シリーズ 子どもと大人のための学習会~基礎からわかる放射線とその危険性~ 松崎道幸氏講演「被ばくでなぜ甲状腺がんになるの?」(会津若松市) 2013.9.8

記事公開日:2013.9.8取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 「放射線被曝の影響は、がんだけではない。今までの常識では考えられない低線量の被曝でも、次世代にさまざまな影響が及ぶ」──。

 2013年9月8日(日)13時より、福島県会津若松市の若松栄町教会で「シリーズ 子どもと大人のための学習会 ~基礎からわかる放射線とその危険性~ 松崎道幸氏講演『被ばくでなぜ甲状腺がんになるの?』」が行われた。松崎氏は、100ミリシーベルト未満であれば人体に影響はない、とする政府の見解を問題視し、その根拠をチェルノブイリの例を挙げながら解説した。

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■Ustream録画
・1/3(13:24~ 1時間15分)

・2/3(14:41~ 50分間)

・3/3(15:32~ 23分間)

  • 講演 松崎道幸氏(北海道深川病院内科部長)「被ばくでなぜ甲状腺がんになるの?」

甲状腺がんが被曝と無関係とは言い切れない事実

 はじめに、松崎道幸氏は「甲状腺がんには、転移して悪影響を及ぼすものと、そうでないもの、2種類がある」と述べ、「超音波検査の普及によって、以前は死ぬまでわからなかった甲状腺がんが、世界中で発見されている」と現状を話した。

 続いて、チェルノブイリと福島で行われた甲状腺検査の時期の違いを挙げ、「甲状腺検査がすぐに行われた福島の患者のがんは、福島第一原発事故による影響ではない」とする国の発表に対して、「日本で行われた検査結果を見ると、事故から5年後に検査を実施したチェルノブイリよりも、甲状腺がん患者が多いという意外な結果が出た。甲状腺がんが、被曝と関係がないとは言い切れないのではないか」と指摘した。

 また、「甲状腺に発見されるのう胞よりも、結節に注意を払うべきである」とする松崎氏は、チェルノブイリで甲状腺から結節が見つかった子どもたちの、40人に1人が甲状腺がんになっていた実態を説明し、「結節が発見された子どもは、その後、少しずつ、その結節が大きくなっていった。検査された子どもに結節がなければ、10年後もないだろう。しかし、結節が発見された場合は、20人に1人くらいは『がん、もしくは、がんの疑い』となるだろう。甲状腺の検査は、毎年行うべきである」と述べた。

がんだけではない、放射線被曝の影響

 次に、放射線被曝は、がんの発症だけでなく、乳児死亡率や先天性障害の発生率など、次世代にもさまざまな影響が現れている点を解説。チェルノブイリでの例を挙げながら、従来のしきい値よりも低い放射線量の被曝によって、次世代に悪影響を及ぼしている実態を語った。

 松崎氏は「100ミリシーベルト(以下mSv)以下の放射線では、人体に影響はないというのは間違いではないか。現に、チェルノブイリでは、その1/10の数値で障害が発症している。今の放射線防護学は、日本の原爆による被爆者の追跡データだけを唯一の拠り所としている」と指摘し、100mSv未満であれば人体に影響はない、とする政府の見解を問題視した。

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