邦人人質事件の政府対応を追及しないメディアを元内閣官房副長官補・柳澤氏が批判、今後の「戦争立法」の成立を危惧 2015.2.3

記事公開日:2015.2.6取材地: テキスト動画
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(IWJ・ぎぎまき)

 「政治が間違えるから、戦争が起きる。政治の間違いがどこにあったのか。その検証なしに、平和と戦争の議論を法律にするのは、国を誤ることになりかねない」

 昨年2014年7月の集団的自衛権行使認の閣議決定を踏まえ、政府与党は、今国会での関連法案提出を目指し、法整備にむけた議論を活発化させている。戦争ができる国づくりに向けた法律、いわゆる「戦争立法」は、今後、どんな展開を見せるのか。

 2月3日、13回目となる「集団的自衛権を考える超党派の議員と市民の勉強会」が開かれ、講師として、元内閣官房副長官補の柳澤協二氏が招かれた。柳澤氏は、日本の進路を大きく左右する安保法制と今回のイスラム国問題を絡め、持論を展開。湯川遥菜・後藤健二両氏殺害という最悪の結果を招いた人質事件については、安倍首相の危機管理能力のなさを厳しく批判した。

記事目次

■ハイライト

  • 講演 柳澤協二氏(元内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当))
  • 日時 2015年2月3日(火) 16:00~
  • 場所 参議院議員会館(東京都千代田区)

「感度が悪すぎる」安倍首相

 「後藤氏は、政府ができないことをやってきた。日本は貴重な財産を失った」

 1月31日未明、イスラム国に拘束されていたフリー・ジャーナリストの後藤氏が殺害され、湯川氏に続き、2人目の被害者を出すという最悪の結果を招いた。

 柳澤氏は冒頭、日本大使も駐在しない危険地帯から現地の実情を伝えてきた後藤氏の功績を讃えるとともに、追悼の意を述べた。

 連日、国会では邦人人質事件をめぐる政府対応に関し、野党から鋭い追及が続いているが、安倍首相を始めとする政府関係者らは、「あらゆる手段を講じ、対応は適切だった」とする答弁を繰り返し強調。瑕疵はなかったと、必死の弁明が続いている。

 これについて異を唱えた柳澤氏は、1月17日のカイロでの、安倍首相によるイスラム国を敵視するような発言が、イスラム国に邦人2人殺害の口実を与えたことは明らかであり、「どのようなメッセージが、危機リスクを高めるかという戦略的思考に欠けている」と対応を批判。「危機管理の感度が悪すぎる」と言い放った。

「検証を求めることは『安倍叩き』ではない」――政府対応を検証しないメディア

 イスラム国は、後藤氏が殺害されたとする映像の中で、今後は全ての日本人がテロの対象になると警告し、「日本の悪夢が始まる」と宣言したが、この事件を機に、日本人が泥沼化した「テロ」の世界に、無差別に放り込まれたのは間違いない。今後、日本人はそのリスクと、どう向き合っていけばいいのか。

(…会員ページにつづく)

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「邦人人質事件の政府対応を追及しないメディアを元内閣官房副長官補・柳澤氏が批判、今後の「戦争立法」の成立を危惧」への1件のフィードバック

  1. 一政権の間違いではすまぬ戦争 より:

    柳澤さんのお話を拝聴しました。恐ろしい事に戦争は始まったら、いつ終わるか、誰も予想がつきません。とくに「イスラム国との闘い」には、長期戦の予想もでています。かつての、日英同盟のときの日露戦争のように、日米同盟のもと、「一緒に戦う」つもりであっても、いつのまにか、中東相手にで、日本単独で戦う危険性もあります。また、戦時政府は、「石油危機の再現対策」と称して、原子力はやっぱり必要と言い出しかねません。

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