2024年4月25日、東京外国為替市場では円相場が一時、1ドル=155円台半ばにまで下落した。東京市場で155円台を付けたのは、バブル期の1990年6月以来、約34年ぶりになる。
政府・日銀による円買い・ドル売りの介入警戒ラインと言われていた155円台になったことで、「いつ、介入が実施されてもおかしくない」との声も出る一方、そもそも米国の金利引き下げが原因で、外貨が流れ込んでいるのが原因のため、介入しても円安の抑制効果は限定的だとの見方もある。
4月25日の東京株式市場もまた、前日に大きく値上がりした反動で下落した。日経平均株価は、利益確定売りなどに押されて、下げ幅が一時700円を超えた。終値は前日比831円60銭(2.16%)安の3万7628円48銭だった。
日経平均株価は、前月上旬(3月4日)に空前の4万円台を突破した後、3月11日、12日、13日と急落し、週明けの月曜日18日には急反発するなど安定しない。
株価が3月に4万円台まで上昇した時点で、こうした動きの原因や、その影響を見極めるため、岩上安身は2024年3月18日の時点で、エコノミストの田代秀敏氏に緊急インタビューを行った。
「このような反転急上昇は、そうそうあるドラマではない。虚の部分というのが非常に大きいように感じられる。一体、何が起こっているのか?」
そう問いかける岩上安身に、田代氏は、日銀のマイナス金利解除と株価や円相場、住宅金利への影響などについて、詳しく説明していった。
そもそも「日経平均株価」とは何を表しているのか? 日本の優良な上場企業から選ばれた225社の株価の平均ということだが、田代氏は、「日経平均株価は不思議な構造になっていて(日本を代表する大企業の)トヨタの株価には、あまり反応しない」と言う。
「聞いたことがないような会社の株価の方が、あるいは、有名だけどトヨタに比べると、うんと規模の小さな会社の株価の方が、トヨタよりも何十倍も日経平均株価を動かしている、そういう仕組みがある」
それゆえ、3月4日に日経平均株価が4万円を突破した一方で、東証プライム市場では、トヨタも含めて、全体の約3分の2にあたる1120銘柄が値下がり、ということも起きている。
田代氏は、カール・マルクスとフリードリッヒ・エンゲルスによる『共産党宣言』の「ヨーロッパに幽霊が出る──共産主義という幽霊である」という有名な冒頭の一文をもじって、「日経平均株価」を批判した。
「今、日本の証券市場に『日経平均株価』という怪物が徘徊しているわけです。経済の実態を表していないどころか、有害かもしれない。自分の株式投資の参考にするのも危険だし、もっと言うと、経済政策の参考基準とするのは、ものすごく危険ですよ。間違った経済政策を行なってしまう可能性がある」。
田代氏はそう語り、「日経平均株価」そのものについて、疑いを差し挟む必要があることを強調した。