「声高な抑止力」相手国を刺激するだけ 元内閣官房副長官補・柳澤協二氏が安倍政権の安全保障戦略に注文 2013.10.17

記事公開日:2013.10.17取材地: テキスト動画
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(IWJ・松井信篤)

 安倍政権は憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に突き進んでいる。安倍総理の私的諮問機関である安保法制懇(座長・柳井俊二元駐米大使)は、集団的自衛権の行使容認を提言する報告書を年内にもまとめると見られている。

 小泉政権、第一次安倍政権、福田政権、麻生政権で内閣官房副長官補を務め、イラクへの自衛隊派遣を監督した経験を持つ柳澤協二氏(国際地政学研究所理事長)が講演し、中国や北朝鮮などに対して強気の姿勢を崩さない安倍政権の外交・安全保障政策に対して、慎重な対応を求めた。この日の講演は、4月25日に発足したばかりの超党派議連「立憲フォーラム」が主催した。

■ハイライト

  • 講師 柳澤協二氏(国際地政学研究会理事長・元防衛官僚)
  • 日時 2013年10月17日(木)
  • 場所 衆議院第2議員会館(東京都千代田区)
  • 主催 立憲フォーラム

米政府からは「要請なし」

 安倍総理は、今年2月にホワイトハウスで行われた日米首脳会談、さらには9月にG20が開かれたサンクトペテルブルクでの日米首脳会談において、オバマ大統領に対し、集団的自衛権の行使容認を検討することを約束している。

 しかし柳澤氏は、集団的自衛権の行使容認に関して、米政府から日本政府に対する要請はないと指摘する。そのうえで、「要請がないのに、なぜ、集団的自衛権の行使容認をしなければ日米同盟の崩壊につながるという論理になるのか」と、日米関係を最重要視する安倍政権の対応に疑問を投げかけた。

声高に抑止力を誇示することは危険

 尖閣諸島の領有権を巡る日中間の対立について、「両政府が自国民のナショナリズムを煽ることはやめるべきだ」と指摘。日本が防衛費の増額などで声高に抑止力を高めることは中国側を刺激することになりかねず、「拒否的抑止力」を静かに保持すべきだと語った。

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