2022年4月1日、午後2時より、東京都千代田区の外務省庁舎にて、林芳正外務大臣の定例会見が開催された。
会見冒頭、林大臣より、以下のとおり5つの報告があった。
- 林外務大臣のポーランド訪問(外務省、2022年4月1日)
- 北朝鮮の核その他の大量破壊兵器及び弾道ミサイル関連計画等に関与する者に対する資産凍結等の措置の対象者の追加について(外務省、2022年4月1日)
- 感染症危険情報の見直し(外務省、2022年4月1日)
- ミャンマーでのクーデターの影響を受けた人々に対する人道支援のための緊急無償資金協力(外務省、2022年4月1日)
- ガザ地区における人道状況の悪化を受けた緊急無償資金協力(外務省、2022年4月1日)
質疑応答で、IWJ記者は、プーチン大統領の「ドンバス地域でジェノサイドが起きている」という発言について、外務省の公式見解を求めるために以下のとおり質問をした。
「元ウクライナ大使の角茂樹(すみしげき)氏は、3月18日のニュース番組で、プーチン大統領の『ドンバス地域でジェノサイドが起きている』という発言について問われ、自身の赴任経験を根拠に、地上波にて、全否定しました。
また、林大臣は、3月8日の参院外交防衛委員会で、ジェノサイドの有無について、『今後の事態の展開を注視していく』と述べ、否定はされませんでした。
また、公安調査庁の『国際テロリズム要覧2021年』では、ウクライナの『アゾフ大隊』という民兵団が『白人至上主義』の『ネオナチ組織』として認定されており、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)はウクライナの人権状況についての報告の中で、アゾフ大隊のドンバス地方での略奪・強姦・拷問行為を国際人権法違反として告発しています。
角元大使の発言は、林大臣の発言、及びUNHCRの報告とも矛盾します。角元大使の見解は、日本外務省の公式見解でしょうか? もし違うのであれば、公式見解についてお聞かせ願えますでしょうか? よろしくお願いします」。
この質問に対して、林大臣は以下のように回答した。
「まず今般、ロシアがウクライナの同意なく、ウクライナ領域内に軍隊を派遣し、軍事行動を行ったということは、国連憲章第2条の4が禁ずる違法な武力の行使であり、重大な国際法違反であると考えております。
今回のロシアによるウクライナへの侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。その理由を問う以前の問題として、明白な国際法違反であり、断じて、許容できず、厳しく非難を致します。
我が国として、ウクライナにおいて、多くの市民が犠牲になっていることを、極めて深刻に受け止めております。
国際刑事裁判所(ICC)に関するローマ規定上、集団殺害犯罪とは、国民的、民族的、人種的、または宗教的な集団の全部、または一部に対し、その集団自体を破壊する意図をもって行われる殺害等の行為とされておりまして、そうしたジェノサイドがあったかどうかについては、現地の状況等を把握する必要があり、確定的なことは申し上げられませんが、ICCによる捜査や、今後の事態の展開を注視しております。
我が国も、このICCに付託をしておるところでございます。
また、この、角元大使は、ウクライナ東部の情勢について、自らの経験にもとづいて、ウクライナの側によるジェノサイドはなかったという旨を述べたということは承知をしております。
いずれにせよ、今回のロシアによる、ウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。その理由を問う以前の問題として、明白な国際法違反であり、断じて、許容できず、厳しく非難を致します」。
会見の詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。