2020年9月1日、東京千代田区の外務省で、茂木敏充外務大臣による定例の記者会見が行われた。
日英EPA(日英包括的経済連携協定)が来年8月にも大筋合意するのではないか、と言われているこの時期に当たり、IWJ記者は、協定に含まれている、政府の民間企業に対する情報開示要求を幅広く禁止する条項の例として「アルゴリズムなどの開示要求の禁止について拙速に決めるべきではないのではないか?」と質問した。
これに対し茂木外相は「電子商取引やデジタル分野でより高いルール作りが目指されているのは間違いない」として、今回の協定の目玉の一つが、デジタル取引に係る条項であることを認めた。
重ねてIWJ記者は、デジタル商取引の中でも「金融、株式、その他投資に関しても、アルゴリズムに問題があるといわれている」「国が一定の制限をかけないと、日本の市場が外国の草刈り場になってしまうのではないか?」と質した。
これに対して茂木外相は「様々な論点がその問題にある、という事は充分承知の上で協議を進めている」と問題が小さくないことを認めた。
デジタル商取引は外国勢が圧倒しており、不当競争や不正事案に対する政府の法規制が実態に追い付いていない状況を踏まえるならば、拙速、秘密裡に協定を結ぶことは避けなければならないことは明らかだ。合わせて、本協定ではデジタル商取引に関税を課すことも見送られる見通しだ。