「東電に、柏崎刈羽原発の再稼働を申請する資格はない」 〜福島みずほ氏講演会 『新しい社会』について語ろう 2014.3.21

記事公開日:2014.3.21取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・花山/奥松)

 「ファシズムがやってくるのではないかと、危機感を持っている。今はまだ、声を上げることができる。多くの人とつながり、新しい社会を作っていきたい」──。

 2014年3月21日(金・祝)、社民党の福島みずほ副党首は、新潟駅前で12時前から街頭演説を行い、集団的自衛権の行使容認に前のめりの安倍政権の暴走を批判した。また、「この豊かな新潟を放射能まみれにさせるわけにはいかない」とし、柏崎刈羽を含めた原発再稼働について警鐘を鳴らした。

 14時半からは、新しい社会・プロジェクトによる講演会「福島みずほさんと一緒に『新しい社会』について語ろう」に登場し、新潟で新しい生き方を模索しているパネリストたちと意見交換を行なった。

■全編動画
・1/6(11:37~ 37分間)街頭演説

・2/6(14:24~ 1時間51分)講演会

・3/6(16:16~ 5分間)

・4/6(16:22~ 10分間)

・5/6(16:33~ 7分間)

・6/6(16:41~ 11秒間)

  • 11:45~ 街頭演説(新潟市 新潟駅前)
  • 14:30~ 講演会「福島みずほさんと一緒に『新しい社会』について語ろう」 新潟県高校会館(新潟県新潟市)
    堀内国男氏(地域人材開発フォーラム代表理事)/川崎哲也氏(関川村、「百姓」)/横山由美子氏(ナインにいがた共同代表)/佐々木寛氏(新潟国際情報大学教授)/福島瑞穂氏(参議院議員、社民党副党首)

イエスマンを重要ポストに据えて暴走する安倍内閣

 街頭演説に立った福島みずほ氏は「集団的自衛権は、日本が攻撃されていない、侵略されていないのに、他国防衛で、よそのケンカを買っていくことである。このことを、安倍内閣は解釈改憲で、閣議決定だけで認めようとしている。集団的自衛権の行使は違憲である。これまで私たちは、そして日本の政治は、自民党も含めて『集団的自衛権の行使はできない』と主張してきた」と述べ、次のように続けた。

 「去年5月14日、『集団的自衛権の行使は違憲で、日本国憲法では認められない』と、山本内閣法制局長官(当時)は断言した。しかし、安倍総理は、この内閣法制局長官を更迭し、後任に(駐フランス大使だった)小松一郎氏を据えた。めちゃくちゃである。自分の言いなりになるイエスマンだけを重要なポストに据えて、自分のやりたいように暴走していく。これが、安倍内閣である」。

 福島氏は原発再稼働にも触れ、「いまだに、福島原発事故の収束対策すらとれず、被害に遭った国民の救済もできず、汚染水の処理もできない東電に、柏崎刈羽原発の再稼働を申請する資格はない。福島原発事故の原因が、地震によるという説もあるし、国会事故調も『地震か津波か、わからない』と言っている。事故原因すら究明されていないにもかかわらず、なぜ、原発の再稼働ができるのだろうか」と疑問を呈した。

 その上で、「原発事故が起きれば被曝し、故郷を失い、すべてを失う。この豊かな新潟を、放射能まみれにさせるわけにはいかない。全国の原発の再稼働を許さない。そのことを、しっかりやっていく」と訴えた。

欲望の再生産にタガをはめろ!

 その後の講演会では、閉塞した今の日本社会の中、新しい生き方の模索について、パネリストたちが語った。堀内国男氏は自己紹介の中で、自身の師である、消費者運動家の野村かつ子氏の写真を示し、「もし、野村さんが生きていたら、今の世の中を見て、『欲望の再生産にタガをはめろ』と言ったのではないか」と話し、『分かち合い、提供し合う』を合言葉に、地域での仕事づくり、人材育成に取り組んでいることを話した。

 川崎哲也氏は、農業に行き着いた経緯について、「農業をやる前は入国管理局で働いていた。収容所された人たちが、なぜ、法律を犯してまで日本にいるのかを考えた時、もしかして、僕たち先進国の人がやってることには資本主義の負の面もあり、それで中国やフィリピンの人たちが困っているのではないか、と思い始めた」と振り返った。

 「個人的に、小さい頃から『いい学校に行きなさい。いい仕事を見つけなさい』と言われて、やってみたら幸せじゃなかった。なぜ、幸せではないのか。いろいろ考えて、自分たちで生きるために、できることを自分でやってみようと、農業を始めた」。

自然農法で命の循環に気づく

 川崎氏は「農業を学びたくて学校に入ったが、そこで学ぶことは農業経営だった。機械も、化石燃料も、農薬も化学肥料もいっぱい使う。これは違うと思い始めた時に、肥料も薬も与えず、大きな機械も使わず、自然に任せる自然農法に出会った。これを実践して、命の循環があることに気づいた。枯れた雑草や死んだ虫が肥やしになって植物を成長させていく」と語る。

 川崎氏は自然農法から学んだ生き方について、「こうあるべきだ、と自分が勝手に思っても、それは独りよがり。全体が良くなるためには、自然の流れに従う。そうすると、公務員としてお金をいっぱいもらったけれど、あまり幸せでなかったことが理解できた。そして、幸せが循環する生き方をしていこうと思い始めた」と述べた。

日本の社会を、いろいろな人が住みやすい社会に

 福島氏は自分自身の人生に触れながら、「結婚届を出さずに子どもを産む選択をした。子どもは婚外子になるし、周りの人に何か言われたらいやだな、という思いはあったが、結果的には良かった。自分自身が、この社会でマイノリティとして生きることで、マイノリティのしんどさや、社会とのズレなどを理解することができた。私は議員として、自分の思いと立法などの政治活動が直結していく中で、この社会がいろいろな人にとって住みやすくなることを、ずっと思い続けてきた」と述べた。

 政治に関して、福島氏は「何千万、何百万、何十万という人を、殺す決定もできるのが、政治である。政府が戦争すると決定すれば、若者が戦場に行くという構造だ。そして、今、ファシズムがやってくるのではないかと、危機感を持っている。今はまだ、声を上げることができる。秘密保護法は通ったが、これを廃止したい。ものも言えず、情報がコントロールされた社会に、私は住みたくないからである。これらを自分の問題として捉えながら、自分が今持ってる力や権利やいろんなものをフルに使って、多くの人と新しい社会を作っていきたい」と話した。

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