イラン戦争の現在の膠着状況について、高橋氏は、以下のように解説した。
「イランは、ホルムズ海峡を封鎖している。アメリカは、イランの艦船を逆封鎖しているという状況で、今、どちらもしんどい。我慢くらべをしているところです。
イランは、『アメリカは中間選挙が迫っているから、我慢できないはず』と思っているし、アメリカは、『経済制裁が効いているから、イランは我慢できない(降参する)はず』と思っている。
『このままじっと待っていれば、備蓄が尽きて、石油価格がドーンと上がって、トランプさんが慌てるから、このまま我慢していよう』という議論と、『いや、イランの経済もジリ貧だから、今、軍事的に優位なのだから、打って出よう』という議論とが、たぶん、イランで戦わされているんだと思います」。
その上で、「イランは、今、割と前のめりになっている」という高橋氏は、「もしかしたら、イランが打って出るかもしれません」との見方を示した。
「今回、この戦争の敗者は、イランも含めたペルシャ湾岸地域全体だ」と指摘した高橋氏は、次のように続けた。
「『やっぱり中東の石油は危ないじゃないか』ということになれば、中東地域全体が地盤沈下するわけですから、みんなで話し合って戦争をしない体制を作らなければなりません。
今回(2026年8月7日)パキスタン、トルコ、サウジが、防衛協定を結びましたが、そこにイランにも『入らないか』という話をしています。だから、イランと戦争をするための団体ではなく、防衛問題をみんなで話し合う場にしたい、という意向ですよね」。
これに対して岩上安身が、「それはイスラエルとアメリカはのめないですよね。アブラハム合意(イスラエルとアラブ諸国との貿易協定)をひっくり返すような話ですから」と述べると、高橋氏は、「ですから、この合意が意味するのは、明かにイスラエル外交の敗北です」と断言した。
イラン戦争について、高橋氏は、「最近、イラン側は、トランプ政権が終わるまで終わらないだろうという感覚を持ち始めた」と語った。
目前に迫る米中間選挙で、共和党が負け、トランプ政権が再び攻撃に出ることを「心配している」と述べた高橋氏は、「イランが先手を打って、湾岸諸国の米軍基地を攻撃する可能性がある」との考えを示した。
さらに高橋氏は、「(親イランの)イラクの民兵がクウェートに侵攻するとか、フーシ派の陸上兵力がサウジに侵攻するとか、ペルシャ湾や紅海の海底にある多数の光ファイバーの通信網を切ってしまうとか、イランがやろうと思えば、やれることはまだたくさんある」と指摘した。
最後に岩上安身は、イランが核を持つ可能性について、高橋氏の考えを聞いた。
「それは、あります」と述べた高橋氏は、以下のように語った。
「(核保有を禁じていた)アリ・ハメネイを殺してしまったので、神学的には、イランが核兵器を持てないということは、ないわけです。
イランは、『核兵器を持たないと、やっぱり抑止できないんだな』という教訓を学んだわけです。
ただ、イランは、イランの上層部にモサドが入り込んでいることに、気がついています。だから、情報が筒抜けになっているから、イスラエルに気づかれずに核兵器開発はできない。
それでも核兵器開発をやると決断するのか、だから核兵器開発をちょっと待て、ということになるのか」。
その一方で、高橋氏は、イスラエルや米国がイランを核攻撃する可能性について、次のように語りました。
「イランの核関連施設は、イスラエルが持っている通常兵器の爆弾では破壊できない。だから、核兵器しかない。イスラエルはそこで、核兵器を使うかどうか、決断を迫られるわけです。核兵器を使うことによる国際的な反発は必ずありますから。
イランはイランで、見つからずに核開発ができるかどうか。(中略)
アメリカはイランに核兵器を持たせないと言っているから、本当にその気になってイランが核兵器の開発を始めたら、本気になって爆撃するかもしれない。
その時に、戦術核という言葉が浮かびますよね。前回、バンカーバスターを使っても(地下深くの核開発施設を)破壊できませんでしたから」。
高橋氏は、「イスラエル以外の中東諸国も核兵器を持てば、イスラエルの行動が抑制的になる」という議論は「かなり以前からある」と明らかにした上で、「そこまで行かずに、この戦争が終わって落ち着くのがベストなんですけど、理屈で考えていくと、そういう構図も見えてくる」と語った。
■【2】エッセンス版































