「小沢一郎ならどうする ―これからの日本の政治と外交」と題したシンポジウムが5月23日、豊島区公会堂で開かれた。
講演した小沢一郎・生活の党代表は「必ず政権交代を果たす」と語り、野党の結集により自民党に対抗する方向性を示唆した。また、安倍首相の一連の言動が「戦後体制の否定につながりかねない」ものであり、米国の不信感を招いた結果、日米関係をぎくしゃくさせている原因であると強く批判した。
当日は元内閣総理大臣の鳩山友紀夫氏(※)も「小沢ファンの一人」として講演を行い、両者のつながりの深さをうかがわせた。
(※)鳩山氏は「政治活動ネーム」として、「友」の字を用いる意向。戸籍上は「由紀夫」であることを本人から確認したと、司会の小沢遼子氏から説明があった。
- 講師 小沢一郎衆議院議員(生活の党代表)、植草一秀(経済学者)
- 激励挨拶 鳩山友紀夫(元内閣総理大臣)
- 出席 鈴木邦男(一水会名誉顧問)、辻恵(前衆議院議員)、姫井由美子(元参議院議員)、岡本幸三(生活の党総支部長)、森ゆうこ(前参議院議員)、川内博史(元衆議院議員)、木内孝胤(元衆議院議員)、三井環(市民連帯の会代表、元大阪高検公安部長)、山崎行太郎(文藝評論家)、多ケ谷亮(生活の党東京都第10区総支部長)ほか
- 収録 2014年5月23日(金)18:00~
- 配信 2014年5月26日(月)20:00~
- 場所 豊島公会堂
民主党政権の瓦解と小沢氏への攻撃
シンポジウムの主催者で、「小沢一郎議員を支援する会」世話人代表の伊藤章氏は、「民主党が2009年8月に政権を獲得したものの、すでに旧勢力はその半年前から、民主党政権潰し、あるいは小沢議員潰しを画策していた」と発言。小沢氏秘書の大久保隆規氏が2009年3月に、西松建設事件に絡んだ政治資金規正法違反容疑で逮捕され、翌2010年1月には小沢氏の選挙資金管理をめぐって、石川知裕衆議院議員が逮捕、大久保氏が再逮捕された流れを指し、「わずか一年の間に小沢一郎議員への検察の包囲網が敷かれていた」と語った。
伊藤氏は、当時民主党の中心にあった小沢氏への執拗な攻撃により民主党政権が瓦解したとの見解を示し、「旧勢力は、民主党政権、つまり国民の立場に立った政権を許さない、自分たちが最上権力を奪取するという強い決意のもとに、小沢議員への攻撃を続けてきた」と述べた。
公明党の立ち位置
続いて登壇した元運輸大臣の二見伸明氏は、集団的自衛権の行使容認をめぐる議論における公明党の位置に関して、「創価学会が、閣議による憲法解釈の変更に対して真っ向から反対している。これは大きいと思います」と話し、次のように山口那津男・公明党代表とのエピソードを語った。
「私は、山口君が初めて当選した時に色々な議論をし、集団的自衛権についても議論をした。彼は弁護士です。『閣議決定で解釈を変更できる、というのは確かにそうかもしれないけれど、長い間われわれが共有してきた問題を、一内閣が変えることはできません』と彼は20年前に言っているんです。彼がそれを本気になってやってくれれば偉いなと思う」。
沖縄から駆けつけた鳩山友紀夫氏
鳩山氏は沖縄からこのシンポジウムにやってきたと述べ、「沖縄では鳩山は叩かれると思われるかもしれない。しかし、非常に温かい皆様方に包まれています。だから、自分の人生、これから沖縄の皆さんにできるだけ寄り添って、仕事を進めていきたいと誓っている」と語った。
「自分の力不足で、辺野古に基地が舞い戻ってしまった、『最低でも県外』という言葉が空虚なものとなってしまった」と語る鳩山氏は、沖縄に住む人びとと本土に住む人びとの間には、基地問題に対する態度に乖離があると指摘。「今日会った大田昌秀元沖縄県知事の話では、米国の人のほうがむしろ沖縄の人の気持ちを斟酌する態度がある。一方、日本政府にはそれがない。常に上からの目線で攻めてくる。そこにどうしようもない虚しさが宿ってしまうというお話だった」と述べた。
集団的自衛権の行使容認の議論について、鳩山氏は「いろいろと心配されていることは、個別自衛権で片付く」との見解を示し、その根拠として、「日米安全保障条約の第5条の中に、日本の施政の下でいずれか一方が武力攻撃を受けた場合は、他方が助ける、と書かれている」ことを挙げた。
鳩山氏は、行使容認の背後には「『施政の下』という範囲を除外し、地球の裏側にでも(軍隊が)行けるようにしておく」という意図があると指摘。「これは大変危険な思想」と評した。また、「いずれか一方が武力攻撃を受けた場合」という条件が外されれば、武力攻撃を受けることなしに、先制攻撃を行うことが可能だということになると述べ、「その可能性が込められているのが、集団的自衛権だ」とした。鳩山氏は、「集団的自衛権の行使容認を安易に憲法解釈という手段によって閣議決定しようとする日本政府を断じて許してはならない」と訴えた。
小沢一郎氏「政権交代は十分可能」
「もう一度政権交代をやる」と小沢氏。その想いとこれからの行動に期待したい。