福島の原発事故から約3年が経つ2014年3月5日、ドイツ・フランクフルトで、放射線のリスクや、放射線誘発性加齢の人体への影響、福島とチェルノブイリの健康影響の比較、IAEAとWHOの関係などについて議論する国際会議が開催された。会議には、世界中から原子力ロビーに「所属していない」医師や生物学者、物理学者らの研究者が集結した。
初日の会議ではまず、包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)の準備委員会事務局長をつとめるドイツのウォルフガング・ホフマン氏が登壇。電離性放射線のリスクについて講演を行った。
- 日時 2014年3月5日(水)(日本時間 17:00~)
- 場所 ドイツ・フランクフルト
- 主催 ヘッセン州プロテスタント教会エキュメニカル(世界教会)センター、核戦争防止国際医師会議ドイツ支部
低線量被曝で「人体に影響なし」は「非科学的」
ホフマン氏は、「健康へのリスクは自然放射線でも存在し、子供の白血病の5~8%の原因は自然放射線が原因だ。特に原発周辺の子供の白血病の症例が多いことが分かっている。結果として原発周辺に住む人々の癌のリスクが大幅に高くなるが、そのメカニズムや原因はまだ議論が必要だ」と述べ、自然放射線にそもそも健康被害のリスクがあることを強調した。
さらに、「CTのスクリーニングについても、低線量被曝は人体には影響がないとされてきた。しかしCT前とCT後の子供の染色体を調べたところ、放射線の種類で影響は変化するが、大きな変化があった。白血病との脳腫瘍のリスクは放射線を使った医療診断により上昇する」と指摘し、医療における放射線の使用に警鐘を鳴らした。
そのうえで、「放射線の人体への影響は癌だけではなく、広島の生存者の中では心筋梗塞や脳梗塞のリスクは放射線によって倍になることがわかっている。X線検査も同様で、例えば結核の検査で何度もX線検査を受けた人はその後癌になる確率が上がっている。100mSv以下で人体に影響が出ないというのはとんでもない嘘で非科学的だ。40年の我々の放射線研究を全部無視するということか」と怒りを込めた。
低線量でも受精卵に影響
続いて放射線防護協会に所属し、白血病の研究をしているインゲ・シュミツ氏は、受精卵が放射線を浴びることの危険性について講演を行った。