日本は戦争で死ぬ覚悟があるのか――孫崎氏が集団的自衛権の核心を問う 2014.6.12

記事公開日:2014.6.13取材地: テキスト動画
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(取材・記事:IWJ・原佑介、記事構成:IWJ・安斎さや香)

 集団的自衛権の行使をめぐる解釈改憲の閣議決定は会期末か、閉会後か――。自民・公明の与党協議が加速し、当初は警戒心を前面に出していた公明党が「限定容認論」に理解を示し始めた。

 そうした中、自民党改憲案に危機感を抱く超党派の国会議員で構成される「立憲フォーラム」が6月12日、元外務省情報局長の孫崎享氏を講師に招き、「集団的自衛権を容認させない6・12院内集会」と題した集会を開催した。

■ハイライト

  • 講師 孫崎享氏(元外務省国際情報局長、評論家)

米国は「米国民以外を救助しない、自分でやれ」と言っている

 孫崎氏の講演に先立って挨拶した立憲フォーラム代表の民主党・近藤昭一衆議院議員は、「全国各地で『戦争をしてはならない、集団的自衛権を容認してはならない』という市民が行動を起こしているが、安倍総理は党首討論でも質問に対して答えず、己が思うがままに勝手を言う。そして閣議決定する、と考えている。なんとしても阻止するために頑張りたい」と決意を語った。

 会の幹事長を務める民主党・辻元清美衆議院議員は、「国会は緊迫している。テレビでは予算委員会しか流れないが、各委員会で私たちは論戦を張っている」と述べ、辻本氏が行った質疑を紹介した。

 「外務委員会で、米国・国務省と国防総省の『避難民に関する合意書』を持ち出して追求した。この中で米政府は、はっきり、『国務省は外国政府と自国民の退避について、正式の協定を締結することを控えている』『各国は米国をあてにせず、自国民を救出せよ』と言っている。岸田外務大臣は答弁をはぐらかすのみで、加藤官房副長官は『米国はそうかもしれないが、万一のために』と回答した。これを論破していきたい」

国民が戦争で死ぬ覚悟はあるか

 孫崎氏は、「日本は民主主義の危機に直面している」と話し、その上で「『今、集団的自衛権をやらなければいけない』と言っている安部総理のセリフの中に、日本の民主主義の危機を犯してまで、やらなければならないものは基本的にない」と断言する。

 「安倍さんは国民の生存権を守るため、と言うが、イラク戦争で米国は4488人、イギリスは179人、イタリアは33人の軍人がそれぞれ死亡し、アフガン戦争では米国が2325人、イギリスが453人、カナダが158人死亡した。このような状態になることを、私たちは覚悟しているだろうか」

 さらに、スペイン軍がイラク戦争に参加したことで、2004年、スペインの首都・マドリードにおいて報復の爆弾テロが発生し、191人が死亡、2000人以上が負傷したことを紹介して、次のように指摘した。

 「当然ながら米軍が軍事行動すれば、それによって殺された市民やグループは反発し、反撃を考える。今、『日本で列車事故が起こる』そんな想定を私たちはしていない。しかし集団的自衛権で戦闘に入っていけば、スペインと同様の事態の発生が十分に考えられる」

 集団的自衛権をめぐる議論では、5月30日にも孫崎氏が「安倍政権と集団的自衛権」というテーマで講演している。こちらのほうが講演時間が長く、より詳細に持論を展開しているので、合わせて読んでいただければより理解が深まるだろう。

背後に見え隠れする米国の思惑

(…会員ページにつづく)

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