2023年12月7日、午前10時より、〈パレスチナ〉を生きる人々を想う学生若者有志の会の主催により「日本政府・市民・報道機関に働きかける記者会見」が、東京・千代田区の衆議院第2議員会館にて開催された。
会見では、パレスチナにルーツのある者、中東研究者有志、日本国際ボランティアセンター、作家、そして、「〈パレスチナ〉を生きる人々を想う学生若者有志の会」のメンバー、それぞれが、それぞれの想いを<声>に出し、それを、会見会場に集まった報道陣に鋭く突き付けた。
作家の松下新土氏は、「お願いじゃないです。約束してほしいことがあって…」として、次のように話し始めた。
松下氏が言及した、ハニン氏、アイーダ氏、タティアナ氏、モハ氏は、記者会見に参加した「パレスチナにルーツのある者」の人々です。
松下氏「本当にお願い、お願いじゃないです、約束してほしいことがあって。
今日、ハニンとアイーダとタティアナとモハが話したことを薄めないでください。絶対。
私はこの7、8月まで西岸にいて、今、ガザの中にも友達がいて。毎日、毎日、毎日、夜の間やりとりをして、昼の間はこうやって。一緒に立ってる仲間たちがいて、海外でも、パレスチナのために立っている人たちがどういう人なのかっていうのをものすごくフィジカルにわかってます。
日本の中のプロテストの波がどういう感じになっているのかも感じているんですけど、めちゃくちゃ甘いし、めちゃくちゃ小さいし、何もわかってないです。本当に。
ここに一緒に立っているザックっていう仲間がいるんですけど、ザックは2日前に、ガザの中にいる友達からメッセージを受け取っていて。自分もそのボイスメッセージを聞いたんですけど。今、目の前で自分のお姉ちゃんが死にかけていて、自分は子どもが凍えてるから、自分の服をその子に着させて、自分は下着しか着ていない。
で、家の玄関の前にイスラエルの戦車があって、自分は外に出れなくて、多分、多分っていうか、本当に死にかけているっていうこと。
いや、本当に聞いてほしい。みんな。
ここに戦車があるということを想像して欲しい。そういう人生の中をこの4人が生きてきているということを想像してほしいし、私は西岸の中とガザの中からやりとりして、たくさん叫んで、伝えると、伝えて『わかったな』ってなると、波が小さくなるんですよ。
実は、それ『加担』なんですよ。それは『加担』なんです。何が起きているかということを伝えるってことは、『加担』なんです。だって、誰にもできるんだから、そんなこと。そうじゃなくて、それぞれが持っている一番根源的な痛みと接続させて、今そこの外に戦車があるという状態になって。それよりひどい状態になっているんですよ。
誰もわかってない。本当に。どうか、今日、ハニンとアイダとタティアナとモハが話したことを薄めないでください。
私はもう、この間、国会議員とか記者とかいろんな人に会ったので、報道の中で何が『勇気がある報道』で、何がそうじゃないのかということをものすごいはっきり分かるわけです。
約束してほしいのは、この間、今日一緒に立ってくださった皆さんが本当に言ったように、戦闘とか戦争とか紛争とか、そういう言葉を一切使わないでほしい。ここに来てる方が使わないのはもちろん、同じ会社だったり、そのメディアの同業の方にも、絶対そういう言葉を、このパレスチナのことに関して、戦争とか紛争とか、そういうことを、戦闘とか、もう絶対使わないでほしいです。
メインストリームの報道が本当にひどいので、そういうところも変えていってほしい。それはもう最低限のことです。
さっき、モハが『サンクション』って言ってたように、『(※イスラエルに対する)経済制裁』のことに言及しないってことは、単に勇気がない。何も考えてないのと同じです。
だから、もちろん、国際人道法の話はあるけど、市民たちができることもあるし。経済的なプレッシャーを真剣に考えないと意味がなくて。
ボイコット。非暴力の行動として本質的なことで、ボイコットがありますけど、ここ衆議院の会館で、ここの中に国会議員がいたりするんだから。経済制裁のこととか、どういうことがあるのかってことって簡単に分かることなので。なぜ、日本政府がイスラエルの政府に経済制裁を求めないのかとか。
もし、新聞社としてそういうことが書けないんだとしたら、少なくとも、BDS(ボイコット・投資引き上げ・制裁)ってこういうものがあるとか、消費者がボイコットできるのは、こういうことがあるとか、投資を引き上げるにはこういう方法があるとか、政府は…。
それ、もうやってる国がめちゃくちゃいっぱいあるんですよ。
日本とか西洋の社会だけです。こんなことをやってるのは。そもそも停戦決議に、今すぐ停戦すべきだと言った国が10月の時点で120何カ国あったのに、本当におかしいんですよ。この国は。
で、その中にいる私たちは、本当に『加担』してて、私も西岸とかガザの友達の痛みを、今この瞬間も無化して、今この瞬間も『加担』してるわけですよ。
だから、最低限、その戦闘とか紛争とか、そういうのを一切使わないで、業界を変えるってことが最低限。
勇気がある報道は、経済制裁、モハがさっき言ったように、サンクション、経済制裁のことに言及して、それを限界まで、できる限界まで乗せるということです。今、本当に私たちは歴史の中にいるので、それはすごくはっきりわかることなんです。みんなからすると。
なので、私個人の思いとか経験はたくさん話す場があるので、今日、皆さんに共有していただきたいのはそのことです。よろしくお願いします」。
松下氏は、メディアに、当日会場で語られたパレスチナの人々の痛みを薄めずに伝え、個々人でも実行できるボイコット運動を広めること、そして日本政府には、真剣に対イスラエル経済制裁を考えることを求めた。
登壇者それぞれのスピーチなど、記者会見の詳細については全編動画をご確認ください。
イスラエル・パレスチナ情勢について、IWJは、外務大臣の定例記者会見に何度も参加し、上川大臣に「停戦」を含めた和平案、そして、「経済制裁」の必要性を訴えてきている。