【岩上安身のツイ録】大飯原発差し止め訴訟判決結果をうけての記者会見 2014.5.21

記事公開日:2014.5.21 テキスト
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※2014年5月21日のツイートを再掲しています。

 「大飯原発3、4号機を運転してはならない」――。

 福井地裁で大飯原発3、4号機の差し止め訴訟判決が出た5月21日、福井県の他、東京でも記者会見が開かれた。

 会見に出席したのは、弁護団の只野靖弁護士と青木秀樹弁護士の2名。只野弁護士は冒頭、「訴訟の進行過程から、100%勝訴判決を確信していた」と述べ、「予測通りの判決が出て嬉しい」と喜びを語った。

 只野弁護士は判決要旨を読み上げながら、「こういう判決文を書くには勇気がいる」と高く評価。その一つが、「原発は電力を生み出すための一手段であり、憲法上の『人格権』より劣位に置かれるべき」というもの。

 福井地裁は「個人の生命、身体、精神及び生活が侵害される具体的な危険性があれば、躊躇なく差し止めをするのが裁判所の役割だ」とし、最大の争点となった「冷却機能の維持」において、関電の地震動の耐震設計が甘すぎると結論づけた。

 只野弁護士「関電は700ガルを超える地震が到来することは、まず考えられないという旧来の主張を繰り返してきた。裁判所はこれに対し、国会事故調で報告された論点を採用し、重要な指摘をした。平成17年以後、全国で20カ所に満たない原発のうち、4つの原発において(福島原発事故を含め)、5回にわたり想定以上の地震動を超える地震が到来している。裁判所はこれを重要視した。3月の公判の際、裁判官が関電にこう問いつめた。『想定が間違ったことが過去5回証明されている。3月11日の前と後で、何か根本的に変更したことはあるのか』と。

 関電は答えられなかった。裁判所の問題意識がここにある。従前、誤った結果が出ているのは手法が誤っているからであり、その手法の誤りを正さずして安全性は図れないという判断だ」。

 その他、福井地裁は、使用済み核燃料の扱いなどにおける関電の姿勢を厳しく追及。「本件原発に係る安全技術及び設備は、確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに初めて成り立ち得る脆弱なものであると認めざるを得ない」と述べている。

 青木弁護士は「今回の判決は、原子力規制委の規制基準に対する批判でもある」と述べ、「これまでの基準地震動定め方が間違いであり、このままで原発を運転させてはいけないという当然の理屈だ」と評価した。

 只野弁護士「この結果は小さな一歩。関電はもちろん控訴するでしょう。闘いはこれからだと思っている。しかし、これが全国の原発訴訟に与える影響は非常に大きい。司法も原発を止めることができることを示すことができた」。

 原子力規制委員会の田中俊一委員長は21日に行われた定例会見で、「司法判断に申し上げることはない。大飯は従来通り、われわれの考え方で適合性審査をする」と述べている。

 これに対し、只野弁護士がコメント。「行政は三権分立に従い裁判所の判断を尊重する義務がある。規制委からOKをもらって再稼働することになれば、判決に違反する。そうはならないと思うが、間接強制など色々な手段を取り得るのでは」。

 只野弁護士「福井地裁の審理の姿勢は、他の原発裁判と比べても非常に真っ当だと思う。裁判官はこう話していた。『自分はこの訴訟を専門訴訟、技術訴訟と思ったことは一度もない』と。『3月11日前だったらそう思ったかもしれないが、福島原発事故は、原発の潜在的な危険性を余すところなく示した。それを経験した自分たちは、これを普通の訴訟として扱う』と。非常に真っ当な神経に共感する」。(取材・文:ぎぎまき、文責:岩上安身)

※大飯原発3、4号機の運転差し止め訴訟判決要旨全文はこちら
大飯原発運転差止請求事件判決要旨全文を掲載します/NPJ-憲法・人権・秘密保全法制 関連ニュースサイト

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