6月8日、西村康稔全世代型社会保障改革担当大臣が「全世代型社会保障検討会議」の後で記者会見を行った。
西村大臣は冒頭で、同日発表の「景気ウォッチャー調査」について報告した。
「まず本日発表した景気ウォッチャーについては、5月の景気ウォッチャー調査ということで、5月25日から31日にかけて調査を行った。
景気の現状判断DIは15.5と、過去最低を更新した前月を7.6ポイント上回った。また、先行き判断のDIも、前回36.6であったが、それを19.9ポイント上回った。
先般公表された4月の家計調査で消費指数が、前年比で最大の下げ幅で11.1%。また、四月の景気動向指数も最大の低下を記録したということで、厳しい状況にある。
一方、今回5月の景気ウォッチャー指数をみると、経済活動が徐々に再開する中で、現場の方々の景況感が、最も厳しい状況を脱し、今後に対する期待感も急速に上向き始めている、そういう状況でもあると受け止めている。
4月から5月にかけて、緊急事態宣言が発出されていた。経済活動を抑制する形で、縮小を余儀なくされた形だ。これはまさに、国民の皆さんにご協力をしていただいた結果でもある。
あらためて感謝申しあげるし、足元では緊急事態宣言も解除され、徐々にではあるが段階的に、経済活動が引き上げられている、そうした中で前向きな見方が広がっているという風に思う。
他方、今回の調査でも、雇用関係の指標をみると、改善テンポも弱く、景気ウォッチャーのコメントにも、求人の減少とか派遣労働者の契約終了とか、新卒採用の鈍さなどが引き続き指摘されている。
雇用情勢には厳しい見方もあるが、現状は企業が必死に雇用を守り、踏みとどまっている状況だと理解している。4月の失業者が6万人増ということで増えてはいるが、他方休業者が450万人増加し、650万人に上っている。これは、休業の形であるため、企業が雇止めということではなく、休業という形で、雇用を踏みとどまっている状況である。こうした皆さんの努力に感謝する。
政府としては雇用調整助成金の大幅拡充、そして迅速な支給をはじめ、第二次補正予算を提出したので、その早期成立と実行に全力を挙げていきたいという風に思う。
雇止めや失業となった方々にはマッチングをできるだけ行っていきたい。物流関係であったり、スーパーであったり、あるいはIT関係の技術職であったり、求人を増やしている。これは新卒も中途採用・キャリア採用なども含めて、必要としている分野もあるので、そうした業種を超えたマッチングと、それから、来年の新卒の雇用の問題。就職氷河期を生まないという決意のもとで、新卒の皆さんの雇用の問題、そういったことについて、事業所管の省庁と協力しつつ、経済界や自治体にも積極的に働き掛けを行っていきたい。そうした取り組みを強化していきたいと考えている。
持続化給付金の増額拡充、家賃支援の給付金などの事業支援。それから総額140兆円規模の強力な資金繰り支援を含む、二次補正予算の早期成立させ実行していくことで事業・雇用・生活を守り抜いていく」
以上の冒頭報告ののち、IWJ記者がコロナウイルスに関する政府の専門家会議の議事録について質問し、西村大臣が回答した。
IWJ記者「新型コロナウイルスに関する政府の専門家会議の議事録について質問です。
政府専門家会議の議事録が作成されていない問題で、西村経済再生担当大臣は6月7日、『引き続き、従来と同様の形で議事概要を作成、公表することとしつつ、今後、開かれる会議以降の議事概要については発言者名を明記する』ことを表明されました。
国民の自由を制限する重要な提言を行う専門家会議の議事録がない、そもそも対策本部の議事運営規則もないとのことですが、これでは理論上、安倍総理が一人で好きなように政策を決められるとの批判にどのようにお答えになりますか?」
西村大臣「先日は時間がなくて、質問に答えられなくて、申し訳なかったと思ってます。
専門家会議についてはですね、まずこの文書管理のガイドラインのもとでですね、意思決定をする会議ではありませんので、発言者の名前と発言とを一対一で対応する形での記録はとらなくても、どんな資料が配られ、そしてどういった議論が行われたかということがわかればいいというガイドラインになっています。
そのことも踏まえながらですね、一回目の会議のときに、自由かつ率直にご議論いただくために、発言者が特定されない形での議事概要を作成して、公表するという方針について、メンバーの皆さんのご了解をいただいて対応してきたところであります。これは適切な対応であったと考えています。
その議事概要ですけれども、呼び方を何というかは、議事録というか、記録というか、議事概要というか、いろいろありますけれども、かなり細かく、詳しく、作成して、議論の内容がわかるように、丁寧に作成して、公表してきております。以前にも、パネルでも見させていただいていますし、ホームページでも公表しておりますので、見ていただければわかると思います。
また、持ち回りで開催したとき以外はですね、これ、すべてといっていいと思いますけれども、専門家の皆さんがみずから、平均一時間くらいですね、終わった後に記者会見をされて、どういう議論があったかについて、丁寧に説明をされてきています。
そういう意味で、何も隠すことはありませんし、専門家の皆さんから意見をいただく会議ということで、しっかりと記録を残してきています。
繰り返しになりますけれども、自由に、そして率直に意見をいただくと、そしてこういう形で残します、と、名前等特定した形にはなりませんということで、そういう前提でご発言されてきていますので、あらためて、先般の5月29日の専門家会議で議論が出たことを踏まえて、専門家の皆さんに、座長と相談のうえでですね、お一人お一人のご意見をうかがいました。その結果ですね、やはり引き続き、これまでの会議については、従来と同様の形にするようにしました。
しかしながら、今後はですね、皆さんのご意見とご相談をしたうえででありますけれども、お名前と発言とを明記をする形で、しっかりと議事概要を、議論の内容がわかる形で公表したいと、作成し公表したいと思っております。
あわせて、ガイドライン上のものでは、ガイドラインに沿って、この議事概要をつくるということで、ガイドラインに沿った対応なんですけども、保存されている速記録についてですね、これは、各委員や出席者にご確認をいただいたうえで、速記ですから、聞き取り違いなどもありますので、それはしっかりと確認をしていただいたうえで、残していくこととしたいと考えております。
速記が入っていない第一回と第三回についても、それぞれ録音を取り、その録音をもとに同様の記録を作成し、記録としてこれをしっかり残していきたいと、考えています」