、ASEAN(東南アジア諸国連合)におきましても、独自のAOIP(インド太平洋に関するASEAN・アウトルック協力についての第23回日アセアン首脳会議共同首脳声明)を発表いたしまして、『自由で開かれたインド太平洋』、そしてAOIP、この考え方、まあ基本的に共有する、共通する部分が多いので、こういったことも昨年の日・ASEAN首脳会議でも確認し、協力を進めていくということになりました。

 今年に入りまして、EUとの間でも、1月に私がEUの外務理事会に出席をしまして、『自由で開かれたインド太平洋』、こういう考え方について説明を行いまして、多くの国から、それを支持したい、協力したいという話があったところであります。

 これは、安全保障の面ではありますけれど、それ以外の様々な分野というのも進んでいるわけでありまして、確かにそれぞれの国が、ヨーロッパにおいてもフランス、ドイツ、オランダが、インド太平洋に関する政策文書を発表しておりますし、英国政府もインド太平洋への方針を打ち出しているところであります。

 これは全体的な政策でありまして、そのなかに、ご指摘のような、空母打撃群の派遣であったり、ドイツのフリゲート艦の派遣であったり、さらには共同訓練ということも行われているということでありまして、元々『自由で開かれたインド太平洋』、これはあらゆる国に対して、包摂的な概念であります。こういった考え方を共有する、ルールを守るという国に対して、開かれた概念であると考えておりまして、こういったことはですね、丁寧に説明してきていると。

 説明を何度聞いたかわからない、というぐらい何度も聞いているという話でありまして、説明が足りてないってことはまったく当たっていないと思っております」。

 会見の詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。

■全編動画

  • 日時 2021年5月18日(火)15:30~15:45
  • 場所 外務省 会見室(東京都千代田区)

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