「汚染水はコントロールされている、と誰かが言ったが、全然されていない!」小泉純一郎元首相が福島で講演、原発再稼働を進める政府を徹底批判 2015.3.11

記事公開日:2015.3.16取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根)

特集 3.11|特集 百人百話

※3月16日テキストを追加しました。

 「あなたは総理在任中、原発を推進したではないか。辞めたら、今度は原発ゼロにするというのは無責任だ、という批判を、私はよく受ける」──。

 そう語る小泉純一郎氏は、当時、原発推進論者たちから、「原子力は、資源の乏しい日本の経済発展には絶対不可欠。原発は安全。低コスト。クリーンエネルギー」と聞かされて、「それを真に受けていた」と振り返った。

 しかし、福島第一原発の事故が起こり、自分なりに調べていくうちに、専門家が言ったことは全部、嘘だとわかった、と続けた小泉氏は、「総理を辞めたからといって、嘘がわかったのに、自分は頰かむりして寝ていればいいのだろうか」と語気を強めた。

 福島第一原発事故から、ちょうど4年が過ぎた2015年3月11日、福島県喜多方市の喜多方プラザ文化センター大ホールにて、細川護熙氏が代表理事を務める、一般社団法人自然エネルギー推進会議の発起人代表として、元内閣総理大臣小泉純一郎氏の講演会「日本の歩むべき道」が行われた。

 小泉氏は原発ゼロへの思い、再生可能エネルギーへの期待を、自らが視察したフィンランドのオンカロ(核廃棄物の最終処理場)の体験談も交えて、始終、熱く語り、「少年よ大志を抱け、という言葉があるが、年寄りが大志を抱いたっていいではないか」と力を込めた。

 さらに、「汚染水はコントロールされている、と誰かが言ったが、全然されてないですよ!」と語気を強めた小泉氏は、この4年間に出た除染廃棄物や汚染水を捨てるところすらないのに、原発を再稼働しようとする政府の姿勢に憤る場面もみられた。

 この日は、小泉氏による講演の他、公益財団法人自然エネルギー財団代表理事・理事長のトーマス・コーベリエル氏と認定NPO法人環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏によるパネルトーク「自然エネルギーと世紀の大転換、会津の自立」が行われた。

記事目次

※動画は第一部のパネルトークの途中からとなります。
■ハイライト

  • 第一部 パネルトーク「自然エネルギーと世紀の大転換、会津の自立」:トーマス・コーベリエル氏(公益財団法人自然エネルギー財団 代表理事 理事長)/飯田哲也氏(認定NPO法人環境エネルギー政策研究所 所長)
  • 第二部 講演 「日本の歩むべき道」:小泉純一郎氏(一般社団法人自然エネルギー推進会議 発起人代表 元内閣総理大臣)

敗戦後の昭和天皇の短歌に、震災後の東北復興を重ねる

 自然エネルギー推進会議発起人代表で、元内閣総理大臣の小泉純一郎氏は、冒頭で、昭和天皇が敗戦後、初めての正月の歌会始で詠まれた一句、「降り積もる 深雪に耐えて 色変えぬ 松ぞ雄々しき 人もかくあれ」をそらんじてみせると、「昭和天皇は、敗戦後の国民を、緑を絶やさぬ松の強い姿に例えた」と語り、東日本大震災の被災者や、この日の会の主催者である会津電力の奮闘ぶりとを重ね合わせた。

 会津電力株式会社は、2013年8月設立。自然エネルギーを利用した発電事業および電気・熱エネルギー供給事業を主に展開している。同社は、『原発の暴走を許してしまったこの責任を、次世代負担としないようにするために、福島県内の電力エネルギー需要を再生可能なエネルギーのみでまかなうことを可能にする体制を作り上げる』という理念を掲げている。

 小泉氏は、「会津電力を立ち上げた佐藤彌右衛門氏は、『もう、原発はやめよう。自然界に無限にある太陽光、風、水などの自然エネルギーを、これからの福島に活かしていこう。自分たちの子や孫に、安全な社会を作ろう』と努力している。私は感銘を受けて、今日、ここに来た」と述べた。

原発推進論者の嘘を真に受けてしまった後悔

 今でも、「あなたは総理在任中、原発を推進したではないか。辞めたら、今度は原発ゼロにするというのは無責任だ」という批判を受ける、という小泉氏は、次のように当時の様子を語る。

 「私が総理大臣だった当時、原発推進論者たちは、『原子力は、資源の乏しい日本には必要だ。経済発展には絶対不可欠』と説いた。原発の3つの利点を、『原発は安全。他の発電に較べて低コスト。原発はクリーンエネルギー』と聞かされて、私は、それを真に受けていた」

 しかし、福島第一原発の事故が起こり、自分なりに調べていくうちに、専門家が言った3つの利点は全部、嘘だったとわかった、と続けた小泉氏は、「よくもこういう嘘を、いまだに政府は言っているなぁ、と呆れている。総理を辞めたからといって、嘘がわかったのに、自分は頰かむりして寝ていればいいのか」と語気を強めた。

国民に何の説明もないまま、原発を再稼働させるのか

 日本が原発を導入して50年経つが、1976年にスリーマイル島で、1986年にチェルノブイリで、そして、2011年には福島で、原発は3回も大きな事故を起こしている、と小泉氏は言う。「福島では、いまだに住民たちは戻れず、4年経っても事故の原因はわからず、究明すらしない」

 さらに、「核燃料サイクルの『もんじゅ』も、何度も事故を起こし、いまだ運転の目処がたたない。これで安全と言えるのだろうか。もとより、絶対安全な産業などないが、飛行機や自動車の事故とは違い、原発はひとたび事故を起こしたら、取り返しがつかない」と力説した。

 小泉氏は、「原発を増やそうとする中国、ロシア、アメリカは、日本とは国土が比較にならないほど広い。日本は人口が密集し、地震と火山も桁違いに多い」と指摘して、次のように続けた。

 「いまだに、福島第一原発の原子炉内の様子はわからない。わからないから、原因も究明できない。それにもかかわらず、九州電力は、新しい審査基準で(川内原発を)再稼働しようとしている。それに対し、原子力規制委員長(田中俊一氏)は、『基準には合格したが、安全とは申し上げられない』と言っている。

 また、日本の原発の安全基準は世界で一番厳しい、などと言われるが、フランス、アメリカと比較して、どこが厳しいのか、ひとつも説明がない。

 むしろ、日本の原発はテロに一番弱い。それなのに、国民に何の説明もしないまま、原発を再稼働させようとしている。コストが安いというが、事故を起こせば被災者への多額の補償が発生するし、廃炉の費用も含めると莫大な金額になる」

核廃棄物の最終処分場は、世界でひとつも完成していない

 さらに小泉氏は、「現在、6000人から7000人が福島第一原発事故の収束作業に従事している。防護服は使い回しができず、使用済み防護服の処理だけでも尋常ではない。作業員は被曝があって、毎日は働けない。熟練作業員も同様だ」と述べ、事故収束作業の困難さにも言及した。

 その上で、「民間金融機関は不良債権の危険がある原発には、政府が保障しない限り融資をしない。一番コストが高いのが原発だ」と主張し、続いて、核廃棄物の処理に話題を移した。

(…会員ページにつづく)

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