2013年5月31日(金)16時、大阪府熊取町の京都大学原子炉実験所において、同所の助教の小出裕章氏と、衆議院議員で生活の党代表の小沢一郎氏による対談が行われた。冒頭、生活の党が掲げている脱原発の方針について、小沢氏が「我々は、『福島原発事故を契機に、原発とは決別し、代わりのエネルギーを国策として採っていくべき』との思いで、今後もやっていきたい」と述べたのに対し、小出氏が感謝の意を述べた。
(IWJテキストスタッフ・久保元)
2013年5月31日(金)16時、大阪府熊取町の京都大学原子炉実験所において、同所の助教の小出裕章氏と、衆議院議員で生活の党代表の小沢一郎氏による対談が行われた。冒頭、生活の党が掲げている脱原発の方針について、小沢氏が「我々は、『福島原発事故を契機に、原発とは決別し、代わりのエネルギーを国策として採っていくべき』との思いで、今後もやっていきたい」と述べたのに対し、小出氏が感謝の意を述べた。
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続いて、福島第一原発における事故収束作業の進捗状況や、今後の見通しなどについて小沢氏が質問。小出氏が具体的な説明を行い、情報共有を図った。この中で、冷却水を循環させる水冷方式では、メルトスルー(溶融貫通)により汚染水が増え続ける一方のため、チェルノブイリ原発で採られた、原子炉建屋ごと巨大なコンクリート構造物で覆う「石棺方式」を採る以外にないことを小出氏が説明した。
また、小出氏は、倒壊の危険性が指摘されている4号機に関連し、早ければ年末にも開始が予定されている、使用済み核燃料集合体を燃料プールから取り出す作業について、「作業はおそらく10年以上は掛かるだろう」と述べたほか、民主党政権下でIAEAに提出した報告書に、福島第一原発事故で放出されたセシウム137の量が、「広島原爆の168発分に相当する」と明記されているのに対し、4号機には「広島原爆1万発分に相当する」セシウム137を含む使用済み燃料が、危険な状態に置かれていることを挙げ、「東京電力は震度6でも大丈夫と言っているが信用できない。4号機が崩れ落ちる前に、使用済み燃料を移動しなければならない」と述べ、依然として予断を許さない危険な状況であることを説明した。
小沢氏は、今後発生が懸念される異常事態発生リスクや対処方法について様々な質問をし、そのつど小出氏が丁寧に回答した。小出氏は「この瞬間も、下請労働者が被曝しながら、事故と向き合っている。なのに、自民党は原発を再稼働させ、新たな原発を造り、原発を輸出すると言っている。それがアベノミクスの柱のひとつだと言っている」と述べたのに対し、小沢氏は「恐ろしい話だ」と溜め息交じりに答えた。最後に、小出氏が、「まるで事故が収束したかのように『原発を再稼働しないと経済がもたない』と平然と言う人たちが国の中枢にいる」と苦言を呈したのに対し、小沢氏は、「日本の将来、人類の将来の危機だ。我々は、しがない野党という立場ではあるが、脱原発を実現できるよう、死ぬ気で頑張っていく」と決意を述べた。
かつて小出さんは岩上さんのインタビューで小沢さんのことを嫌悪しているようなことを話しておられたと記憶していますので、この対談がどういうことで企画されたか疑問だったんですが、小沢さんの方から依頼したんですね。
改めて小出さんの話を聞いてショックなのは、おそらくチェルノブイリ同様に石棺が避けられないだろうということ。日本にも灰色のマトリョーシカができるわけですね。そして、その前提条件として使用済み核燃料を取り出さなくてはいけないと。
こういう話を大多数の市民にも知ってほしい。