【特別寄稿】英エセックス大人権センター・フェロー藤田早苗氏のイギリス・ロックダウンレポート(その2-2)〜ちょっとだけ緩和されたロックダウン:非常時の警察権力の監視を怠るな!編 2020.6.14

記事公開日:2020.6.14取材地: | テキスト
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(藤田早苗)

 前回、ロックダウン中の英国からレポートを寄稿していただいた、エセックス大学人権センター・フェローの藤田早苗氏から、第2弾となるレポートが届いた。長文の寄稿のため、昨日から5回に分けて、ロックダウンの緩和を迎えた英国の現状を連日お伝えしている。本日はその2回目である。

 1回目では、コロナのどさくさにまぎれて、ロンドン近郊で中国資本の原発建設計画が進行中であることに危機感を募らせていることをお伝えした。

▲STAY HOME STAY SAFE(藤田早苗氏提供)

 短期集中連載の2回目である今回のテーマは、「非常時の警察権力の監視を怠るな!」である。

 ロックダウンで市民の権利制限の権限が与えられた英国の警察は、威圧的ではないが、「権限の濫用」と批判されるケースもある。一方、米国の警官によるジョージ・フロイド氏殺害への抗議は、奴隷貿易と植民地の歴史を持つ英国でも拡大。奴隷商人の銅像が川に投げ込まれ、植民地政策を進めた政治家の銅像撤去も求められている。

 そうした問題意識の広がりと深まりに比べ、「日本の報道は本当にひどい」と藤田さんは慨嘆する。日本のNHKがツイッターで公開した「白人と黒人の格差」の解説動画は、日本国内で問題視されるだけでなく、英国のガーディアン紙でも取り上げられて批判された。NHKという局の、「勉強不足」と「人権意識の欠如」は明らかと藤田さんは厳しく批判する。

(前文・IWJ編集部)

警察にはどのような権限があるか?~非常時であっても「権力の監視」は怠ってはならない!

 日本で緊急事態宣言が発動された直後、東京の町で警察が自粛要請の威圧的な「声かけ」をしていたことが話題になった。私もネットで動画や写真を見た。世界には警察に相当な権限が与えられ、外出している住民を暴力で家に追い返す姿もよく報じられていた。

 イギリスはどうか? この国も3月のロックダウン開始と共に、それまでにない権限が警察に付与された。BBCの記事では次のように説明されている。

 「警察は、ロックダウンの実施によるコロナウイルスとの戦いをサポートするために、幅広い権限を有している。警察に提供されている3つの主要なツールは次のとおり。

・感染性があると思われる場合、検査対象の人を拘束する
・重要でないビジネスの広い範囲を閉鎖できる
・誰かが移動したり集会に参加したりする権利を制限する

 これらの権限は、大臣の命令を受けて英国の各地域で投票なしに発効した。

 (中略)誰かが規則に従うことを(たとえば、バーベキューを解散して家に帰る要求などを)拒否した場合、警官はその場で罰金を科すことができる。基本的には、駐車場のチケットのように、裁判所の関与なしに即時罰金を科すことができる。イングランドでは、これらのペナルティは最初の違反に対して£100から始まる。上限は£3,200まで」

 3月27日から5月11日までに違反で罰金を課されたのは、14,000件以上あったらしい。だが私が見る限り、警察は威圧的ではない。芝生で数人でくつろぐ人に「君たち、ホリデーじゃないんだよ」と注意して帰宅を促すような感じだ。町で見かけた警官に聞いてみたら、「威圧的にせず、ソフトアプローチをするようにという政府からの指示がある」と言っていた。

 それでもロックダウンが始まったころ、「1日1回1種類の運動」のつもりで車で郊外の国定公園まで行って犬の散歩をさせていた人を、警察が上空から撮影して「こういうことをしてはいけません」とソーシャルメディアにアップしたことがあり、「権限の濫用ではないのか」「どこまで許されるのか」とニュースで厳しく問われていた。毎日のブリーフィングでも警察庁から登壇者があり、細かく質問を受けていた。「権力の監視」は怠ってはいけない。

(…会員ページにつづく)

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