「今後も闘っていく」即時抗告を明言 ~大飯原発3、4号機再稼働差し止め訴訟判決を受けて緊急集会 2013.4.16

記事公開日:2013.4.16取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ 久保元)

 2013年4月16日(火)18時30分、大阪市中央区の大阪市中央公会堂において「大飯原発3、4号機再稼働差し止め訴訟判決を受けて」と題した緊急集会が開かれた。

 2012年3月に、関西や福井などの住民約260名が大阪地裁に申し立てていた、関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを求める仮処分申請について、大阪地方裁判所が同日午後、申請を却下したことを受けて、裁判の経過や地裁から出された決定の内容、今後の方針などを報告した。

■全編動画

  • 日時 2013年4月16日(火)18:30~
  • 場所 大阪市中央公会堂(大阪府大阪市)
  • 主催 おおい原発止めよう裁判の会(告知

 集会の冒頭、原告団の共同代表であるアイリーン・美緒子・スミス氏は、「本当に怒り心頭。これだけ内容がひどいと、その怒りがエネルギーになる」と述べた上で、今回の決定内容を不服として即時抗告する方針を明らかにした。

 原告側代理人の冠木(かぶき)克彦弁護士は、「非常に残念な結果だ。誰もが予想していなかったぐらいひどいもの」と感想を述べた。若狭湾にある3つの活断層が同時に動く三連動地震が発生し、核分裂反応を止めるために不可欠な制御棒の挿入に2.2秒以上掛かる場合について、「それでも安全だと言うのであれば、安全だという立証を尽くさなければならない」と述べ、安全性の立証責任は関西電力側にあるとの前提を示した。その上で、「関西電力側は、制御棒の挿入に11秒掛かっても問題ないと言い出した。大きな地震で揺れている間、原子炉が止まらず、核分裂が起こってもそのままになっている状態が安全だと言い出した。『そんなアホな』というのが我々の考えだ。11秒なんて認めていない、という国の答弁も出ている」と述べ、その前提があるにもかかわらず「11秒まで問題ない」との判断を下した今回の大阪地裁の決定を厳しく批判した。

 同じく弁護団代理人の武村二三夫弁護士は、「やはり裁判所は信用できなかった」と感想を述べた上で、請求却下の判断を下した司法判断について、「行政にとって電力は公的なもの。裁判所はなかなか介入しようとしない。国会で決めたことだから立法裁量だと。国が監督している行政裁量だと。司法は入らないんだと。多分それが本音だろう」との見解を述べた。その上で、「これを守っていたら安全だという基準が、福島第一原発事故で崩れた。安全確認の方法がなくなった以上、稼働は許されない」と述べた。そして、大阪地裁が、緊急安全対策やストレステスト、4大臣基準(民主党政権の4閣僚が示した判断基準)を根拠に、事実上の「安全認定」をしたことについて、「地震で原子炉が破壊された可能性を確認できていないのに、地震は大丈夫だ、津波だけが原因だという考え方で大丈夫なのか」と大阪地裁の判断を批判した。

 原告団共同代表の小山英之氏は、「裁判所が、三連動地震が起きることを前提とした安全対策を検討することが必要だと判断したことは、極めて重要なことだ。従来の二連動想定だけではなく、三連動想定を立て直す必要があると裁判所が認めたことになる」と述べた。また、大飯原発の敷地で見つかった破砕帯が活断層であるか否かについて、「国の審査がまだ行われている段階にもかかわらず、大阪地裁が、『地滑りである可能性が高い』と勝手に判断をするのはおかしい」と批判した。さらに、今回の裁判とは別に提起している行政訴訟においては、制御棒の挿入時間が11秒も掛かることについて、裁判所が否定的な見解を示していることを挙げ、「もう一度、蒸し返しができる可能性がある」と述べた。

 原告のひとりである、福井県小浜市にある明通寺の中島哲演住職は、「なぜ不当な判決(決定)が出てこざるを得なかったのかということの背景は、『さもありなん』(当然のこと)ということだ」と述べた。その理由として、「福島以降、司法は変わってくれたのではないかと期待を持っていたが、やはり司法を取り巻いている、取り込まれている背景は、依然として強い」とし、「関西電力や行政や司法が自信を持って、自分の主張に正当性があるのではなく、たいへんな無理をしながら、強がっている結果が、今回の判決だと思っている」との見解を示した。その上で、「大飯原発の真の地元は、関西一円の住民である。関西の住民が、自分自身のこととして、熱烈かつ地道に、裁判活動を展開してくれた。若狭の住民たちとひとつになって活動をしていただけた点をうれしく思っている」と謝辞を述べたほか、「小浜市民は過去に、小浜原発や使用済核燃料中間貯蔵施設の誘致を阻止してきた。にもかかわらず、小浜市民の7割が、大飯原発から10キロ圏内に居住している。事実上の地元住民として、建設や増設に反対してきた大飯原発4基は、理不尽な存在そのものである。3、4号機の運転も容認していない」と述べた。

 緊急集会では、このほかにも、今回の決定に対する批判意見が相次いだ。原告団は、大阪高裁に即時抗告を行う方針で、集会の最後には、大飯原発の運転差し止めを求めて、今後も闘っていく決意を込めた声明文を採択した。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です