安倍内閣が閣議決定で「集団的自衛権の行使」を容認できるよう憲法解釈を変更しようとしている問題で、これに反対する超党派の議員らが2月27日、第二回目となる「集団的自衛権を考える超党派の議員と市民の勉強会」を開催した。この日、講師として招かれた元内閣官房副長官補の柳澤協二氏は、「日本がこれからどういう道を歩むべきか。安倍さんから粗雑な問題提起を受けた」と安倍総理を批判。元防衛官僚としての経験を踏まえ、集団的自衛権をめぐる米国、アジアの動きを解説した。
(IWJ 原佑介)
特集 集団的自衛権
安倍内閣が閣議決定で「集団的自衛権の行使」を容認できるよう憲法解釈を変更しようとしている問題で、これに反対する超党派の議員らが2月27日、第二回目となる「集団的自衛権を考える超党派の議員と市民の勉強会」を開催した。この日、講師として招かれた元内閣官房副長官補の柳澤協二氏は、「日本がこれからどういう道を歩むべきか。安倍さんから粗雑な問題提起を受けた」と安倍総理を批判。元防衛官僚としての経験を踏まえ、集団的自衛権をめぐる米国、アジアの動きを解説した。
記事目次
■ハイライト
「安倍さんは一体なにをしたいんですかね」――。
改憲や集団的自衛権の行使に前向きな安倍総理の思考について、記者からよく聞かれるという柳澤氏。「考えてみた結果、行き着いた結論は、ようするに『やりたいから』ってことでしか説明できないんです」。
では、なぜ、そんなことを「やりたい」のか。2004年に出版された安倍晋三・岡崎久彦著『この国を守る決意(扶桑社)』の中で、「岸総理は、米国の防衛義務を書き込んだ今の安保条約の改訂をやった。では私の世代の歴史的使命は何かというと、集団的自衛権によって、米国との双務性を完全なものにしていくことだ」と説明している。この記述を見たときに「これが理由だ」と悟ったと柳澤氏は言う。
「つまり、やはり、『やりたいから』。『尖閣が』、『日本の防衛が』というが、そういう理由はなんであれ、その時々にとってつければいいので、結局これ(集団的自衛権の行使容認)をやりたいというのが本命なんだろう」
「個別的自衛権」で日本を防衛できるにも関わらず、なぜ「集団的自衛権」を行使する必要があるのか。この点について、安倍総理が合理的な動機を持ち合わせているとは思えず、ただ「やりたいからだ」と柳澤氏は繰り返し強調した。
日本の「集団的自衛権の行使」は、米国の期待ともそぐわない可能性もある。「アメリカの注文に応じてやっているのだろうか。私の防衛官僚としての実務経験から言ってもピンとこない」と柳澤氏は語る。1997年に、審議官として自身が直接担当した「日米防衛協力のための指針の改訂」の際のやりとりを振り返った。
「この時の前提は、日本の憲法解釈を変えないという前提で作業していた。戦闘している地域とは一線を画す後方地域で、戦闘行為でない支援をやるということで項目を整備した。これについて米国の人たちは、『集団的自衛権に踏み込んではいないが、大変これで満足している。日本が何をしてくれるかが具体的にわかったから、米国はなにを準備すればいいかわかった』と言って評価してくれた。当面、同盟協力に困ることはないと思った」
その後、アフガン戦争、イラク戦争が起こった。当時、柳澤氏は「内閣官房副長官補」として対応にあたった。自衛隊は、インド洋で米軍の艦船に対して洋上で補給支援をし、復興支援活動をするためイラクにも派遣された。「同じ軍事的リスクを共有するという意味で、『ようやく本格的な同盟になってきた』と評価された。日米同盟は『Better than ever』、過去のどんな時代よりもいい関係になると言われていた」と当時を振り返った。
しかし、小泉純一郎氏から安倍晋三氏へ総理が代わった06年。自衛隊がサマワから撤収し、「Better than ever」の関係を続けるためにも、「カタチ」ばかりの協力でなく、もっと本気で協力してくれ、という話が非公式で米国からあった。これを受け、第一次安倍内閣は安保法制懇を立ち上げた。「ここまでは『対テロ戦争』を掲げた当時の米国の利害にもマッチし、論理的な整合性はあった」と柳澤氏はいう。
しかし今では、米国はオバマ政権に変わり、「対テロ戦争」から完全撤退しようとしている。そして米中は新たな大国関係を模索している。星条旗新聞は、尖閣をめぐる日中韓の紛争を指し、「無人の岩をめぐる争いに巻き込まないでくれ」と苦言を呈した。「これが米軍の本音だと思う。こういう状況下で、以前と同じ議論が出てきているのは不思議だ」と柳澤氏は述べ、「集団的自衛権の行使」の容認は、米国との利害関係にも矛盾すると指摘した。
「集団的自衛権」とは、主に米国やソ連が行使してきた、いわば大国による中小国への軍事介入の口実である。
安倍総理は、前述の『この国を守る決意』の中で、「アジア諸国は、安全保障についても役割を果たし、中国の進出というプレッシャーの中で、日本が存在感を示すことでバランスを取るよう期待している」といった旨の見解を示している。しかし、現実に、アジア諸国は日本にそのように求めているのか。
柳沢氏は、「今、中国と領土問題で対決しているフィリピンは、日本や米国の船に、もっと来てくれるよう求めているが、アジア諸国が日本に求めるのは何か。日本自身、3つの領土問題を抱えており、これをどうやって軍事的衝突なしで解決していくか、というお手本になることを期待されているのだと思う」と述べ、安倍総理の狙いは現実と食い違っているとの見解を示した。
(…会員ページにつづく)
柳澤さんの丁寧なお話を拝聴しました。
安倍さんが単に「やりたい」のは、強く世界に誇れる国防軍にも思えます.平和で穏やかな祖国はちっとも誇りでないんだと、お話からそんな感想をもちました。
安倍さんはじめ、安倍政権の皆さんはだいぶ変わっちゃって元に戻れないのかなと思います。
隣国の韓国や中国に反感を抱き武力を誇示し投資家の動向分析に終始することで、現実に到来する中国はじめ近隣諸国の経済成長にともなう自己嫌悪に向き合わずに済む。それでも、精神から汚らわしいものを排除し万能感の安寧を得るために戦争犠牲者の神社参拝をする。戦争への抵抗力を教育から変えることで突き崩す。
安倍政権で一貫しているのは北朝鮮への姿勢です。それは安倍支持者の考えの分水嶺のひとつです。安倍さんたちはミサイルが飛んでくる恐れは言いますが、普段の中国や韓国への態度とは異なる。かつて拉致被害の進展で安倍さんは当時官房副長官でしたし2014年2月のエド・ロイス米会員外交委員長とも会談しています。安倍さんは北朝鮮について知りすぎているのでしょうか、それとも?いずれにせよ安倍さんたちは国際的に孤立してもまったく平気な北朝鮮になんらかの影響を受け、あえて言えば感化されているのではないかとさえ思います。
「集団的自衛権」とは主に米国やソ連が行使してきた、大国による中小国への軍事介入の口実である -元内閣官房副長官補・柳澤協二氏「安倍総理が集団的自衛権の行使をしたいのは、単に『やりたいから』」
安保法案に「反対、反対」と声高に叫ぶのは子供でもできる。制服向上委員会とやらの、年端もいかない、理屈も分からない、小娘たちに叫ばせる、ひねた大人のセコさは何なんだ?新たな法案で対応しなければならない程世界は大変化している。南海トラフの大地震が予想されるのになんの対策も考えない為政者がいるだろうか?我が国の化石化した憲法が現状にマッチしているとは誰も思っていない。好戦的で領土拡大を目論み、何百発もの核ミサイルの照準を日本に向けている対岸の都合のいい大国に日本一人で立ち向かうことが出来ないのは自明である。国が亡びかねない戦いに個別も集団も有るわけない。憲法を変えるしかない。憲法違反と叫ぶなら、憲法改正と叫ぶのが正しい。憲法9条は、窮状、苦情の憲法である。