2022年4月20日、午後3時より、東京都千代田区の衆議院第1議員会館にて、「中国から略奪した文化財の返還を求める緊急集会」が開催された。
「村山首相談話を継承し発展させる会」理事長の藤田高景氏は、次のように述べた。
「今年の8月で、敗戦から77年になりますけれども、今年の9月29日になりますと、日中国交正常化50周年になります。
私も戦後生まれて育ってきましたけれども、敗戦後77年の歴史の中で、日中国交正常化というのは、戦後日本の政治の中で、非常に重大な役割を果たしていると思います。
アジアの安定と発展のために、やはり、隣国である日本と中国、日本と韓国、日本と朝鮮が、仲良くしていくしかない。(中略)
しかし、今の自民党の中の状況というのは、中国の悪口一辺倒。今、草葉の陰にいる田中角栄首相や大平外務大臣が自民党の状況をどう見ているのか、本当に聞いてみたいぐらいです。
歴史的な日中国交正常化50周年を迎えて、やはり、人間の基本倫理として、あるいは国家の基本倫理として、他国から、武力を背景にして盗んできた文化財は、この際、返せばいいじゃないか、というのが私たちの基本的な考えございます」。
1972年(昭和47年)9月29日、「日中共同声明」が北京で調印され、田中角栄、周恩来両首相が署名した。
この緊急集会のプログラムとして、2つの特別講演が行われた。
一つ目は、ザ・ジャーナル編集主幹の高野孟(はじめ)氏による講演で、「『日中国交50周年』で日本が本来果たすべき役割 ウクライナ戦争・台湾有事・尖閣危機」と題して行われた。
講演の中で高野氏は、「大げさに言うと、世界史の今の段階というのをどうとらえたらいいのか、ということの再確認ということが、今、我々みんなに求められているのではないか」と述べ、「ウクライナのこと一つをとっても、日々の戦局、戦場の場面場面について、バイデン大統領が解説委員のような発言をして、それに我々が、世界中が振り回されているというような状況がある」と語った。
また高野氏は、「冷戦は終わったが、それをうまく次の時代に橋渡しできなかった失敗の瓦礫の中で、何が何だかわからなくなっている」と述べた上で、現状に対して、次の6つの対応策を提示した。
(1)我々1人1人が正気を保つ。(2)アジアの冷戦全体を終わらせる覚悟。(3)欧州+BRICSを骨格とした多極世界構造。(4)ARF(ASEAN地域フォーラム)ベースに東アジア安保共同体を。(5)その中心軸が日中の「戦略的互恵関係」。(6)小さな一歩から状況をコジ開ける。
高野氏に続き、慶應義塾大学非常勤講師の五十嵐彰氏による、「文化財返還運動から見通せること」と題する二つ目の特別講演が行われた。
詳しくは、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。