【第723号-725号】岩上安身のIWJ特報!岩上安身が、少子高齢化によって壊れていく日本の危機を、2002年に予測した「日本人が消滅する日」を復刻連載! 今こそ読むべき渾身のリポート!第1回 2026.7.6

記事公開日:2026.7.6 テキスト独自
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(文:IWJ編集部)

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 2025年に日本で生まれた子供の数は、70万5809人。これは、2026年2月26日に厚生労働省が発表した人口動態統計の速報値で、統計を取り始めた1899年以降、過去最少を更新した。

 国立社会保障・人口問題研究所が2023年にまとめた将来推計人口(中位推計)では、出生数が70万人になるのは2042年と予想されていた。つまり、わずか3年前の2023年時点の政府の想定より17年も早いペースで、少子化が進んでいることになる。

▲人口動態統計速報(令和7年12月分)(厚生労働省)
https://bit.ly/42tWnbb

 国が発展するための基礎的な要素は、技術と資本と労働力だと言われている。そのためには、政治的安定や社会基盤の整備とともに、人材の確保、育成が欠かせない。

 ひとりの女性が生涯に産む子供の平均数を、合計特殊出生率という。現状の人口を維持するために必要な合計特殊出生率は、2.07。この数字が常に2.07以下であるなら、そのエリアの人口は年々減少していくことになる。先進国のほとんどは2.07以下だ。

 とりわけ、日本の合計特殊出生率は低い。2015年から過去最低を更新し続けて、2024年には前年の1.20を大幅に下回り、1.15となった。これはG7の中でもイタリア(2025年に1.14)と最下位を争う数字である。

 2人の男女から1人の子供しか生まれない、ということは、ひと世代ごとに若年人口が半分になってゆく、ということでもある。この趨勢が続けば、社会も、民族も、やがて消滅へと至る。

・年次別にみた出生数・出生率(人口千対)・出生性比及び合計特殊出生率(e-Stat 統計で見る日本)
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003411595

・出生率1.14で最低更新、自然減19万人 総人口は外国人増加で変わらず イタリア(AFP BB News、2026年4月1日)
https://www.afpbb.com/articles/-/3629309

 国や自治体は、不妊治療の助成金、出産一時金や児童手当、子供の医療や教育の無償化など、さまざまな出産・子育て支援策を打ち出しているものの、出生率・出生数はなかなか上昇しない。2012年時点の将来推計では、2026年に日本の総人口は1億2000万人を下回り、2048年には1億人を割り込むと推計されている。

*第1章 第1節 1(2)将来推計人口でみる50年後の日本(内閣府、平成24年版高齢社会白書(全体版))
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2012/zenbun/s1_1_1_02.html

 若年層が減る一方、2024年の時点で、日本の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.13歳と世界一の長寿国となっており、総人口に占める高齢者の割合が増え(高齢化)、逆に次世代を担う若年人口の割合が減っている。加速する超少子高齢化への懸念が広がっている。

 まず、労働力不足。それに伴う長時間労働や外国人労働者問題。後継者不足による地場産業の衰退。年金や医療、介護など社会保障制度が揺らぐ不安。65歳以上が人口の半数を超える限界集落では公共インフラの維持が困難となり、地域社会が消滅する可能性もある。

 少子化問題では、労働力不足が問題になりがちだが、岩上安身は国内需要の不足についても注目してきた。一部の輸出大企業は、海外の市場をあてにして製品を作り、輸出もできるが、大多数の国内向けの製造業・サービス業は、国内需要によって支えられているので、少子化によって人口減少してゆけば需要が縮減し、デフレ不況は止まることがなくなる。

 さまざまな分野に歪みを生じさせている日本の少子高齢化だが、「急に勃発した社会問題」というわけではない。それは「予測可能な危機」だった。

 岩上安身は、4半世紀以上も前から、少子化と人口減少が日本社会にもたらす深刻な影響について着目し、2002年から2003年にかけて、「日本人が消滅する日」と題した全6回にわたる記事を、月刊誌『正論』(産経新聞社)に掲載している。

 その中で岩上安身は、「少子高齢化は戦争にも等しい破壊力を持ち、私達はすでに『見えない有事』の中にある」と看破した。

 さらに、人口減少の破壊力は遅効性のため、人々は実感を持てず、また、世代や家族構成等によって利害が一致しないため、国民レベルでの危機意識を共有することができない、と分析している。

 残念ながら、早すぎた警鐘は世の中に浸透しきれず、当時の日本社会は不都合な真実から目をそらすように、少子高齢化対策への真剣な取り組みを先送りしてしまった。

 現在、その「危機」は、目をそらす余地もないほどの至近距離で、私達に突きつけられている。誰もが他人事ではなく、我が事として、少子高齢化問題への解像度が上がった今だからこそ、「日本人が消滅する日」を多くの人に読んでいただきたい。そう考えて、当時の原稿を復刻連載する。

 第1回は、2002年の小泉純一郎政権時代、巨額の債務を抱えた道路公団(日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団)の民営化の議論から始まる。そこにあったのは、「右肩上がりの人口増加」を前提とした、過大な需要の見積もりだった──。

*掲載誌は『正論』平成14年10月号から平成15年3月号。全6回。
*基本的に原文のまま掲載しているが、一部の機種依存文字、数字の間違い、誤植は修正した。
*注釈は、2026年4月時点でのデータ等にもとづいて作成した。
*縦書きから横書きにしたため、読みやすさを考慮して、漢数字の表記は算用数字(アラビア数字)に改めた。

記事目次

  • 序文
  • 人口と需要のピークのずれ
  • 民営化委ですら想定外の人口減少!
  • わずか4年で世界大戦の犠牲者並みの人口減
  • 日本の経済と社会を打ち砕く少子高齢化
  • 需要予測を誤らせた人口推計
  • 「ヒトづくり」に向かわなかったマネー
  • 人口と経済、二重のデフレ・スパイラル

「正論」平成14年10月号
[衝撃リポート]日本人が消滅する日
“戦火なき有事”を前に、われわれはどうすべきか

[第1回] 「団塊の世代」という人口構造のゆがみが引き起こす財政破綻と社会保障制度の崩壊
ジャーナリスト ●いわかみ・やすみ 岩上安身

序文

 道路公団(※1)民営化の論議の帰趨が、高い注目を集めている。小泉首相(※2)が、急進的な民営化論者である作家の猪瀬直樹氏(※3)を、道路関係四公団民営化推進委員会(※4)の委員に起用すると、下がり続けていた支持率がにわかに反転した。これもこの民営化問題への国民の関心の高さの表れであろう。

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