2025年7月3日、第27回参議院議員通常選挙が公示され、7月20日の投票日までの、暑く、熱い選挙戦の火ぶたが切って落とされた。
このたびの参院選に、ひとりのトラック・ドライバーが、社民党の比例公認候補として出馬し、その「前代未聞の」選挙戦が、にわかに巷の注目を集めている。甲斐正康氏。それが、そのトラック・ドライバーの名前である。
参院選公示日の7月3日、甲斐氏は、午前11時より、新宿駅南口で行われた、社民党の合同出発式に、他の社民党立候補者達と一緒に参加し、「第一声」を発した。
選挙期間中、立候補者達、およびその支援者達は、駅前や繁華街など、人通りの多い場所において、街頭宣伝(演説)やビラ配りなどを行ない、自分達が擁立した候補者の名前や、その所属する政党名を連呼し、「当選した暁には…」と、自らの公約を開陳するのが常である。
だが、新宿での第一声を終え、甲斐氏が次に向かった街宣先は、港区のニュー山王ホテル(ニューサンノー米軍センター)を皮切りに、米陸軍赤坂プレスセンター、在日米国大使館、そして、駐日イスラエル大使館だった。
いずれも、警備の警察官達と、時折り訪れる関係者とみられる人々以外は、自らへの投票を訴えるべき一般の人々を見ることはほとんどない場所だ。これは、いったい、どういうことなのだろうか。
甲斐氏は、22年間務めた大型トラック運転手の仕事と並行して、前三鷹市議会議員である嶋﨑英治氏と甲斐氏が運営する団体「自治市民21」の三鷹事務局長として、2018年10月の「主要農作物種子法廃止について」の請願を東京都議会に提出して以来、東京外環道、PFAS(有機フッ素化合物)、物流2024問題、三鷹市の農業、奨学金の問題、そして、水道民営化など、市民の生活に深く関わる諸問題に真正面から取り組んできた。
甲斐氏はまた、日米合同委員会廃止の抗議デモにも取り組んでおり、IWJも、そのうちのいくつかを取材している。
甲斐氏は、ニュー山王ホテル前での街宣終了後、IWJ記者の「参院選初日の街宣先として、なぜ、聴衆の多い駅前や繁華街ではなく、米軍施設や大使館前を選んだのか?」との質問に対して、次のように語った。
甲斐氏「皆さん、こんにちは。甲斐正康です。参議院議員選挙に立候補いたしました。
今日は、ニュー山王ホテルに来ました。『前代未聞の選挙戦初日』と、一部で話題になっています。
そりゃ、そうです。
今、ニュー山王ホテルの前で行っています。赤坂プレスセンターにも、これから行きます。
普通の選挙戦は、やりたくない。
私は、選挙というのは、『今までの運動の積み重ね』の結果だと思っています。
ただ駅に立って…もちろん、それも大事です。
もちろん、それも大事だけれど、ただ駅に立って、今まで会ったことのない人と会って、訴えるということも、もちろん大事ですが、やはり、ある意味、私の運動の総決算でもある今回の選挙、『ここでやらないでどこでやる』と思って、私の選対のみんなにわがままを聞いてもらって、まずはここ、ニュー山王ホテルでやらなければいけないと思いました。
そして、私は、新宿での第一声でも訴えたのですが、そもそも、『この国に主権はあるのか』ということを、今回の選挙で、どうしても訴えたい。
私は、この国に『主権はない』と思っています。それは、様々な歴史的背景を見れば、もう明らかになっています。
どうせ選挙に出るんだったら、このことも訴えなければ。国会議員ですからね。参議院議員選挙に出るんだったら、国のことを思って、参議院議員選挙、国会議員になりたいのですから、この事実を訴えないで、他に何を訴えるの? と、私は思っています。
もちろん、こういったこと以外でも、私はトラック・ドライバーですから、労働者の権利や、水の問題とか、いろいろ訴えることはありますが、やはり、この、アメリカへの従属的な政治を、どうしても終わらせたい。
その私の意気込みというか、それが、今日のこの、選挙戦初日の動きになっています。
2枚目の投票用紙、比例の投票用紙には、『甲斐正康』とお書きください。
前代未聞の選挙戦、まだまだ、今日が終わってからもやっていきますので、よろしくお願いします」
街宣の詳細については、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。



































