【特別寄稿】英エセックス大人権センター・フェロー藤田早苗氏のイギリス・ロックダウンレポート第3弾! ロックダウン緩和期の英国の実像!! 第2波への懸念!!~(その1)営業再開=閉店セール!&「英国版Go To Eat」編 2020.11.3

記事公開日:2020.11.3 テキスト
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(藤田早苗)

 エセックス大学人権センター・フェローの藤田早苗氏から、ロックダウン緩和時期のレポートが届いた。

 藤田氏には、ロックダウン中と、ロックダウン緩和が始まった時期の英国から、第1弾と第2弾の現地レポートを寄稿していただいていた。今回はその続編、第3弾になる。

 長文の寄稿なので、本日から6回に分けて、ロックダウン緩和時期以降の英国の状況を連日お伝えする。

▲「英国版Go To Eat」の“Eat out to help out”「外食して応援」政策に参加の飲食店。(藤田早苗氏提供)

 藤田氏のレポートによると、英国の感染率は9月に急激に悪化し、10月には警報レベルが「高」や「非常に高い」になる地域が出て危機感が高まったという。そして10月31日夜(日本時間11月1日未明)にはついに、ジョンソン首相が、首都ロンドンのあるイングランドで11月5日から12月2日まで再びロックダウンを実施すると発表したことが報じられた。

 英国を含む欧州の「第2波」による感染者の急増は、下記グラフで如実に示されている。厚生労働省が11月1日に発表した英国の感染者数は101万4793人である。

▲累計感染者数グラフ『欧州に強烈な第2波』(nippon.comより 厚生労働省の資料をもとに作成、WHOや各国の公表値とは異なる場合がある)

 一方、藤田氏のレポートで、ロックダウンが緩和された夏の時期を振り返ると、ロックダウン中にサイクリングや庭いじりで心を癒した英国人も、緩和時期には、日本の「Go to Eat」に似た「Eat out to help out(外食して応援)」という政府のキャンペーンに参加し、ホリデー(夏季休暇)には欧州旅行に出かけた人も多かったことが伝えられている。9月からは若者を中心に感染が拡大したという。

 来年の東京五輪開催強行をにらみすえて、海外からの入国も再開しようとしている日本にとって、欧米での感染の再拡大は、「対岸の火事」ではすまされない。

 日本政府はアジア太平洋諸国16ヵ国・地域を対象に、海外と日本双方のビジネスパーソン等の日本への入国・帰国時の14日間待機を緩和する措置を順次進めており、11月1日時点で10ヵ国に実施した(対象16ヵ国:ベトナム、タイ、豪州、ニュージーランド、カンボジア、シンガポール、韓国、中国、香港、マカオ、ブルネイ、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、ラオス、台湾)。

 さらに11月1日から、日本居住のビジネスパーソンに対しては、原則全世界の国・地域の短期出張からの帰国・再入国時の14日間待機を緩和するなど、海外からの入国制限を順次緩和し始めている。

 しかし、この欧米での感染再拡大の現状についての政府と大手記者クラブメディアの反応は鈍い。大手メディアが東京五輪開催が絶望的となる入国規制再強化に対して、消極的な姿勢を見せているのは、大手メディアが五輪スポンサーであり、五輪放映による収入増を見込んでいるためではないかと疑わざるをえない。

 藤田氏による今回のレポートでは、マスク義務化について、大学進学やキャンパス・ライフへの影響、さらにコロナ対策がスコットランド独立に与える影響などについてもお伝えしていく予定である。

 短期集中連載第3弾の1回目である今回はまず、冒頭で9、10月の感染拡大状況の報告、続いて夏の緩和期の様子をふり返っていく。教会再開の一方で、9月から若者の感染拡大と「ローカル・ロックダウン」の発生、衣料品店や飲食店等が再開するなかでの「営業再開=閉店セール」の様子、英国政府の休業補償や「英国版Go To Eat」政策等についてお伝えする。

 以下は藤田氏の5月の第1弾と6月の第2弾レポートである。こちらもぜひご覧いただきたい。

(前文・IWJ編集部)

感染率は9月急激に悪化し、10月には警報レベルが「高」や「非常に高い」に!!

 欧州では夏にロックダウンを緩和してから徐々に感染率が上がりはじめ、イギリスも9月になって急激に悪化してきた。しばらくは、特に感染率が高い地域の「ローカルロックダウン」で対応してきたが、それでも感染は全国で拡大し続けている。検査数も春に比べて大幅に増えて、毎日30万件ほどの検査が行われている。しかし、確実に入院患者や死者の数も増えてきており、この感染者数の増加は検査数が増えたことだけが原因ではない。

 10月12日、ジョンソン首相は「中」、「高」、「非常に高い」という新しい3つのレベルによる警報システムを発表した。

 リバプールはもっとも感染が深刻で最高レベルだ。ロンドンや私のいるエセックス地方は「中」だったが、10月15日に「高」になってしまった。これにより、屋内で人と会うことが禁止されることになった。「非常に高い」というレベルになると、春のロックダウンとほぼ同じ状態の規制がかかる。そして、ローカル・ロックダウンでは感染拡大を抑えることはできないという判断で、11月5日からとうとうイングランド全体でロックダウンが施行されることになった。イギリスは再びそこまで深刻な状況になっているのだ。

お葬式以外は全ての集会禁止だった!8月に教会再開したがZOOMで礼拝も!!

 3月末に完全なロックダウンに入ったイギリスは、3ヶ月を過ぎた6月末ころから少しずつ緩和を始め、この夏は「ニュー・ノーマリティーの社会」で感染防止対策とその経済への影響とのバランスを探る模索が見られた。また同時に、感染の第2波が来ていることもすでに懸念されていた。今回のレポートでは、それらについて報告しようと思う。

 3月からのロックダウンでは結婚式含め、あらゆる集会は禁止だった。教会などの集会も数人のみでのお葬式以外はすべて禁止だった。私も毎週教会に行っていたが、しばらくお休み、という状態だった。

 そして8月の初めに教会が再開した。といっても、人数を制限して建物の中も一方通行、全員マスク着用、トイレは使用禁止。それぞれかなり間隔をあけて座り、讃美歌を歌うことも禁止、という制限付きだ。まだ警戒して教会に来ない人もいて、彼らはZOOMで礼拝に参加した。

▲再開した教会での礼拝もソーシャルディスタンスで。(藤田早苗氏提供)

山場通過しても9月に若者の感染拡大! 「ローカル・ロックダウン」発生!!

 教会員の一人はNHS(編集部注:National Health Service、国民保健サービス)の職員だ。彼女が、「知っている患者や同僚たち10人が亡くなった。本当につらかった」と話していた。彼女も感染してかなりつらい症状を経験したようだ。感染ピーク時の医療現場のすさまじい状況はテレビで見ていたが、実際に関わっている人の話は切実だった。

 イギリスは少なくともあの山場は通過した。しかし、9月になって特に若い世代で感染が広がっていった。また、特にイギリス北部で地域的に感染者数が伸びている地域があり、「ローカル・ロックダウン」が数か所で行われた。

6月に食品・薬局以外の店も営業再開し、長蛇の列が!

 ロックダウンが開始した3月末からは薬局と食料品店しか営業していなかったが、6月15日からそのほかの店、non-essential shops(必須ではない店)も営業が再開した。それにあわせて街の中には人々ができるだけ近距離ですれ違わないように、左側通行の印や仕切りが設置された。

 プリマークなどの店の前には長蛇の列ができた。もちろん店内に入れる人数は制限されている。品物は1~2週間の返品期間が与えられて、店内で試着はできない。いろいろと新しいルールがあるが、町が活気を取り戻してきたのはうれしかった。

▲再開したプリマークの店舗前。(藤田早苗氏提供)

▲街の中のサニタイザー。(藤田早苗氏提供)

▲街の中のソーシャルディスタンスの指示。(藤田早苗氏提供)

しかし人気ブランド「ローラ・アシュレイ」は「営業再開=閉店セール」!!

 だがコロナの影響で営業が難しくなり、いろんなチェーン店が、何店舗閉店することになったとか、従業員を何人解雇することにしたとかいうニュースもよく報じられている。また「営業再開」が「閉店セール」の店もある。

 その一つはイギリスのライフスタイルブランドのローラ・アシュレイ (Laura Ashley)だ。近年は経営が振るわなかったが、コロナの感染拡大で客足が落ちたことが影響したという。

(…会員ページにつづく)

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