(再掲載)【第402-408号】岩上安身のIWJ特報!いつでも独裁が可能!? いつまでも独裁が可能!? 憲法で堂々と独裁を肯定!? より危険性が高まった自民党新改憲の緊急事態条項!岩上安身による永井幸寿弁護士インタビュー(後編) 2018.11.3

記事公開日:2018.12.29 テキスト独自
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「岩上安身のIWJ特報」 まぐまぐ アワード2018ジャーナリズム部門5位受賞!

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 自民党憲法改正推進本部の下村博文本部長は2018年11月15日、国会での改憲論議に否定的な野党を「職場放棄」と罵った。自らの疑惑についての説明責任は棚に上げ、暴言を吐きつつ、強行採決に向けて暴走をする。この下村氏の強引で、自らを省みない猪突猛進ぶりは、自民党が憲法改正に向けてなりふりかまわず猛進しようとする姿勢を如実に表している。

 結果として批判を浴びた下村氏は、この暴言がきっかけで衆議院憲法審査会の幹事の辞退に追い込まれ、20日には委員からも外されることになったが、与党の姿勢は変わらず、緊急事態条項を含む憲法改正の発議の危機が目前に迫っていることには何も変わりもない。

※「職場放棄」発言の自民 下村氏 憲法審査会の委員も外れる(NHK NEWS WEB、2018年11月21日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181121/k10011718041000.html

 民放連(日本民間放送連盟)は2018/11/25年9月20日、憲法改正の国民投票に関して、テレビCMの上限規制を自主的に設けることはしないことを表明した。つまり、改憲CMが青天井で、量的制限なく、民放各社で朝から晩まで流されるというのである。影響を受ける人は山ほどいるだろう。民放は中立ではなく、改憲に積極的に加担した、と言わねばならない。

 臨時国会で改憲が発議されてしまえば、改憲賛成派は、圧倒的な資金力で改憲に肯定的なCMを打ち、草の根で改憲運動を推進する日本会議などを通じて組織票を動員するだろう。

※国民投票CM、量的規制せず 民放連(朝日新聞デジタル、2018年9月21日)
https://www.asahi.com/articles/DA3S13688535.html

 2017年5月3日の憲法記念日に、安倍総理が「2020年を新しい憲法が施行される年に」と発言したことを受けて策定が進められ、2018年3月25日の自民党大会において条文の形で発表された、「改憲たたき台素案」4項目のひとつ、自民党新「緊急事態条項創設」案。

 2012年に発表された自民党改憲草案における、あの居丈高なトーンは鳴りをひそめ、一見「おとなしい」規定に変わったように見える、この新「緊急事態条項創設」案のはらむ危険性にいち早く気づいた永井幸寿弁護士は、岩上安身によるインタビューで、そこに仕込まれたいくつものトラップを暴いてみせた。

 「自然」災害だけでなく、「武力攻撃災害」も含めた「大規模な災害」時に、内閣が制定できるとある「政令」は、第73条6号に規定される通常の意味での災害対策の政令ではなく、大日本帝国憲法下の「緊急勅令」に相当する「独立命令」=独裁権限であること。

 旧案にはあった「内閣総理大臣による緊急事態の宣言」も解除規定としての「事前または事後の国会の承認」も、今回はすべて取り払われ、内閣が「国会による法律の制定を待ついとまがない」と「主観的」に判断すればいつでも国会を無視して立法ができるしつらえになっていること。

 そして、内閣が制定できる「政令」の内容についても、「国民の生命、身体および財産を保護するため」以外の何の限定もなく、内閣がそれを名目にして人権制限や報道規制、核保有、さらには、先制核攻撃や他国の戦争への参加など、何でもできるようになっていること。

 こうした「いつでも独裁、何でも独裁」に加えて、今回お届けするインタビュー後編では、この新「緊急事態条項」が、いかに内閣による「いつまでも独裁」を可能にするか、が明らかにされる。

▲永井幸寿弁護士

 そして岩上安身は、安倍政権となって以来加速的に進行する国内外のさまざまな動きや出来事が、中東や極東での有事の際に日本の自衛隊を米軍の指揮下で実戦に使うための、米国による「傀儡政権」への支配の強化であり、そのための改憲であるとの確信を深める。

 「国体護持」を標榜しながら、きわめて反皇室的な言動を繰り出し、卑屈な対米従属姿勢を恥じない改憲勢力が目指すディストピアが、インタビュー後編で明確に見えてくる。

記事目次

  • 危険度アップの新「緊急事態条項」とその手口(7)「第64条の2」の改正〜「大地震その他の異常かつ大規模な災害」という「災害」規定には、武力攻撃災害が含まれる!これらが本命!「決めるのは国会」とは言っても「国会の多数派」次第!」
  • 危険度アップの新「緊急事態条項」とその手口(8)条文にはその『災害』がいつの災害か、一切書いてない!過去の災害を持ち出して都合のよい時に緊急事態宣言ができる!?
  • 危険度アップの新「緊急事態条項」とその手口(9)条文には地理的限定がない!『武力災害』の現地が日本列島とは限らない!海外の戦争に集団的自衛権で巻き込まれた場合にも使える!?
  • 危険度アップの新「緊急事態条項」とその手口(10)〜衆議院の任期延長に制限がない!?「お手盛り貴族院化条項」!? 緊急事態条項と共に衆議院が終身議員になる!
  • 大災害があっても、現行憲法下の諸制度でほとんどの対処はできる! 立法事実のない国会議員の任期延長には正当性がない!
  • 災害が起きた時は、被災者・被災現場に一番近い市町村が、その対策に従って行動する、というのが災害対策の本来の原則!「国家緊急権がなかったから被災者を助けられなかった」などという真っ赤なウソで、災害をダシにして憲法を変えてはいけない!
  • 改憲アピールと連動して行われる「独裁バンザイ」のプロパガンダ(1)〜NHKの岩田明子解説委員、ドゥテルテ比大統領の麻薬撲滅対策=超法規的殺人を「成功」と評し、公共放送で独裁を堂々肯定!?
  • 記者たちの「粛清」が始まっている!? 森友問題でスクープを連発していたNHKのA記者は窓際に左遷!
  • 改憲アピールと連動して行われる「独裁バンザイ」のプロパガンダ(2)〜櫻井よしこ氏と日本会議会長の田久保忠衛氏が『WiLL』で「独裁のススメ」!? 「民主主義を通じて全体主義に向かう国が増えている。日本もこの新しい流れに乗り遅れるな」!? なりふり構わぬ独裁擁護作戦が同時多発的に発動中!
  • 安倍政権の改憲案は、日本会議系「日本政策研究センター」の『改憲アジェンダ』そのまんま! 閣僚も日本会議だらけ! 宗教右翼に操られる安倍政権、お笑い芸人も取り込みつつ、大日本帝国下でも展開された「庶民の生活に根差すプロパガンダ」で一挙に改憲の空気作り!?
  • 改憲集会で、国民主権、基本的人権も平和主義をなくせ!と演説する長勢甚遠元法務大臣!? 「革命」とも「クーデター」とも言えない、不可解な「反革命」が始まろうとしている!
  • 「記者の2人も逮捕されれば、日本の報道はもう終わり!」心ある記者が現場を去り、あるいは毎日のように「処刑」されているのが日本の報道機関の現実!?
  • 日本は米国にとっての不沈空母、工場、植民地軍隊!? 日本会議にとっての「戦後の国体」とは「日米安保・日米地位協定・日米合同委員会」!
  • トランプを支えるクリスチャンシオニスト!米国の狙いは集団的自衛権と緊急事態条項で中東や極東の有事の際に日本を参戦させること!
  • 「独裁傀儡国家ニッポン」!? 改憲を通じて安倍政権が目指すのは、日本がどうなろうと構わぬ米国の便利な道具としての日本!
  • 実はとんでもなく怖い「いつでも独裁、いつまでも独裁、何でも独裁」の自民党新改憲案の緊急事態条項! 事実がちゃんと伝われば状況は変わっていく!

危険度アップの新「緊急事態条項」とその手口(7)「第64条の2」の改正〜「大地震その他の異常かつ大規模な災害」という「災害」規定には、武力攻撃災害が含まれる!これらが本命!「決めるのは国会」とは言っても「国会の多数派」次第!」

岩上「さて、話を自民党の新「緊急事態条項」に戻しますと、旧案では98条・99条で新設だったのに、今回は73条と64条という離れた条文の改正という形を取るんですね。73条についてここまでお話をうかがってきたわけですが、64条の2、これがまた問題であると。『第64条の2 大地震その他の異常かつ大規模な災害により』、ここに例の武力攻撃災害という概念(※1)が入ってくるんですね?」

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