2023年10月27日(金)午後7時より、京都府京都市の京都大学文学部校舎・第3講義室において、「緊急セミナー〈歴史の忘却に抗して――パレスチナにおけるジェノサイドを見すえながら、危機の時代における人文知の役割を問う〉」が開催された。登壇したのは、岡真理 早稲田大学文学学術院教授、駒込武 京都大学大学院教育学研究科教授ほか。
岡教授は、さらに苛烈・悲惨・無惨な状況が進行する一方のパレスチナ・ガザ地区の現状について、熱を込めて語り始めた。
(7:23~)「先行する2回の集会では、イスラエルという国は何なのかという、イスラエルの国の成り立ちについてお話した。
今回の出来事があって、『ハマスとは何か?』ばっかり語られる、その語られ方も、ハマスイコールテロリストである・ハマースのテロは絶対許されないものなんだといったこと(前提)が、フランスではもう踏み絵となっているようだ。
ハマースをテロリストと認めるかどうか、それを言わないと次のことが言えない、ハマースはテロリストなんだけれども、イスラエルのやってることもひどいではないかというような論調で、長いことこの問題、パレスチナの問題に関わってきた者からすると、この『問い』自体が倒錯している。
やっぱり正しい問いを問わなければ、問題は解決しない。この問題の根源に、一体この暴力を生み出すどういう原因があるのか、英語でルートコーズと言うが、それをしっかり認識しない限り問題は解決しない。
今週の日曜日の夜に、NHKスペシャルで、この問題の根源に向き合うというところまでは言及があったけれども、じゃあその問題の根源って何なのかと言うと、そこは結局曖昧なまま、やっぱり憎しみの連鎖みたいなものに落とし込んでいた。
今日は、イスラエルとは何なのか・どういう国なのか、どういう風に歴史的に成立したのかという話はご覧になってらっしゃらない方もおられると思うが、もうすでに2回の集会で語っているので、今日は、今起きていることもジェノサイドだと申し上げたい。
先ほどの駒込さんの話を聞きながらも、頭がクラクラしていたが、これを遠いパレスチナのことと思わずに、今目の前でジェノサイドが起きている。
80年前のヨーロッパのナチスドイツによるホロコーストのような、それとは形は違うけれどもそれが今起きていて、しかもそれはテレビを通じてもう私たちの目の前で、毎日何が起きているか、しかももうSNSを通じて、現地からの報告でも既に、ガザでは7000人以上亡くなっている。
その犠牲者のうち子どもが3000人近く、しかも行方不明の子どもが900名以上いるので、既に子どもだけで4000人近く殺されている。これがジェノサイドでなくて一体何なのか?
私たちの目の前で、もう知らないなんて言い訳は通用しない。おそらく歴史的にこの2023年というのは、ガザでジェノサイドがあった年として記憶されるだろう。
では『その時あなたは何してたの?』と言われて、皆さんはどう答えるだろうか? 本当にそういう思いでいる。
そしてこれはパレスチナに関わっている者とか、中東に関わっている者だけの問題ではなくて、私がずっと感じていたのは、もうこれは学地=学問の地、歴史学とか人文学そういうものの地に関わる問題だと思っている。
これに対してその専門別を問わず、人文学研究者が現代ただ中で、しかも世界がそれを注視している。注視している中でジェノサイドが起こりうる・起きている。
しかもそれを先進文明国を名乗る国の政府が支援し、あまつさえ兵器まで送り、そしてそのジェノサイド反対とする声を、市民の声を封じているという、それが21世紀に起きている。
一体これは何なのだというのは、もう私は人文学に関わる研究者・学者全ての者にとってそれが今危機にあるという、そういう問題として思っていて、まずは今何が起きていて、それはイスラエルという国がどうで・そのガザというのが封鎖されていて、それをまず語らないとそこに行けなかった。
なので、今日はそこのところを訴えたいと思って、先生方にお願いした次第だ」
以降詳細は、全編動画にて御覧いただきたい。