【IWJ号外】バイデン氏は1986年上院議会で「もしイスラエルが存在しなければ、米国はこの地域の利益を守るためにイスラエルを発明しなければならなかったろう」と、暴言演説!! 2023.10.14

記事公開日:2023.10.14 テキスト
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(文・IWJ編集部)

特集 中東

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 IWJ代表の岩上安身です。

 中東で、先住民のパレスチナ人を虐殺する侵略国家・イスラエルを真に必要としているのは、米国であることを、バイデン大統領が明言していました!

 「ナクバ(大厄災)」を生んだ欧州のシオニズム運動の実現であり、欧州からのユダヤ人の「厄介払い」に好都合だったイスラエル建国がなければ、米国自身が自国の利益のためにイスラエルを建国していたというのでしょうか。

 現在、イスラエルと西欧文明によるパレスチナ人の民族浄化は、ジェノサイド(大量無差別虐殺)に加え、記憶を抹殺する「メモリサイド(Memoricide)」と、生きる空間を抹殺する「スペシオサイド(Speciocide)」が加わって三位一体で進行中です。

 バイデン大統領が、1986年6月5日の上院議会演説で、「もしイスラエルが存在しなければ、米国はこの地域の利益を守るためにイスラエルを発明しなければならなかったろう。米国にはイスラエルを発明する権利が与えられなければならない」と驚くべき発言をしていたことが暴露されました!

 この映像は、すでに、2019年時点でSNSで炎上していました。

 ハマスとイスラエルが全面戦争状態になった今、再び、この議会映像が注目を集めているのです。

 1948年、イスラエル国家の建国時に、もともとそこに住んでいたパレスチナ人の追放や虐殺、土地の収奪が大規模に行われました。その上で、パレスチナ人の土地の記憶をすべて消し去り、そこに、新たに入植してきたユダヤ人が新しい街を建設していったのです。もとのパレスチナの風景は消され、まったく異なった景観がつくり出されました。

 パレスチナ人は、イスラエルが建国された1948年5月14日以降、このパレスチナ人の虐殺と土地の収奪、そしてパレスチナの歴史の抹殺を記憶に刻むため、この日を「ナクバ」(大厄災)と呼んできました。

 このパレスチナ人の「ナクバ」と、その後に高いフェンスで囲われた「天井のない監獄」、ガザでの20年近い幽閉生活から、歴史的な記憶を抹殺するジェノサイドである「メモリサイド(Memoricide)」と、生きる空間を抹殺するジェノサイドである「スペシオサイド(Speciocide)」という重要で悲しい対概念が生まれました。

 現在、イスラエル軍が昼夜分たず空爆しているガザ地区では、1948年以降、ジェノサイド(大量無差別虐殺)とメモリサイド(記憶の抹殺)、スぺシオサイド(居住空間の抹殺)が三位一体で進められてきたのです。

 このイスラエル建国は、19世紀から欧州で始まった在欧ユダヤ人(アシュケナジー)の中東への送還であるシオニズム運動の目標でした。

<ここから特別公開中>

 そもそも、シオニズム運動が起きたのも、ユダヤ教の分派として生まれたキリスト教の、根本に根差すユダヤ人差別が、東西の欧州において、一貫して存在したからにほかなりません。

 中東にユダヤ人を集めて、イスラエルを建国させようと考えたのは、欧州の(特に英国)のキリスト教徒の発想です。クリスチャン・シオニズムが先行して、その後にユダヤ人シオニストがこれに迎合して続いたのです。

 イスラエル国家の再建とディアスポラ(離散)したユダヤ人たちの結集は、欧州に散在して暮らしていた在欧ユダヤ人(アシュケナジー)等の、共通の「悲願」などではありませんでした。多くのユダヤ人たちは、各地で追放運動が激化するまで、欧州各地を離れたがりませんでした。

 反ユダヤ主義の権化であるナチスが台頭し、ユダヤ人の絶滅を図る前に、ユダヤ人の欧州からの追放を行なっていた時、シオニストはナチスのこの動きを歓迎してさえいたのです。彼らは「共犯関係」にありました。

 シオニストにとっての「悲願」であり、パレスチナ人にとっての大災厄であるイスラエル建国を、米国上院の議会演説で、バイデン上院議員(当時)が、「もしイスラエルが存在しなければ、米国は我々の利益を守るためにイスラエルを発明しなければならなかったろう。米国にはイスラエルを発明する権利が与えられなければならない」と、米国にはイスラエルを発明する権利があるとまで言い放っていたのです。

 驚くべき発言です。すべてを自国中心の貨幣価値と損得勘定だけで考え、他国は同盟国でも、自国の手段とする米国の本音が、バイデン氏の演説に如実に表れています。

 米国は、2007年時点で、ユダヤ系住民が約512万8000人を数え、イスラエルに次ぐ(統計によっては最大の)ユダヤ人居住国家であり、米国全人口の約1.7%を占めています。

 バイデン氏の発言は、中東におけるイスラエルの存在は、在米のユダヤ人にとってだけではなく、米国の支配層であるWASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)にとっても、利益となるという、キリスト教シオニストの「本音」をむき出しにしたものでした。

 イスラエルにおいて、ガザ地区とヨルダン川西岸地区に残るパレスチナ人を消し去り、土地を根こそぎ奪い取って、パレスチナ国家とイスラエル国家の共存という約束を完全に反故にする民族浄化が強行されているのは、その背後に、バイデン氏が表明したような、米国と、キリスト教シオニストたちの後押しがあってのことなのです。

 岩上安身は2014年、カナダのモントリオール大学教授(歴史学)で、『トーラーの名において』(平凡社)『イスラエルとは何か』(平凡社新書)などの著書で知られるヤコヴ・M・ラブキン氏に3回にわたってインタビューをしています。

 ラブキン氏は著書の中で、ユダヤ人のシオニズムに先行して、英国のキリスト教徒がまず最初に、シオニズムを提唱した歴史的事実を指摘しています。ラブキン氏へのインタビューは、近日中に、再配信しますので、この機会にどうぞ御覧ください。

※【ガザ侵攻】誰からも罰せられることのない者がいる、不均衡な世界~岩上安身によるインタビュー 第440回 ゲスト モントリオール大学教授・ヤコブ・M・ラブキン氏 2014.7.23

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