「戦争は、最大の人権侵害。それを可能にしようとしている安倍政権。私たちは、全力でこの動きを止めなければならない」──。
2014年5月3日、新潟市立中央図書館にて、ナインにいがた主催の集会「どーしょば!? けんぽう ―『戦後』69年 いま『開戦前夜』?」が行われた。まず、戦場カメラマンの杉本祐一氏によるドキュメンタリー映画を上映。その後に行われた10名のリレートークでは、それぞれの視点から、憲法について、平和な社会のあり方について語った。
(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)
特集 憲法改正
「戦争は、最大の人権侵害。それを可能にしようとしている安倍政権。私たちは、全力でこの動きを止めなければならない」──。
2014年5月3日、新潟市立中央図書館にて、ナインにいがた主催の集会「どーしょば!? けんぽう ―『戦後』69年 いま『開戦前夜』?」が行われた。まず、戦場カメラマンの杉本祐一氏によるドキュメンタリー映画を上映。その後に行われた10名のリレートークでは、それぞれの視点から、憲法について、平和な社会のあり方について語った。
記事目次
■全編動画
・1/3(13:54~ 1時間41分)リレートーク
・2/3(15:44~ 41秒間)閉会あいさつ
・3/3(15:46~ 7分間)
はじめに、自然食品店みずすましを経営する神田初枝氏は、「日本にいれば安心で、他国で行われているような戦争は関係ないと思っていたが、日本の自衛隊が海外に出て、戦争に関わっている現実がある。わからないなりに事実を知り、勉強しながら、自分の言葉で伝えられるようになりたい」と話した。
続いて、3.11以降、福島県郡山市から自主避難している磯貝潤子氏は、原発事故後、福島の子ども達が、無用な被曝をしてしまった実態を語り、「ただちに健康に影響がない、と言われて、国が避難を認めてくれない地域では、復興したかのように過ごすしか道はなかった。原発難民がいる中、都合の良い解釈で、庶民だけが切り捨てられていくようにしか思えない。憲法は一体、誰のものなのか」と語った。
柏崎刈羽原発差止め市民の会共同代表を務める大西しげ子氏は、朝鮮戦争に伴う警察予備隊が結成された1950年の生まれで、以後、自衛隊が違憲か合憲かという議論と共に育ってきた、自身の経歴を語った。その上で、「日本国憲法の理念は、非暴力平和主義である。国防軍を持って、戦争に関わる国に変わっていくことを、到底認めることはできない。政府の過ちを止めるのは、われわれ主権者である」と述べた。
視覚に障害を持つ新潟市議会議員の青木学氏は、「障害者の立場から、憲法のことを考えたい」と述べた。戦争に役立つか否か、という観点から人々が評価された戦中において、障害を持つ人々の記録がまったくないこと、基本的人権の尊重が障害者運動のバックボーンとして重要であることなどを説明。「憲法が制定され、福祉の整備が進み、2006年には障害者の権利条約も制定された。本来、個人が個人として、存在することがベースになければいけないはずだが、最大の人権侵害である『戦争』をすることを、可能な国にしようとしている安倍政権は、国家が個人を統制する方向へ転換しようとしている。私たちは、全力でこの動きを止めなければならない」と話した。
ミュージシャンのケルファーアイTYC氏は『かぞえうたNo.9』という唄を披露した。「憲法9条を改めて読み直し、大切にしていこう」と訴えかけた。
子ども・人権ネット理事の石附幸子氏は、「あらゆる暴力は人権侵害である。誰もが安心して生きる権利を持ち、暴力に対しては、不服従、非暴力で対抗したい。暴力が暴力を生むサイクルを変え、子どもたちが、この世に生まれてきて良かったと思えるような社会にしたい」と語った。
新潟県高等学校教職員組合の吉田裕史氏は、安倍首相の私的諮問機関である教育再生実行会議のメンバー構成が、安倍首相、下村博文文部科学大臣と価値観を共有する人物で固められている点を問題視し、教職員に対する管理統制の強化、教育行政を中央集権的に改編しようとする動きを危惧した。
現在、水俣訴訟に携わる弁護士の高島章氏は、自民党の改憲草案について、「最初はパロディの創作物かと思った」と述べ、国民に義務を強いる改憲草案に対して、「ひと言で言えば、近代を否定する憲法である。定義上は憲法になっているが、あれは憲法ではない」と指摘し、改憲派の学者の間でも、自民党による解釈改憲の動きを問題視する声が出ている状況を話した。
特定秘密法保護法の撤回を求める新潟県女性の会の小笠原美紀子氏は、マスコミで働いている自分の子どもの話から、特定秘密保護法のあり方に疑問を感じ、抗議活動を始めるに至った経緯を語り、知る権利や報道の自由が侵される危険性を指摘した。
ヤール~の会の渡辺直子氏は、国内の米軍基地の74%が沖縄県に集中している状況について解説した上で、「沖縄や福島を通して、この国を見ると、逆らう者を権力で押しつぶそうとする、この国の情けない本性が見えてくる。憲法の上に、日米安保や日米地位協定が覆い被さり、アメリカの核の傘の下、日本は押しつぶされてはいないだろうか」と話した。
閉会の挨拶を述べた、ナインにいがた共同代表の佐々木寛氏は、「敗戦の忘却によって、次の戦争への準備は進められる」と指摘した。また、あらゆる手段を用いて、改憲を実現しようとする安倍政権を問題視し、「戦争反対、と心の中で思っているだけでは、もう通用しない時代になっている。勇気を出して声を上げ、戦争に対して反対を表明する必要がある」と述べた。