農業「大規模化」で個別ではなく全体の所得倍増を / TPPの情報公開は「保秘契約と相反しない範囲で」 ~西川公也 新農林水産大臣 就任会見 2014.9.3

記事公開日:2014.9.3取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材・文 佐々木隼也)

特集 TPP問題

 「強い農業を目指す」「TPPはなるべく早く合意を」――。9月3日(水)、第2次安倍改造内閣の発足に伴い、同日22時40分より、農林水産省で西川公也・新農林水産大臣の就任記者会見が行われた。西川新大臣は自民党TPP対策委員長として、各国の利害関係者や、国内の農業団体との調整を行ってきた。

 就任会見では、閣議後に早速、「強い農業」に向けて具体的に取り組むよう省内に通達を出したことを発表。生産だけでなく需要を重視した政策を進め、個別ではなく農村全体の所得倍増を目指す意向を示した。また農業の大規模化に伴い、職を失う農家への個別の就労機会の創出にも力を入れるという。

 TPPの情報公開については、交渉各国間で結んだ「保秘契約」により、妥結後4年間は交渉内容を明かせないことを改めて強調。保秘契約の範囲内での情報公開には今後とも努めていく方針を示した。

■全編動画

  • 日時 2014年9月3日(水)
  • 場所 農林水産省(東京都千代田区)

 以下、IWJの質疑応答を取り急ぎ掲載する。

IWJ佐々木「TPPの情報公開について。政府はTPPの情報提供について、日本が他の国と比べて情報公開が遅れているわけではない、との見解を示している。しかし米国では議会議員が制限付きながら草案テキストを見ることができる。これは他国、少なくとも米国よりも情報公開が遅れているといえるのではないか?

 また、先ほど官邸の会見で西川大臣が守ると言った昨年の国会決議では、収集した情報は、国会に速やかに報告するとなっている。TPP対策委員長として、またTPPの影響をダイレクトに受ける農業を所管する大臣として、この情報公開の面で政府に訴え、政府で進めていく予定はないのか?」

西川大臣「情報公開して良い部分なら、米国も公開していると思う。日本は真面目に『保秘契約』を守っていることは事実。ただ注意しなければならないのは、なぜこの数字になったのか、どういう経緯でこのルールとなったのか、という部分は『保秘契約』に入っており、4年間、表に出せない。見え方として、米国がたくさん情報公開しているという意見もあるかも知れないが、私は必ずしもそうではないと思う。

 各国間では、『保秘契約』をお互いに守っていくということを堅持している。『保秘契約』に相反しない範囲で情報公開するようこれまでもやってきたつもりだし、これからも、こういう意見があったということを、政府対策本部に伝え、今後も取り組んでいく」

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

「農業「大規模化」で個別ではなく全体の所得倍増を / TPPの情報公開は「保秘契約と相反しない範囲で」 ~西川公也 新農林水産大臣 就任会見」への1件のフィードバック

  1. hotaka43 より:

     日本のコメ農家で5Kg15,000円で売る事ができている農家をご存知ですか?
    その方のやり方は無農薬無肥料無機械化で、植える密度を下げ雑草取りもちょっとした手作りの道具で行います。そして最後は全て天日干しです。このお米が東京新宿のデパートで上記の値段で売られているのです。
     その方曰く採れる量は半分位になりますが、無借金で手取りは完全自質200万円だそうです。それでも十分生活していけるそうです。その収入でお子さんを2人育て上げ今は63歳になられます。(映像で見た感じとても60代には見えません。50代はじめと云われてもおかしくないくらいお若いです。)
     そして当たり前ですがそのお米の美味しさは、自称味音痴のディレクター兼司会者が食べても甘くて美味しい、としか言えない出来だそうです。
     これを総括すると大規模化よりも大昔のような作り方の方が儲かる、ということになります。
     自然に優しく、蛙やタガメにメダカが住み野鳥が訪れ栄養を置いて行ってくれる田圃がどれ程人間にも有意義か。
     今の農政はよく考えて貰いたいと思います。そしてそんな米を作れば輸出にも大いに貢献するでしょう。
     今のやり方と大規模化は突き詰めれば農機具メーカーに農薬や肥料会社を儲けさせ、その上前を撥ねる農協とそれに絡む官僚や政治家の為に有るとしか思えません。そして今後大規模化に絡む企業群も加わります。
     こういうことを考えると根本を変えなければこの日本の農業の再生はないのではないでしょうか?
     いや、他も同じですね。大企業と官僚、政治家だけが良い思いをする世の中からの脱却は、個人一人ひとりが自分の身の丈に合った生活を志望し、奢りを捨て去ることによって成されるのだと思います。
     岩上氏とIWJさんはそんな方々を応援してくれている希有な存在なのでこれからも応援して行きたいと思っています。
     尚、もう少ししたら安定した生活になりますので、その暁には会員になりますので、もう少々お待ち下さいm(。。)m

hotaka43 にコメントする コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です