2021年4月12日(月)、午後2時より、東京都千代田区の参議院議員会館にて、国際環境NGO FoE Japan、原子力資料情報室、No Nukes Asia Forum Japan、グリンピース・ジャパンの呼びかけで、「福島原発事故10年 汚染水を海に流さないで! 原発もうやめよう!」と題し、政府への署名提出と記者会見が開催された。
福島第一原発の敷地にためられているALPS処理汚染水(トリチウム水)について、政府は4月13日に海洋放出を決定した。
海洋放出の決定にあたって政府は、このたびの呼びかけ団体からの再三の「公聴会」開催要請に応じず、技術者や研究者が参加する「原子力市民委員」が提案している「大型タンクによる長期安定的な保管」または「モルタル固化処分」などの代替案についても検討していない。
冒頭、この1月28日から、オンライン上で、88の国と地域から集められた、「汚染水を海に流さないで」、そして、「原発はやめろ」と訴える6万431筆の署名が、資源エネルギー庁の担当官に手交された。
手交の前に、福島県会津若松市在住の片岡輝美さんは、資源エネルギー庁の担当官に、次のように伝えた。
「ここ、霞ヶ関に私たちの怒りがどれほど届いているかわかりませんが、『菅首相、海洋放出の方針決定か?』とのニュースが流れた途端、福島県各地で反対の行動が起きています。一昨日は、郡山駅前で30人以上の人たちが、昨日は、いわきの50人以上の人たちが集まっています。会津でも、人数は少ないが、ここぞとばかりに反対の声をあげています。(中略)
そんなたくさんの人たちの『思い』が、これから渡す署名には託されています。福島県民だけではない、全国の国民であり、県民であり、そして世界の人たちからの声をきちんと重みをもって受け取ってください。重みを感じているのであれば、海洋放出は絶対にできないと思います。そのことをしっかりと受け止めていただきたいと思います」
署名の手交を受けた資源エネルギー庁の担当官は、「皆さまからの思い、確かに、受け取りましたので、持ち帰り、伝えていきたい」と述べて、退出した。
続く記者会見では、冒頭、国際環境NGO FoE Japan事務局長の満田夏花氏より、福一原発の処理汚染水問題の現状と展望について、次のとおり説明があった。
「皆さんもご存知のような状況で、いろいろと喋りきれないほどの大問題だと思っている。
特に、私が強調したいのは、ぜんぜん民主的な手続きが踏まれていないということ。あたかも、アリバイ作りのように、いきなり、全漁連の岸会長との会談が先週の水曜日に行われ、その翌々日くらいには、メディア各社に『火曜日に閣議決定する。汚染水を海に流す』という情報が流れ、おそらくレクも行われたのだと思う。
これは、本当に許すことのできないような乱暴な決め方だと思っている。昨年の2月にALPS小委員会が、『海洋放出』を有力な選択肢とする案を含んだ報告書を出したが、それ以来、資源エネルギー庁は、一度も、公の場で、ALPS汚染水の『海洋放出』に関する説明会も行なっていないし、当然、公聴会もやっていない。
やっているのは、ご意見をうかがう場として、彼ら自身が『関係団体』だと決めた、主に、産業関係の団体とか、浜通りの自治体とかの代表者を呼んで、43人に意見を聞いたと。つまり、一般市民は、きちんと説明をされていないし、様々な問題に関して、議論も行われていないということです。
もうひとつ強調したいのは、実際『海洋放出』される水に何が含まれているのか、何がどのくらい含まれているのか、ということは説明されていない。
トリチウムが860兆ベクレル含まれるというふうにされているが、現段階でもタンクの水の中に、7割以上のタンクについて、基準値以上の放射性物質が含まれている。最大で2万倍であるということは発表されている。
東電は、二次処理してから流すとしているが、二次処理をした結果、どの放射性物質がどのくらい残留するのか、ということは今、わからない。
重要なのは総量だと思う。政府はいつも濃度について、濃度を基準値以下にすると言うわけだが、総量としてどれくらいになるかは示されていない。
また、日本政府は年間22兆ベクレルのトリチウムを40年くらいかけて放出すると説明していると思うが、その『年間22兆ベクレル』だが、これは福一原発が2010年に海洋放出したトリチウムは2兆ベクレルくらいだが、その10倍くらいの量になるということ。そういったことも説明されていない」
満田氏の状況説明後、各登壇者の発言があり、それを受けての質疑応答が行われた。
その後、官邸前に場所を移し、「汚染水を海に流すな!」官邸前アクションが行われ、社会民主党党首で参議院議員の福島瑞穂氏らが、政府の『海洋放出』方針を決定しようとしていることを激しいスピーチで厳しく批判した。
署名の提出、記者会見、そして反対アクションの詳細については、全編動画を御覧いただきたい。