「本当に今、この法律を作る必要性があるのか」──。
2014年1月20日、新潟市にある新潟県女性センターで、弁護士の鈴木麻里絵氏を講師に迎え、学習会「『特定秘密保護法』ってどんな法律?—『知る権利』『情報公開・共有』はどうなるのか」が開催された。特定秘密保護法の条文に基づいた解釈と、問題点や疑問点を、鈴木氏が明らかにした。
(IWJテキストスタッフ・荒瀬/奥松)
特集 秘密保護法
「本当に今、この法律を作る必要性があるのか」──。
2014年1月20日、新潟市にある新潟県女性センターで、弁護士の鈴木麻里絵氏を講師に迎え、学習会「『特定秘密保護法』ってどんな法律?—『知る権利』『情報公開・共有』はどうなるのか」が開催された。特定秘密保護法の条文に基づいた解釈と、問題点や疑問点を、鈴木氏が明らかにした。
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昨年12月13日に成立をした『特定秘密保護法』。その目的を示した第1条について、鈴木氏は「ざっとこの条文を読んだだけでは、結局のところ、何を目的としているかがわからない。趣旨としては、国際的な情勢により、安全保障が大事であること。インターネットの普及により、国際的に国の情報の漏洩があり得ること。それによって、国や国民の安全が害される可能性があることを述べている。しかし、本当に今、この法律を作る必要性があるのか、というところから、議論すべきだ」と語った。
鈴木氏は「特定秘密として『国の防衛・外交』に関する情報が挙げられているが、どこまでの範囲の情報が含まれるのかが、明らかになっていない。また、12条第2項にある『特定有害活動』が、どういう行為を指すのかは解釈の問題になり、これも明らかになっているとはいえない」と指摘し、次のように続けた。
「『テロリズム』や『主義主張の強要』といった曖昧な定義では、一般市民の活動や住民運動などが自粛させられかねない。また、情報の取り扱い者については、適性評価対象として、さまざまな個人情報が調査され、その周辺の人に対しても調査がされることになるので、プライバシーの侵害が懸念される」。
鈴木氏は、23条から27条にある、秘密情報の取得・漏洩に対する罰則について、「これはメディアでも大きく取り上げられたが、特定秘密を取り扱う人が、特定秘密を漏らした場合には、『10年以下の懲役、または1000万円以下の罰金』ということになり、かなり思い処罰だといえる」という。
「また、未遂犯や過失犯も処罰の対象であり、共謀罪、教唆罪、煽動罪、という行為も処罰対象になる。市民活動などで、自分が情報を得ようとしてやっていることが、特定秘密の取得にあたるかどうか、わからないのに、処罰の対象になる可能性がある。(犯罪の自覚がないまま)突然、逮捕されるという危険性がある」。
マスコミの取材活動については、「『報道の自由』に配慮するとはされているものの、正当な取材行為かどうかを国に調査される時点で、本当に報道の自由が守られるのか、という疑問点もある」と語った。