「米艦警護が最も集団的自衛権を必要としないケース」元内閣官房副長官補・柳澤氏が安倍総理会見を批判 2014.5.19

記事公開日:2014.5.21取材地: テキスト動画
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(IWJ・原佑介)

 「集団的自衛権が行使できなければ国民を守れないというなら、それは憲法の怠慢でなく、政府の怠慢だ」――。

 「集団的自衛権を考える超党派の議員と市民の勉強会」が第9回目となる勉強会「安保法制懇報告書と安倍総理記者会見徹底批判」を開催した。発言者として招かれた元防衛官僚の柳澤協二氏は、政府の想定する集団的自衛権の行使例が非現実的なものであることを指摘した。

■ハイライト

「米艦警護が一番、集団的自衛権がいらないケースだ」

 安倍総理は15日、安保法制懇の報告書を受け取った直後に記者会見し、集団的自衛権を行使すべき事例を挙げた。あるパネルには、不安げな表情を浮かべ、紛争国から米国艦で逃れようとする母子の絵が書かれていた。

 これを用いた安倍総理は、「お父さんやお母さんやおじいさんやおばあさん、子どもたちかもしれない。彼らが乗っている米国の船をいま、私たちは守ることができない」と述べ、集団的自衛権の行使の必要性を訴えた。

 「やられたな、と思った。国民の情に訴える絵を使った」「イメージ操作をし、国民世論を誘導していくというポピュリズム政治だ」「感情に訴えられると、打ち消していくのが難しい」

 この日、メインの発言者として招かれた柳澤氏は、理論をよそに、国民感情に訴える安倍総理の手法を批判。その上で、「ふと考えると、これが一番、集団的自衛権がいらないケースだと気付いた」と柳澤氏は述べ、「もし朝鮮半島で有事があって、日本人などの民間人をどのように避難させるかは、官邸にいる時も考え、悩んだ」と、内閣官房副長官補時代の経験をもとに、次のように分析した。

 「前提として、軍事専門家の99%は北朝鮮がそんな戦争をやる能力がないという認識だが、仮にあったとして、北朝鮮の軍隊が動いたら、燃料を集め、弾薬を補給して、準備をする。こうした動きがあれば、こちらにも必ずわかる。

 そうなれば、外務省から『不要不急の渡航は控えてくれ』といった勧告が出て、そして退避勧告が出る。民間のエアラインが飛んでいる間に引き上げるのが普通。戦争になれば、民間人が邪魔にもなる。軍事的観点からも引き上げさせるだろう。大使館員や領事館員などは最後まで残るが、その数は極めて限定される」

「軍艦に民間人を載せるスペースさえない」

(…会員ページにつづく)

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