福井地裁が21日、地震対策の不備を認定し、関西電力の大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた。これを受け、原告団や反原発運動を続けてきた市民団体は23日、衆議院議員会館で「ついに勝った!大飯原発差止訴訟!―大飯原発3,4号機の運転差止判決について」と題した集会を開き、判決内容や今後の展望について報告した。
(IWJ 原佑介)
福井地裁が21日、地震対策の不備を認定し、関西電力の大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた。これを受け、原告団や反原発運動を続けてきた市民団体は23日、衆議院議員会館で「ついに勝った!大飯原発差止訴訟!―大飯原発3,4号機の運転差止判決について」と題した集会を開き、判決内容や今後の展望について報告した。
■ハイライト
原告団代表であり、長年、反原発運動をしてきた福井県小浜市にある明通寺の住職・中嶌哲演氏は、「今回の判決は、単に裁判長や地裁がまとめた判決でなく、半世紀以上の人々の思いや願い、特に福島原発事故以降の、皆さんの運動や思いの結晶が天の川となって出た判決。私たちの共有財産だ」と喜びを表現した。
原告の松田正氏は、「この判決が出たのは、福島の犠牲があったからだ」とし、「健康被害があっても、『これは放射能の由来ではないか』と疑うことすら躊躇されるような社会だが、今回の判決は『人間の生命を尊重する』とはっきり言った。これが社会の一番大事な根幹で、それがなければ日本は成り立たない」と訴えた。
画期的だと言われている今回の判決だが、脱原発弁護団全国連絡会の鹿島啓一弁護士は、「水を差すようだが、普通の、手堅い判決だと思う」との見解を示し、その理由を次のように説明する。
「これは被告が争いようのない事実から認定した判決。例えば基準地震動Ss(「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」および「震源を特定せず策定する地震動」についての解放基盤表面における水平方向及び垂直方向の地震動)以下の地震によって主給水喪失が生じる、外部電源喪失が生じる、といったことについて、被告は争っていない。使用済み核燃料の危険性も争えない事実で、使用済み核燃料プールが格納容器内にないというのも争えない事実」
鹿島氏は、今判決はこうした事実を積み上げた結果の保守的な判決である、と主張。判決が出た翌22日、関電は名古屋高裁金沢支部に控訴したが、「争えない事実によって認定されており、控訴審も負けるはずがない」と鹿島氏は断言し、自信をみせた。
「この判決が出たのは、福島の犠牲があったからだ」
健康被害も、『これは放射能の由来ではないか』と疑うことすら躊躇されるような社会だが、今回の判決は『人間の生命を尊重する』とはっきり言った。これが社会の一番大事な根幹で、それがなければ日本は成り立たない