【特別寄稿】英エセックス大人権センター・フェロー藤田早苗氏のイギリス・ロックダウンレポート第3弾! ロックダウン緩和期の英国の実像!! 第2波への懸念!!~(その5)マスク観大変化&入試代わりの成績評価で貧富間を差別編 2020.11.7

記事公開日:2020.11.7 テキスト
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(藤田早苗)

 ロックダウン中と、ロックダウン緩和が始まった時期の英国から、第1弾と第2弾のレポートを寄稿していただいた、エセックス大学人権センター・フェローの藤田早苗氏から、第3弾となる、ロックダウン緩和時期のレポートが届いた。

 長文の寄稿なので、6回に分けて、ロックダウン緩和時期以降の英国の状況を連日お伝えしている。今回は短期集中連載第3弾の5回目である。

 1回目は教会や店舗の再開と「英国版Go To Eat」政策等、2回目は芸術文化と若者等への支援や、コロナ対策としての肥満対策、3回目はロックダウンで急増した自転車利用やガーデニングが英国人を癒したこと、そして4回目は欧州各国との国境が開かれて英国人が旅行し始めたが、「帰国後2週間隔離」の免除国が頻繁に変わるため起こった大混乱をお伝えした。

▲マスクの購入・着用を呼び掛けるポスター。(藤田早苗氏提供)

 5回目の今回のテーマは、専門家も「マスクは無駄」とした英国でも、他の欧州諸国に遅れて着用が義務付けられた「マスク」対応の変遷。そしてコロナで中止された大学入試(日本のセンターテストに相当)に代わる成績評価の際、富裕層と貧困層のエリアで意図的に差が付けられた問題が取り上げられている。

 以下は藤田氏の5月の第1弾と6月の第2弾レポートである。こちらもぜひ御覧いただきたい。

(前文・IWJ編集部)

専門家が「マスクは無駄」!! マスク敬遠の英国人

 日本では、風邪予防や花粉症対策で、コロナ以前からマスクは普通のことだし、このいわゆる「マスク信仰」のようなものがコロナの感染拡大防止に効果があったであろうことは疑いない。

 一方、欧州ではコロナ以前はマスク姿を見ることは皆無だった。「あれは医療関係者だけが使うもの」という認識で、もし誰かがマスクをしていたら「危ない病気を患っている」とみられて、警戒されるという。また、マスクは「言論弾圧の象徴」として、嫌がる人もいるそうだ。だから、一般人はどれだけひどい風邪をひいていようが、お構いなしでマスクもせずに、人前で咳きこんだりしていた。

 普通のマスクは自分がウィルスを拡散するのは防止できるが、PPEマスクでなければ自分の感染予防にはあまり効果はない。だから、コロナ禍のイギリスでは「マスクは無駄」という意見が専門家からも延々と発せられていた。また、「一般人にマスクを義務付けると、医療従事者へのマスク不足が心配だ」という政治家の声もあった。というわけで、なかなかマスクは普及しなかった。

マスク着用率は伊西独70%に対して、英国25%!

 だが、欧州ではまずチェコが店内などではマスク着用を義務付けた。「私は拡散しないようにするから、あなたもそうしてください」。つまり、たとえスカーフでも口を覆って、みんなが拡散防止をすれば、感染の危険性は下がるということだ。そしてイタリアなどもそれに続いた。

 マスク着用率はイギリスでは25%しかなかったが、イタリア、スペイン、ドイツなど他国は70%前後だった。

英国やっとマスク義務付け!!

 そしてイギリスは他の欧州の国に比べてずいぶん遅れたが、やっと5月には公共交通機関、7月24日からはすべての店内でマスク着用が義務付けられた。つまり、マスクなしだと入店を断られる。

 いろんなところで、主に布製のマスクが販売され始めた。当初は一つ500円前後のものしか見当たらなかったが、最近はもう少し手ごろなものが入手可能になった。また秋からの学校でも、子供たちは廊下や食堂などではマスクを着用すべき、ということが決まった。

▲マスク着用を呼び掛けるポスターその1。(藤田早苗氏提供)

▲マスク着用を呼び掛けるポスターその2。(藤田早苗氏提供)

▲マスク着用を呼び掛ける表示。(藤田早苗氏提供)

▲マスクの路上販売。(藤田早苗氏提供)

▲ソーセージ・スタンドのスタッフも客もマスク着用。(藤田早苗氏提供)

入試中止に代わる成績評価で、スコットランドは貧困層を富裕層より減点!!

 コロナで延期やキャンセルになったものは数知れない。その中には人生を決める大事なものもある。日本では、5月に予定されていた司法試験は8月に延期されて実施された。大学入試もどうにか行われたようだ。

 イギリスにも日本のセンターテストのようなものがある。しかし、今年はコロナで実施できず、それまでの学校での成績を基に教師が推定してスコアをつけた。スコットランドでは、それをすべての学校から集めて、公共機関であるスコットランド資格認定局が「調整」した。だが、その過程で貧困層エリアの学校の生徒たちは富裕層エリアの生徒よりもスコアを多く減点されていたことがわかった。通常そのエリアの学校の成績はよくない、という前提で取られた措置ではないかと疑われている。これは差別なく教育を受ける権利の侵害でもある。

高校生100人が抗議デモ! 教育大臣「気づかせてくれた若人に感謝」!!

 そして、100人ほどの高校生がグラスゴーの広場でデモをした。生徒たちは「生徒は統計じゃない」「地域別での抽選はやめろ」とプラカードを掲げて当局のその差別的な操作に抗議し、メディアも広く報道した。その結果、教育省の大臣が「大変申し訳なかった。この問題に気づかせてくれた若人に感謝する」と議会で述べ、解決に向かったのだ。

▲グラスゴー大学。(Wikipedia)

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