判決が来年3月に決定! 裁判官にハガキ等で、種子法廃止違憲の「憲法判断」と「食料への権利の認定」求める提案も!~10.7 種子法廃止等に関する違憲確認訴訟 第8回口頭弁論期日(最終弁論)結審後の報告集会 2022.10.7

記事公開日:2022.10.11 テキスト動画
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(取材、文・木原匡康)

 2022年10月7日、同日行われた「種子法廃止等に関する違憲確認訴訟」第8回口頭弁論(最終弁論)による結審を受けて、報告集会が、東京都千代田区の衆議院第一衆議院会館で開催された。また、この日、判決日が2023年3月24日に決定された。

 同訴訟は、戦後、良質な農産物の種子を生産してきた「主要農産物種子法」(種子法)を、2018年4月1日に国が廃止したことは、憲法25条の生存権の保障等に抵触するとして、全国の農家や消費者らが国を相手取り、2019年5月に第1次訴訟、21年6月に第2次訴訟、22年4月に第3次訴訟の提訴を、東京地裁に行ったものである。

 請求内容は、「主要農産物種子法を廃止する法律」の違憲無効の確認、採種農家、一般農家、消費者が種子法にもとづく活動を行う地位の確認、1~3次あわせて原告1533人への各1万円の損害賠償を求めるものである。

 この日の報告集会では、山田正彦弁護士(元農林水産大臣)のほかに、当日裁判で意見陳述を行った田井勝弁護士、岩月浩二弁護士、平岡秀夫弁護士(元法務大臣)、古川(こがわ)健三弁護士、原告代表の池住義憲・元立教大学大学院キリスト教学研究科特任教授らが登壇した。

 はじめに主任弁護人の田井弁護士が、最終弁論の概要等を説明した。今回、原告側弁護団は、前回の口頭弁論での原告や証人6名の証言にもとづく、80ページに及ぶ、まとめの書面(第6準備書面)を作成し、提出した。「食料への権利」とは何か、種子法と「食料の権利」の関係、種子法廃止に伴う被害等についてまとめたものである。

 また今回、被告である国も書面(第4準備書面)を提出した。これは、「種子法廃止後も国からの財政措置(地方交付税)は変わっていない」との国の主張を裏付ける数字や財政措置項目が不十分として、改めて回答するよう原告が国に「求釈明」をしたのに対し、国が「すでに主張・立証は十分なので、返答しない」と回答した書面である。

 田井弁護士は、「国の主張通りなら、その地方交付税項目や、金額を示せばよいだけなのに、裁判終盤になっても返答しないのは、非常に不当」と強く批判、その旨を結審後に追加で主張する予定だという。

 岩月弁護士は、日本の穀物自給率が28%と、OECD諸国や人口1億人以上の国の中で極めて低い水準で、「国として自立できる体になっていない」と指摘。原因に、竹中平蔵氏等の実名をあげ、彼らが農林水産業者の権利を、規制改革会議等の名目で侵害していると批判した。

 平岡弁護士は、前出の「種子法廃止後も国からの財政措置(地方交付税)は変わっていない」との国の主張の問題点に関して、裁判でのやり取りの詳細を説明した。

 ここで、前回の口頭弁論で証言した東京大学農学部教授の鈴木宣弘氏が登壇。今回の裁判により、「種がどれだけ生きるために重要か」、「今だけ金だけ自分だけの巨大企業が、民主主義的な政策決定を破壊して強引に、みんなの命をむしばみながら、利益を得ようとする制度改正を行ってきたか」を「十分に伝えていただいた」と述べた。

 古川弁護士は、種子法廃止の「違憲性」について、それが「誰の利益になるのか」という観点や、「制度後退禁止原則」からの批判等について報告した。

 池住元教授は、原告代表として、かつてNGOとして関わった1996年の「世界食糧安全保障に関するローマ宣言」について証言したこと等を報告。また、5ヶ月先になった判決までの間に、裁判官に対して、種子法廃止の違憲性の「憲法判断」と「食料への権利の認定」をハガキ等で求めること等を提案した。

 この後、参加者からの質疑が行われた。種子のゲノム編集の問題や、地方交付税に関する地方自治体の情報公開、判決までの世論喚起について質問があり、主に山田弁護士が回答した。

 続いて山田弁護士は、「TPP差し止め違憲訴訟」から始まり、種子法廃止に焦点が当たることになった、本裁判の8年以上に及ぶ経緯について説明。最終弁論について「良い弁論ができた」と評価した上で、改めて活動への協力を求めた。

 報告集会の内容について、詳しくは、全編動画を御覧いただきたい。

 岩上安身は種子法廃止の問題について、山田正彦氏にインタビューを行っている。ぜひ御覧いただきたい。

 これまでにIWJが報じてきた種子法廃止の問題については、ぜひ以下の記事もあわせて御覧いただきたい。

■全編動画

  • 日時 2022年10月7日(金)15:30~
  • 場所 衆議院第1議員会館 大会議室(東京都千代田区)
  • 主催 TPP交渉差止・違憲訴訟の会(詳細)

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