自主避難者の住宅支援・除染が2017年3月で終了!? 住民と協議もなく、線量低減の目処もなく、期間だけを決める政府の姿勢―「病気リスクの高いところに住まわせられる」現実 2015.7.2

記事公開日:2015.7.18取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根)

※7月18日テキストを追加しました!

 「被害が津波と地震だけだったら、もう普通に福島で暮らせていた。災害救助法が適用できないのなら、新たに原発災害を含む(支援)法律を考えてほしい」──。原発事故で避難した女性は、住宅支援打ち切りと避難指示解除に関する政府交渉で、切実に訴えた。

 2015年7月2日、東京都千代田区の参議院議員会館で、東日本大震災の自主避難者への住宅支援打ち切りと避難指示解除に関する政府交渉が行われた。政府側の出席者は内閣府、復興庁、国土交通省の各担当者で、市民側は、避難指示が解除される予定の福島県飯舘村や富岡町からの避難者、すでに解除されている田村市都路地区からの避難者、さらに、弁護士やチェルノブイリ原発事故に詳しい専門家らも同席して意見を述べた。

 国は、福島第一原発事故によって「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」になった地域の指定解除を、2017年3月までに行うことを決めている。これに歩調を合わせるように、福島県は、自主避難者に対する借り上げ住宅制度(無償住宅供与)を、同じ2017年3月で打ち切る方針を明らかにした。

 この、自主避難者への住宅支援打ち切りに関して、政府担当者は、「災害公営住宅の整備、免責事業、除染事業がおおむね完了し、自治体の復興の対応が可能ということで、2017年4月以降、個々の市町村の状況に応じて緩和する」と淡々と述べた。FoE Japanの満田夏花氏は、数々の疑問をぶつけた上で、「原子力災害は、非常に長期に続く。現状を維持すべきだ」と述べ、避難者からも公的支援の継続を要求する声が上がった。

 さらに、環境省担当者が、「除染作業は、2017年3月に終了予定」と告げると、会場は驚きと憤りの声に包まれた。飯舘村は、今年、農地除染が始まったばかりで、この状況で帰還をうながす政府と自治体の姿勢に、参加者の怒りは隠せなかった。

記事目次

■ハイライト

  • 内容 署名提出/政府交渉(相手方:内閣府、復興庁、国土交通省)/政府交渉後の集会~今後に向けて
  • 発言者
    • 「チェルノブイリ原発事故後の政策との比較」 吉田由布子氏(「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク)
    • 「今後解除されていく地域からの避難者として」 長谷川健一氏(飯舘村からの避難者)、坂本建氏(富岡町から神奈川県に避難)
    • 「すでに解除された地域からの避難者として」 渡辺ミヨ子氏(田村市都路地区からの避難者)
    • 「人権問題との関係から」 伊藤和子氏(弁護士、ヒューマン・ライツ・ナウ事務局長)
    • 「帰還促進政策&避難指示解除の問題点」 満田夏花氏(FoE Japan理事)

支援継続を求める署名1万3172筆

 冒頭、主催者であるFoE Japanの満田氏が、「国による避難指示解除および帰還促進、住宅支援打ち切りに反対する主旨で、この集まりを開催した」と挨拶。市民代表が、「福島には、いまだに放射線量の高い地域もあり、子どもを持つ親たちの不安は拭えない。小児甲状腺がんは、すでに103人が確定している。国の、抜本的な原発災害への支援制度の確立と、支援の継続を求める」という言葉とともに、「原発事故避難者に対する住宅の無償供与の延長を求める緊急要請」の署名1万3172筆を政府担当者に手渡した。続いて、FoE Japanも「避難者を追い詰める帰還促進政策、賠償や支援の打ち切り方針に抗議」する要請書を提出した。

 その後、政府側の、内閣府防災害救助法担当者、子ども・被災者支援法担当者、原子力災害生活支援チーム住民説明会担当者、資源エネルギー庁原子力損害対応室賠償担当者、環境省の水・大気環境局除染チーム除染担当者らが自己紹介した。

住宅供与は、2017年3月で打ち切りか?

 まず、借上げ住宅の供与打ち切りから、政府交渉に入った。満田氏が、「福島県が打ち切り方針を固めたが、多くの避難者はこの支援を利用し、継続を求めている。原発事故子ども・被災者支援法では、被災者の意思に基づき、帰還、避難の選択ができるよう国が支援する、と定められている」とし、政府の見解を求めた。

 内閣府防災担当者は、「応急仮設住居の提供に関し、地震、津波、原発事故災害の別なく、発災後から災害救助法に基づき対応し、福島県の応急仮設住宅に関し、2015年6月15日に、県内54市町村につき、一律に2017年(平成29年)3月までの1年間延長を決定した」と説明し、このように続けた。

 「(東日本大震災から)6年目以降は、災害公営住宅の整備、免責事業、除染事業がおおむね完了し、自治体の復興の対応が可能ということで、2017年4月以降、個々の市町村の状況に応じて指定を緩和する。応急仮設住宅は、その時点で廃止するが、必要な住民に対しては新たな支援を考え、被災者の生活再建に向けて、県と連携をとり、きめ細かに対応する」

 これに対し、満田氏が、「住宅供与は、2017年3月で打ち切りになるのか」と再確認すると、防災担当者は、「県の申し出があれば、進捗状況を検討し、1年ごとに可否を決定する」と応じ、「福島県に対する借上げ型仮設住宅の経費は、津波被災者などを含めて、平成26年(2014年)度までの事業ベースで約900億円の支出となっている。東電への求償は行なうが、現在、調整中だ」とした。

公営住宅は被災者ニーズに合わず

 満田氏は、「子ども・被災者支援法の基本方針では、収入制限などの入居条件の緩和による公営住宅への入居円滑化があるが、現実的ではない。2013年10月には、国交省担当者が自治体に対し、通常の入居方法を要求したと聞く」と述べ、現在までの制度の利用者数を尋ねた。

 復興庁担当者は、「2015年5月末時点で54件。利用の有無は不明」と応じ、満田氏は、その利用者数に対する評価を重ねて訊いたが、担当者は、「活用していると認識する」と答え、その数について問い質されても、ただ、「活用している」と繰り返すばかりだった。

 満田氏は、公営住宅は抽選制で入居が困難なこと、被災者のニーズにも合っていないことを挙げ、被災当事者の声を聞いていない、と指摘。「災害救助法に基づく、現行の借上げ住宅制度の代替えにはなっていないのではないか」と追及した。

 担当者は、「公営住宅入居円滑化に関しては、借上げ住宅制度の代替えではなく、さまざまな選択肢を拡げるための方策のひとつとして認識している。避難者の公営住宅への入居については、2015年4月22日時点で、31都道県10政令市で優先取扱いを始めている。東京都は抽選に5倍の優遇倍率を設定している」と淡々と応じた。

国に話すと「担当は県」、県に訴えると「国からの指示だ」

 女性の避難者が、ようやく慣れた避難先の地域社会から、子どもたちが再び離れなくてはいけない不安を訴え、「国が言う『きめ細かな対応、新たな支援策』とは具体的にどういうことか」と尋ねた。防災担当者が、「福島県で、詳細を検討中だと聞いている」と言葉を濁すと、「福島県では『国が検討している』と言っている」と会場から怒声が発せられた。

 男性の避難者は、「国に話すと『それは県の担当だ』と答え、県に訴えると『国からの指示だ』と言う。子ども・被災者支援法に基づくなら、国が率先して被災者の声を聞く体制を敷くべきだ」と語気を強め、満田氏は、子ども・被災者支援法第2条第2項の「被災者一人一人が、避難、帰還、居住の選択を自らの意思によって行なうことができるよう、被災者がそのいずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない」を読み上げ、条文の意味を復興庁に訊いた。

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