日本ジャーナリスト会議、マスコミ九条の会主催で6月19日(木)、「安倍政治と平和・原発・基地を考える緊急集会」が行われた。集会は当初、明治大学での開催を予定していたが、開催一週間前に利用が認められなくなり、急遽、文京区民センターで行われた。話題は、原発による汚染問題や特定秘密保護法、米軍基地問題など多岐にわたった。
(IWJ・松井信篤)
日本ジャーナリスト会議、マスコミ九条の会主催で6月19日(木)、「安倍政治と平和・原発・基地を考える緊急集会」が行われた。集会は当初、明治大学での開催を予定していたが、開催一週間前に利用が認められなくなり、急遽、文京区民センターで行われた。話題は、原発による汚染問題や特定秘密保護法、米軍基地問題など多岐にわたった。
■ハイライト
冒頭、慶應義塾大学教授の金子勝氏が登壇した。既存メディアが報じない中間貯蔵施設の問題について、金子氏は「史上最悪の環境汚染問題」と考えていると主張。環境省の示した環境白書に基づき、金子氏が計算したところ、2500万トンの汚染土をフレキシブルコンテナバッグにつめて、3年間にわたり中間貯蔵施設に運ぶと、一日に2800回もトラックで運ぶことになるため、「これは無理な話だ」と断言した。
さらに、フレコンバッグの寿命は5年であり、あちこちで破綻して、野積みにすれば二次災害も考えられる。金子氏は「全部、東京電力を潰さないためなんです」と述べ、東電や政府の事故処理のずさんさを指摘した。
現在、政府は東電に9兆円の交付金と1兆円の公的資金を出している。しかし金子氏は、最大の資金は福島に出すべきであり、東電は二の次だと主張した。続けて、国民負担を最小化するために必要なのは、「汚染物質の濃縮隔離」であると説明。セシウム回収型焼却炉の実証実験が福島県飯舘村で始まることを紹介し、その方法では、6万ベクレルが100ベクレルになり、そうなれば土を戻して使えるようになるのだと報告した。
金子氏は、吉田調書についても言及した。調書の内容から、福島第一原発1号機の非常用復水器の機能が、地震によって壊れた可能性を裏付ける現場の流れがあると指摘。他方、第一次安倍内閣の2006年12月22日、国会答弁で安倍首相が、「全電源喪失はない」と答弁している事実を振り返り、「出さなければいけない、突っ込まなければいけない中身を、メディアは報道しない」と批判した。
その結果、「日常的にメディアで報道されていることに対して、僕ら自身が鈍感化している」と金子氏は言う。そして、「『隠すな』という時に、隠してるものが見えなくなれば、(何を隠しているのかが分からず)隠している意味がなくなる」と述べ、メディアの報道が危機的状況にあることを訴えた。
ジャーナリストで映画監督の三上知恵氏は、現在の高江・辺野古の状況を説明した。高江は、オスプレイのためのヘリパッド6つに、地域全体が囲まれてしまうという状況にある。6つのうち2つのヘリパッドはすでに完成しており、7月1日から残りの工事も着手に入る予定だ。
一方、辺野古基地は、港湾などで水面に浮かべておく浮標のブイを取り付ける工事が最初にスタートした。制限水域拡大により海上保安庁が配備され、これまでは陸上から50メートルに入ると逮捕となっていたのが、2000メートルにまで拡大された。海から反対・抗議行動を行う者を刑特法で逮捕しようとしているのだという。
また、この海下には珊瑚が生息している。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の試算では、2050年に地球上から珊瑚の絶滅が予測されており、工事によって生態系が崩れてしまうことも懸念されている。
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