2023年8月26日午後2時より、東京都文京区の全国家電会館にて、ISF(独立言論フォーラム:)の主催により、公開シンポジウム「東アジアの危機と日本・沖縄の平和」が開催された。
シンポジウムには、岡田充氏(ジャーナリスト、元共同通信記者)、羽場久美子氏(青山学院大学名誉教授)、元山仁士郎氏(一橋大学大学院生)、宮城恵美子氏(沖縄平和市民連絡会共同世話人)らが登壇し、それぞれの専門分野の視点から、東アジア、および、沖縄が直面する問題について論じた。
集会では、一般財団法人東アジア共同体研究所理事長の鳩山友紀夫氏(元総理)のビデオメッセージが流された。その中で鳩山氏は、「(日中平和友好条約が締結された)45年前と比べて日中両国の力関係は絶対的にも、相対的にも大きく変わりました」とした上で、次のように述べた。
鳩山氏「米中関係は緊張を高めています。米中関係をはじめ、両国をとりまく国際環境も大きく変化をしています。
したがって、日中両国が細心の注意を払って、二国間関係を整備しようとしない限り、日中関係が悪い方向に向かってしまうのではないかと、とても心配なのです。(中略)
それでは、日中関係を良い方向に安定化させるためには、何が必要なのでしょうか。
国家関係は、畢竟、人間関係の延長であることを考えれば、こじれた人間関係をほぐすために、何が必要であるかということを考えることに、日中関係改善のヒントがあると私は思います」。
続いて、岡田氏の基調報告「東アジアの戦争危機をどう回避するか~有事煽る日米の弱点をみた」、そして、宮城氏の第二報告「沖縄を再び”いくさば”(戦場)にさせない!」、羽場氏の第三報告「新国際秩序をどう作るか?–沖縄と済州(チェジュ)からの平和構築の試み–」、そして、元山氏の第四報告「再軍事化する沖縄と東アジア地域との対話」が行われた。
それぞれの報告を受け、ISF編集長の木村朗氏の司会により、パネルディスカッションが行われ、最後に、参加者と登壇者との間での質疑応答が行われた。
宮城恵美子氏は報告の中で、東アジアと日本にとっての、米国の影響力について、以下のとおり指摘した。
宮城氏「この間、フィリピンのウォルテール・ベローさん(フィリピンの元下院議員、京都大東南アジア研究所客員研究員)という方をお招きして、我々も講演会をやったんですね。
そのときにベローさんがおっしゃっているのは、東アジアの韓国とか日本とかフィリピンとかの『準主権国家』、いわゆる、中途半端に主権国である、独立はしていない、中途半端な国々をアメリカがまとめて動かして、その人たちで戦争をさせて、アメリカは、自国の国土は使わない。
自国の兵士も、できるだけ使わない。そうやったら、議会を通るわけですね。そして、大量に亡くなっていくのは、琉球弧住民や日本人、アジアの人々であるという、そういうことを考えているんだと、彼もおっしゃいました。
私も、そうだと思います。鳩山友紀夫さん、先程、いろんなところでおっしゃってますが、日米合同委員会の状態を明るみにしました。そしてね、鳩山さんは左側から言うけど、右側からも出しますよと言った人がいるんですね。
どういう意味かっていうと、日防隊(日本防災防犯隊)の石濱哲信という代表さんが、『(日米)地位協定』にもとづく支配構造が、今も続いているということです。普段、日本のマスコミが絶対に流しません。
こうされてるのは日本だけですね。日本は米国が動かしているっておっしゃっているんです。いわゆる、『日米安保条約』があります。これにくっついて、実際のことは『日米地位協定』で物事は決めております。その中で、具体的に会議をして決める人が『日米合同委員会』です。
『日米合同委員会』は6人の日本の官僚がいますが、アメリカは一人だけ公使がいて、あとは全部米軍のナンバーツーたちが、海軍、空軍、陸軍、海兵隊のナンバーツーが全員入ってます。6名です。
だから、軍事が支配してるという米軍支配の『日米合同委員会』の中で、日本の中の、いわゆる将来次官補への昇格の可能性がある、まだ中堅層の人たちが入っても、一言も言えるはずもなく、議事録とっちゃダメ、それから録音ダメ、ノートに書き込んでもダメという中でやっています。
そういうのが、そして、すべてその人たちが口頭で自分の親分省庁に戻って伝える。それが日本政府は伝えられたのを聞いて政治を行う。
『こんな国はありません』と、日防隊の石濱哲信代表もおっしゃってます。(中略)
ジョセフ・ナイのような(ジャパン)ハンドラーたちも同じことをやって、考え、言っているんです」。
登壇者の報告、参加者との質疑応答を含め、シンポジウムの詳細については全編動画をご確認ください。