IWJへの茂木大臣回答「尖閣への中国船侵入は遺憾だが、米中対立に戦争勃発のリスク『トゥキディデスの罠』はあてはまらない!?」を、岩上安身インタビューで孫崎亨氏が徹底批判!! 大臣は「わかってない!」~2.9茂木敏充外務大臣定例会見 2021.2.9

記事公開日:2021.2.9取材地: テキスト動画
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(取材、文・木原匡康)

※2021/2/14 テキスト追加しました。

 2021年2月9日、茂木敏充外務大臣の定例会見が行われ、IWJはこれを中継するとともに、以下の質問を行った。

IWJ記者「尖閣問題についてうかがいます。

 中国が海警局の武器使用を認めた『海警法』施行後、海警局の船が相次いで尖閣諸島周辺の領海に侵入しました。

 尖閣は地理的に台湾問題と直結します。中国が『台湾は最も重要かつ敏感な核心的問題』と主張する一方、米駆逐艦が4日に台湾海峡を通過し、中国の反発を招いています。尖閣への中国海警局の船の領海侵入も、巨視的に見れば、米中対立激化の一部と思われます。これに日本が米国側に立って、中国との対立を深めることは国益にかなうのでしょうか。

 尖閣に地理的に近い台湾も、領有権を主張しています。中国が本気で台湾を併合しようとする時、尖閣を併合しようとするでしょうし、これを阻止すべく日本も米国とともに中国に圧力をかけようとしても、ハーバード大学のグレアム・アリソン教授※が『フォーリン・アフェアーズ』2020年3月号の論文で『台湾海峡有事を想定した、18のウォーゲームの全てでアメリカは敗れている』と指摘したように、米中が激突した場合、米軍が中国軍に敗れる可能性がきわめて高いと米国の専門家も認めています。

 一方、バイデン政権でインド・太平洋調整官に起用されたカート・キャンベル氏※は、同じく『フォーリン・アフェアーズ』の今年1月号で、アジアもしくはインド太平洋地域における『勢力均衡』と秩序維持の重要性を主張しています。

 そうした中で、尖閣の領有権を守りながら、米中対決と中台対立を激化させない、冷静な知恵のある、米国追随一辺倒ではない外交が必要ではないでしょう。日本が大局的に俯瞰して極東の平和を導き、結果として日本が尖閣の実効支配を長く続ける方途を、どのように考えておられるかお答えください」

茂木大臣「恐らくですね、お話の中にありましたグレアム T. アリソン、『トゥキディデスの罠』の中で言っております論議に中で、これが今、米国と中国の関係に当てはまるかといいますと、多くの論者はあてはまらない、現段階に置いて、こういう論説のほうが私は多いんじゃないかなと、こんなふうに考えているところであります。

 そういった中で、中国海警局に所属する船舶が、2日連続で尖閣諸島周辺の日本の領海に侵入し、日本漁船に接近しようとした動きを見せたことは誠に遺憾でありまして、断じて容認できないと考えております。このような尖閣諸島周辺のわが国領域内で独自の主張をするといった、海警船舶の活動は、国際法違反であり、これまで中国側に厳重に抗議をしてきております。

 様々な形で、日本と米国で連携をするケースというのもあるわけでありますが、この海警船舶の活動に対する抗議というのは、日本として独自に行っているものであります。また、こうした中で、2月1日に中国海警法が制定されたことは深刻に懸念をいたしております」

※グレアム・アリソン=米国の政治学者。1940年生まれ。ハーバード大学ケネディ行政大学院(ケネディ・スクール)学長を務めた。現在は同大学ベルファー科学・国際問題研究センター所長。クリントン政権の政策担当国防次官補。

※カート・キャンベル=米国の外交官。1957年生まれ。クリントン政権でアジア・太平洋担当国防副次官補。オバマ政権で東アジア・太平洋担当の国務次官補。バイデン政権でインド・太平洋調整官。ジャパン・ハンドラーとして知られる。

 IWJ記者が質問で触れたアリソン教授による、台湾海峡有事のウォーゲーム全てでアメリカが中国に敗れたとの指摘については、日刊IWJガイドの中で詳細を紹介している。

 また、茂木大臣が言及した「トゥキディデスの罠」とは、アリソン教授が著書『米中戦争前夜――新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ』(ダイヤモンド社、2017年)の中で、古代ギリシャの歴史家・トゥキディデスによるペロポネソス戦争の考察をもとに提示した概念。同戦争のアテネ対スパルタをはじめ、第一次大戦の独英や第二次大戦の日米など、新興国が覇権国を脅かすことで戦争が勃発するリスクを指す。同書ではこれを現代の米中対立にあてはめて、米中戦争の可能性とその回避方策を論じている。

 しかし茂木大臣は「トゥキディデスの罠」は米中関係にあてはまらないと回答した。はたしてそうなのか?

 この茂木大臣の回答について、同じ2月9日の夜に実施し、IWJが生中継した、岩上安身による元外務省国際情報局長・孫崎享氏インタビューで早速取り上げた。その中で孫崎氏は、茂木大臣の回答を徹底的に批判した。

 このインタビューの該当部分を切り出して、茂木大臣会見とともにアップしているので、ぜひ御覧いただきたい。

▲茂木俊充外務大臣が定例会見で米中対立に戦争勃発のリスク『トゥキディデスの罠』はあてはまらないと楽観!? 岩上安身によるインタビューで元外務省国際情報局長・孫崎享氏は「大臣がアリソンが何者かを知らない」と批判! 2021.2.9

 以下にインタビューの該当部分の内容をご紹介する。

 IWJ記者の質問は、前日の夜中まで岩上安身が赤字を入れながら、練りに練って作成したものである。

 インタビューでは、前出の茂木大臣会見のIWJ記者による質疑応答部分を視聴した上で、岩上安身は、まず茂木大臣の回答の冒頭部分(恐らくですね、お話の中にありましたグレアム T. アリソン……こんなふうに考えているところであります)を取り上げ、孫崎氏に感想を求めた。

岩上安身「先生、まず、どうですか、(茂木大臣回答の)『これ(トゥキディデスの罠)は米国と中国の関係に当てはまらないと考えている論者が多い』、それは?」

孫崎享氏「この背景を少し説明していきますね。ハーバード大学には、いろんな先生がいるんですけども、このアリソンっていうのは、一時期、行政学院っていうか、ハーバードの中にある行政をやるところの学長だったんですよ。で、学者としてすごいんだけども、彼の授業は、私も彼の授業を取ろうと思って出かけたんですけども」

岩上「アリソンを直接ご存知なんですね?」

孫崎氏「うん。(アリソン教授は)『私の授業は、あなたたちが、アメリカの政府の安全保障の中心人物になる人材を育てることだ』と。『そのために私の授業がある』ということで、『それに応えるために、あなたたちは、課題をしっかりやらなきゃいけない』。

 で、『アメリカのホワイトハウスの仕事の仕方っていうのは、一番大切なのは大統領なんだけど、大統領にどのような形で接近するかというと、基本は1枚紙だ』と。『全ての問題で、1枚で書いて、それで説明するということが基本になっている』と」

■全編動画

  • 日時 2021年2月9日(火)14:45メド~
  • 場所 外務省 3F 会見室(東京都千代田区)

※本記事は「note」でも御覧いただけます。単品購入も可能です。
https://note.com/iwjnote/n/n505996551c98

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