緊急記者会見「福島県甲状腺検査結果資料の誤りについて」 2013.9.25

記事公開日:2013.9.25取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・花山/奥松)

 「データの扱いに日ごろから神経を使っていれば、こんな凡ミスは起こりえない」──。2013年9月25日、東京都新宿区のパルシステムで、緊急記者会見「福島県甲状腺検査結果資料の誤りについて」が行われた。

 6月5日に福島の第11回県民健康管理調査検討委員会で報告された、子どもの甲状腺検査のデータ(年齢・男女比)と、8月20日の第12回検討委員会で発表された同データの推移にまったく整合性がなかった問題で、福島県は「県立医大がまとめた6月のデータが間違っていた」と、同日夜にホームページのデータを差し替えている。これに対し、放射線被ばくを学習する会は「単純ミスなのか、意図的なものなのか、検証が必要だ」として、福島県立医大などに公開質問状を送ると発表した。会見には、福島の同検討委員会の傍聴と取材を続けている、おしどりマコ氏も参加した。

■ハイライト

  • 田島直樹氏(放射線被ばくを学習する会共同代表)「甲状腺がん多発を読み解く鍵は年齢分布と性別。グラフ改変問題、その経緯と本質」
  • 温品惇一氏(放射線被ばくを学習する会共同代表)「一体どうやって訂正したんですか? ~原因はソートエラーか~」
  • 田島直樹氏「要望書とそれへの回答および公開質問状内容 」
  • おしどりマコ氏(ジャーナリスト)「データのいい加減さは甲状腺検査には限らない」
  • 質疑応答
  • 日時 2013年9月25日(水)
  • 場所 パルシステム(東京都新宿区)
  • 主催 放射線被ばくを学習する会

甲状腺検査結果の誤りについて納得できる説明を

 田島直樹氏は、今回の甲状腺検査結果の資料の誤りについて、「お粗末なデータ処理が問題」とした上で、「8月20日の第12回福島県県民健康管理調査検討委員会(以下、検討委員会)で何も言及されないまま、その夜にホームページのグラフが変わった」と指摘した。さらに、「甲状腺検査の台帳は、福島県立医大できちんと管理されているのか。年齢・性別がきちんと考察されているのか。日ごろから神経を使っていたら凡ミスが起きるはずがない。したがって、グラフ改変が単なる凡ミスによるものなのか、何か意図的な改変なのかは、検証してみないことには断定できない」と述べた。

 温品惇一氏はグラフ改変の問題点について報告した。「県民健康管理調査を請け負っている福島県立医大の放射線医学県民健康管理センターは、グラフを修正した理由について、『震災当時の年齢を、2次検査時点から単純に2歳を引いてしまった。また、グラフ化する際にデータ加工のソートエラーにより、年齢と性別がばらばらになってしまった』としている。しかし、ただ並び替えただけでは『17歳の女子が4人から2人になる』ということは起きない。おかしな並び替えをやりたいという意志が働かない限り、ソートエラーは起こらない」と指摘した。

 続けて、「訂正前と訂正後のデータから、男女の年齢の標準偏差を算出すると、男子はばらつきが少なくなり、女子はばらつきが増えている。年齢計算をやり直しただけで、男性と女性でこんなにはっきり違いが出るというのは、どういうことなのか。この点も納得できない。きちんとした説明が必要だ」と述べた。

 田島氏は「この件について、公開質問状を発送する」と表明。内容は「検討委員会での甲状腺に関する報告者である鈴木眞一氏は、資料確認または発表時に誤りに気づかなかったのはなぜか。改変前のグラフと改変後のグラフを比較すると、男子の年齢分布は狭まり、女子は広がっている。年齢計算のミスによって、なぜ、このような男女の違いが生じるのか。被験者のプライバシーを侵さないよう配慮した上で、たとえば性別、年齢、推定被曝量などのデータを公開する意思があるか。次回の検討委員会を開く前に、公開の記者会見を開くか」などの11項目。質問状の送り先は、検討委員会の星北斗座長、福島県立医大の鈴木眞一教授、福島県の県民健康管理課の佐々恵一課長、回答期限は10月10日とした。

調査結果は県立医大の一部の人間に握られている

(…会員ページにつづく)

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