「日本列島全土が中国のミサイルの射程距離内にあるのに『敵の射程外から発するスタンドオフミサイル』をどうやって日本国内に配備するのか?」IWJ記者の質問に岸防衛大臣は実質無回答!!~5.14岸信夫 防衛大臣 定例会見 2021.5.14

記事公開日:2021.5.14取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2021年5月14日(金)、午前9時40分頃より、東京都新宿区の防衛省庁舎にて、岸信夫防衛大臣の定例会見が行われた。

 冒頭、岸防衛大臣より、新型コロナウイルスの感染者数(前回、5月11日の定例会見以降、65名の自衛隊員の感染が確認され、感染者の合計は1583名。65名中2人は、海賊対処行動のためにジプチに派遣された隊員)、再生可能エネルギー活用に向けた電気調達見直しの結果についての報告があった。

 続いて、岸大臣と各社記者との質疑応答となった。IWJ記者は、前回の定例会見につづき、「スタンドオフ防衛能力」について、以下のとおり質問をした。

IWJ記者「5月11日の定例会見にて、弊社から『スタンドオフ防衛能力』について質問致しました際、岸大臣から、『基本的に、スタンドオフミサイルというのは、敵の圏外から攻撃をできる能力を有するものである』また「あくまでも、自衛隊員の安全を図るために、敵の射程外から発射するミサイルがスタンドオフミサイルだ』とのご回答をいただきました。

 北朝鮮・中国がまだ日本列島全土にミサイルを届かせられない段階ならば、大臣がお使いになっている『スタンドオフ』という言葉は意味をもちます。

 しかし、現在、中国も北朝鮮も、日本列島全域を射程距離に収めており、中国の場合、2020年度の防衛白書にも、記してありますが、短距離弾道ミサイルが750発から1500発、日本列島を含む第一列島線を射程に収めています。日本列島全土が射程距離内におさめられているというのに『敵の射程外から発するスタンドオフミサイル』をどうやって日本国内に配備するというのでしょうか?

 敵の射程外から発するミサイルを配備するというならば、日本国内ではなく、第2列島線の東、太平洋のかなたに配備しなければならないということになります。

 失礼ながら、大臣も防衛省も、現実を国民にわからせないために、このような、おかしな矛盾した言葉の使い方をなされているように思われてなりません。この点ご説明下さい」。

 この質問に対し、岸大臣は以下のように回答した。

岸防衛大臣「あの、まず、我が国の防衛政策、あるいは防衛力整備というものは、特定の国を対象としたものではなく、我が国の防衛にあたっては、探知範囲や射程といった『脅威圏外』から、すなわち、敵に近づくことなく、敵の水上部隊や水陸部隊に対処する能力を持つことが、不可欠である。

 この点で、技術的進展等により、各国の早期警戒管制能力、各種のミサイルの性能が、著しく向上して、敵の脅威圏が拡大していることを踏まえれば、現在自衛隊が保有する地対艦ミサイルの射程では、これを運用する自衛隊の部隊が敵の水上部隊や、これを支援する敵の航空部隊等の脅威圏内において対処せざるを得ないという状況である。

 このような認識のもとで、隊員の安全を確保しつつ、我が国を防衛するため、スタンドオフミサイルとして、令和3年度に、地対艦誘導弾能力向上型を計上したところである。

 想定される様々な弾道ミサイル等もあると思われるし、そういう意味で言えば、ICBMなどを考えれば、どこにいても、敵の圏内ということになるわけだが、そういったことではなく、そればかりが戦術ということではなく、今言ったような、敵の水上部隊・陸上部隊といったものに対し、しっかり対処していくことも必要である。そのように考えている」

 IWJ記者は、続けて、以下の質問をした。

IWJ記者「あと一点、自衛隊についてうかがいます。自衛隊は現状、在日米軍と垂直統合されているように見えます。ミサイル攻撃をするという判断を含めて、有事の際、日米合同軍の指揮権は米軍が握るのでしょうか。それとも自衛隊の指揮権は日本政府のもとにあるのでしょうか。米国が駐留して実権を握っているという点で日本と似たような状況である韓国では、この指揮権についての議論が活発に行われています。

 日本では指揮権についての説明が決定的に不足しています。ミサイルは誰が発射命令をだすのか、ご説明下さい」

 これに対し、岸大臣は以下のとおり回答した。

岸防衛大臣「まず、同盟関係にある米国とは、日頃から緊密に意見交換・情報交換をしているところである。部隊の運用、そういったことに関しては、お答えすることは控えさせていただきたい。

 また、日米は共同で作戦を行うが、双方の指揮系統にしたがって、運用されるということであるので、ご理解をいただきたい」

 岸防衛大臣からの報告、そして各社記者との質疑応答の一部始終は、全編動画にてご確認いただきたい。

■全編動画

  • 日時 2021年5月14日(金)9:30~
  • 場所 防衛省 A棟11階 第1省議室(東京都新宿区)

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